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小澤祥司著「エネルギーを選びなおす」 

この本の著者は、エネルギー問題の研究者で実地での経験が豊富な方のようだ。飯館村の地産地消のエネルギーシステム構築に、あの原発事故以前からかかわってこられた方らしい。政治的なメッセージが全面に出る著作かと想像していたが、エネルギー問題を歴史的かつ包括的にとらえ、これから進むべき方向を具体的に示した好著だ。

この本から学んだことを列記してみたい。

19世紀後半からエネルギーの大量消費が始まり、戦後の米国型の大量消費大量消費で、エネルギー消費が大きく拡大した。一方、エネルギー源、またエネルギー源の利用を可能にする水資源も、底が見え始めている。

エネルギー問題は、電力問題だけでなく、熱エネルギーとのトータルのエネルギー問題として考えるである。ややもすると原発問題にからめて、電力をどうするかという視点だけで考えがちであるが、熱エネルギー問題も重要だ。

投入される全エネルギーの34%しか、有用なエネルギーとして利用されていない。残りはロスとなる。また、エネルギーを利用する場でも、家屋の冷暖房エネルギーロスや、自動車のブレーキ・空気抵抗・タイヤの接地抵抗等のログが大きい。

発電方式によっても、効率は大きく変わる。投入されるエネルギーの利用率でみると、原子力発電では30数%、ガス発電でもせいぜい60%。現在の大規模集中型発電では、廃熱の利用が行えず、ロスが大きい。原発は、放射性廃棄物問題が解決しないこともあり、エネルギー源として不適。

真の省エネとは、初期に投入されるエネルギーを減らすことだ。そのためには、発電に際する廃熱を利用するコジェネレーション等の方策が有用だ。また、必要とするエネルギーを減らすための努力、生活様式、移動手段、住居での太陽熱利用が必要だ。こうしたエネルギー利用は、小さな地域、自治体単位で始められつつあり、それを有機的に組み合わせ拡大してゆくべきだ。

特に、電気エネルギーだけに着目しがちであるが、エネルギーを全体としてとらえること、コジェネレーションというシステムを取り入れるべきことについて教えられるところが大きかった。

次の世代にどのような世界を残すべきなのか、我々に与えられた課題は重く、また緊急を要する。この本は、その問題を考えるうえでとても有用な作品である。

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