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弟 

先日、母の墓参りに、弟夫婦が仙台からやってきた。年に一度程度しか会わないのだが、頭髪が少しさびしくなっていたものの、引き締まった体格で元気そうだった。昔通りのハスキーな声で早口で話す。四歳違いだが、子供の頃の知り合いは共通な人たちが多い。なかには現在も交流を続けている友人が彼にはいるらしく、そうした人々のことを彼から懐かしく聞いた。

私と同学年で、某有名大学工学部を卒業し、その後所謂特殊法人に就職した友人がいる。彼は、すでにリタイアして悠々自適の生活をしていると、弟から聞いた。その友人が今はシルバー人材センターで仕事をしている、とのことで驚いてしまった。関連企業にでも天下っているのかと思いきや、のんびりとしているらしい。どうも彼は年金が多いらしく、そうした生活ができるらしい・・・他人の懐を覗きこむのは良い趣味ではないが・・・二人して思わずため息。

それに引き替え、我々(弟も同業)はどうだ、という話になった。年金受給額の見込み額が分かって、あまりの少なさに驚いたと、彼は言う。たしかに、卒業が人よりも多少遅く、大学生活は非常勤扱い、大学での最後の2年間ほどは助手となったが、その後も様々な施設を転々とする生活。年金が少ないのは予測できる。医師というと高給取りの代名詞みたいになっているが、実際は違う。当初の訓練期間の数年間から10数年間は、薄給。医師として一人前に仕事をはじめたら、多少恵まれるが、退職金はまずないに等しい。さらに年金もこの有り様だ。弟は、恐らく年金受給年齢を過ぎても仕事を続けなければならない。彼の場合、開業に適当な年齢を過ぎており、またたとえ開業しても大きなリスクを伴う。彼には開業の選択肢はあり得ない。私も自分の年金額を知った時は、これは生活保護とそれほど変わらないではないかと思ったくらいだった。彼の場合は落ち着く場所もまだないので、これからは大変なことだろう。

私が彼の年金を心配していたら、彼は私に運動をしているかと尋ねてきた。庭仕事は運動量としては少なすぎる、というのである。エアロバイクが良いぞと勧められた。「1万2千円」のエアロバイクを通信販売で手に入れ、毎日こいでいるらしい。自慢気であった。私は彼の年金を心配し、彼は私の運動不足を心配する。互いに歳をとったものだ。彼の場合、まだまだ病気せず仕事を続けなければならないという思いも強く、そのための運動でもあるのだろう。

人生を経済的にだけみると、特殊法人上がりが勝ちなのかもしれない 笑。もっとも、それもこれからは無くなるのだろうが・・・。

弟は基督教信仰に立ち、読書をこよなく愛する男だ。今回、ここに立ち寄った理由の一つは、彼の書庫で本を探すためだった。少し変り者だが、我が一族のもっともよいものを受け継いだ存在だ。

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