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『金融緩和の罠』萱野稔人編 集英社新書 

上記の本を読んだ。萱野氏が、藻谷浩介、河野龍太郎、小野善康の三氏にインタビューした内容を書き起こしたものだ。

結論から言えば、現在進行中のアベノミクスというマネタリスト的政策の批判、これからの見通しを述べたものである。現在の政策は、通貨供給を増やすことによって、「デフレ」を克服するという政策だ。それでは、結果として長期金利を上昇させ、コントロール不能のインフレないしスタグフレーションをもたらすというのが、上記三者の見解である。

藻谷・河野両氏は、人口動態、とくに生産年齢人口の減少が、現在の不況をもたらしている、と論じる。一方、小野氏は、モノではなく、金そのものを人々が求めることが、現在の金が回らなくなっている理由だと説明する。いずれにせよ、単純化された仮定のもとに組み立てられた現在のマクロ経済学では、現実を把握できないし、その解決への処方を誤る、と述べている。

結局のところ、アベノミクスなるものは、日銀に国債を買い入れさせ、資金を市場にじゃぶじゃぶと流し込む政策だ。それ自体では、何も価値を生まない。むしろ、近い将来、円と国債の信任が市場で喪失され、国債価格の急落を招き、日本経済がマヒする事態になることを、三者ともに述べている。

過去のバブルでの教訓は、彼らが指摘することだったのではなかろうか。量的緩和は、金融システムに収縮が起きた時に、一時的な療法としては意味がある。が、それ自体は、経済活動を永続的に活性化することはないのだ。日本では過去20年間以上低金利政策がとられ、量的緩和も小泉内閣時代、さらに今度のアベノミクスで盛大に行われている。それで解決しないのだ。再びバブルを生み出し、それが破裂することで、さらなる経済的な混乱を生じうる。2008年のバブル崩壊では、金融システム自体の根本的な信用収縮が起きた。それをようやく克服しかけたところで、この量的緩和だ。次のバブル崩壊では、我々はさらに酷い状況に陥ることだろう。

この本は学問的に述べたものではないか、各氏の見解が分かりやすく述べられている。お読みになることをお勧めしたい。

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