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安倍首相の言葉のかるさ その2 

安倍首相の言葉のかるさ、というか欺瞞をもう二点挙げる。

5月15日、安保法制懇の報告書を受け取ったその日に、政府の方針を述べた、彼の記者会見。この内容については、様々な疑問・批判が挙げられている。なかでも、パネルで示した、海外での有事(朝鮮半島での有事を想定している)の際に、米軍によって日本人が帰国するということは、現実には生じえない。

現憲法下では、日本人の女性や、赤ちゃんが、米軍の輸送艦に乗せられて紛争国から帰国する際に、敵国から攻撃されても、自衛隊は援護できないと、安倍首相は言う。「世界8月号」半田滋氏による「他衛の戦争に駆り立てられる日本人」によると、1997年、日米ガイドラインの協議で、日本側が求めた有事の際の在外邦人の輸送は米側から拒否されている。米軍の輸送艦で帰国する日本人は存在しえないのである。米軍だけでなく、オーストラリア、カナダ等の軍隊であっても、自国民の避難が優先課題であり、他国の民間人の避難は行わぬことになっている。当然、非常事態が迫る段階で、そうした在外邦人は、民間の輸送機関によっていち早く帰国することになる。

か弱い女性や子供を輸送する米軍を援護しないでいて良いのか、という問題提起自体が成立しない。首相たるもの、それを知らぬはずはない。それにもかかわらず、こうした問題提起をするのは、国民の「情」に訴えるためには、嘘も許されようという、欺瞞である。

記者会見では、アフガンやイラクでの戦争に巻き込まれることはない、と安倍首相は断言している。しかし、地域の限定を行わぬ、他衛を本質とする集団的自衛権では、実際上、米国から戦争への加担を求められれば、断れるはずがない。実際、これまで、わが国は米国の戦争・武力行使をすべて認め、かつ援護してきた。危急の事態のもと、米国からの情報だけで、戦争に加担するかどうかを判断するとなると、集団的自衛権は義務となり自衛隊に米軍との共同行動をとることにならざるを得ない。今年末に行われるガイドラインの改訂で、この集団的自衛権を、わが国政府は盛り込むつもりらしい。すると、集団的自衛権は、権利ではなく、義務となる。米軍の起こす戦争に巻き込まれない、という安倍首相の言葉はあまりにかるい。

かように、安倍首相の発言は、反知性的であり、情念に由来する、そして内容は欺瞞である。

安倍首相の5月15日の記者会見。13分前後から注目。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0515kaiken.html

コメント

そもそも安保法制懇のメンバーである岡崎久彦氏が堂々と公言しているじゃないですか。
「中東の石油は日本の生命線である。そこで戦争が起こったら石油が入ってこなくなり、日本の重大危機であるので、自衛隊は中東に行って血を流すことになる」と。
イラクやアフガンに自衛隊は行くことは絶対ないなんて嘘ですよ。

阿部首相というのは、野田前総理が衆院解散を決めたとき衆院改革をやると約束したはずでしょう。そんなことはどこへやら。約束を守らない総理の言うことなんて信用できるはずがありません。初めからうそつき総理です。

安倍首相の意図は、日本を戦争のできる国にすること、米国との関係を(彼なりの考えかたで)対等な関係にすることなのでしょう。

確かに、日本の安全保障について、いわば日米安保に乗って思考停止の状態できたことが、彼のような歴史修正主義者によってわが国の方向を決められようとしている背景なのかもしれません。その前段としては、戦争責任の追及が中途半端に終わっていること、平和憲法が与えられたものとして受け止められ国民の血肉となっていないことがあるのだろうと思います。

同じく、安保法制懇のメンバーである、細谷さんという方が、Blogosに「集団的自衛権容認論への批判」を論う文章をアップしています。これについても、近々取り上げたいと思っていますが、その内容は、安倍首相の論理ととても似ています・・・安保法制懇が、同じ発想の方々を招集して作られた諮問機関であることを反映しているのでしょう。国民のなかでの議論、そして選挙を通しての審判を経ないで、これほど大きな国の方向性の変更は認められません。

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