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国民の財を簒奪するインフレ 

京大名誉教授の伊東光春氏が、岩波書店から「アベノミクス批判」という本を出している。2014年7月30日第一版。

それによると、日銀の「量的・質的緩和」は景気浮揚につながらない、という。

日銀の黒田総裁、岩田副総裁等が考える、この金融緩和の効果は、下記の通りである。

I 日銀の大量の金融緩和(円の大量供給)> II 予想インフレ率の上昇(人々は将来物価が上昇すると考える)> III 予想実質金利の低下> IV 設備投資が増加(景気の浮揚)

I から IIへのプロセスが、実際に生じる可能性は小さい。現実は、需要よりも供給が過剰になっているためである。

III から IV へのプロセスも起きえない。これは、「オックスフォード調査」ならびに1984年の経済企画庁調査局による調査により明らかにされている。利子率の変動幅は0.5から1%程度だが、それよりも設備投資による利益率の変動幅の方がはるかに大きく、利子率の低下が設備投資の決定要因とはならない。設備投資を企業が行う動機は、「予想以上の需要の増加」「他企業との競争力の維持」のためである。III から IV へのプロセスが、歴史的にも、理論的にも生じえないことが明らかである。

彼らが指し示す、もう一つの経路は以下のようなものである。

II 予想インフレ率の上昇 > III 実質金利引き下げ > IV 手持ちの資産価値増加 > V 消費支出増加

これは、利子率が下がると、債券価格が上昇する、という経験則に根拠を置いている。だが、国民の資産は、債権だけではない。不動産も預貯金もある。物価上昇により、預貯金は目減りし、住居の価格が1%程度上昇しても、消費を増やそうという行動には結びつかない。将来物価が上がると予想する人々の多くは、むしろ消費支出を切り詰める可能性が高い。日本リサーチ総合研究所が2013年6、8、10月に行った「消費者心理調査」が、それを実証している。

通貨大量供給は、それが意図した「投資増」「「消費支出増」はもたらさず、むしろ円安に伴う輸入原材料の価格上昇による物価高が見られ始めている。

日銀による大量国債の引き受けによる通貨増発は、第二次世界大戦のわが国の財政政策と同じであり、通貨増発による財源調達を政府が行うということである。

大まかなところ、大量の金融緩和政策の内実を、伊東氏は、このように批判している。

我々の実感も、その批判が正しいことを日に日に示している。需要を喚起するインフレではなく、国民の財を簒奪するためのインフレが忍び寄っているのだ

黒田総裁は、この毒薬たる金融緩和をさらに徹底して飲むことを、国民に要求している。


以下、引用~~~





デフレ完全克服には薬は最後までしっかり飲み切る必要=日銀総裁

12時23分配信 ロイター

[東京 5日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は5日、都内で講演し、10月31日に電撃的に打ち出した追加緩和の趣旨を説明し、「デフレという慢性疾患を完全に克服するためには、薬は最後までしっかり飲み切る必要がある」と語った。

黒田総裁は、昨年4月に導入した量的・質的金融緩和(QQE)の下で「デフレマインドの転換は着実に進んできている」が、「中途半端な治療はかえって病状をこじらせるだけ」(ブログ主注記:この台詞、藪医者がしばしば使う文句だ)と指摘。QQE導入の際に「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に2%の物価目標を実現すると宣言した」とし、その考えに変わりはないと強調した。

2年の達成期限にこだわることに異論がある点については「いつかは2%にするというのでは、企業や家計が2%を前提に行動しようとは思わない」とした上で、「デフレ期待を払しょくし、人々の気持ちの中に2%を根付かせるには、それなりの速度と勢いが必要」と述べ、未曾有の金融緩和にまい進する姿勢に理解を求めた。

コメント

株も為替もやっていない人大多数の人は、インフレ目標2%は恐らく意識しておらずガソリンが160円になった、スーパーのラーメンが高くなった、給料手取りが増えない、など目の前の変化に敏感に反応し、消費を抑える様に行動するのが普通だと思います。一般人に聞けば分かる話ですね。今の時代に物価が上がるのが分かっていても、今持っているもので十分、今何かを買おうなどと言う人はあまりいないのではないでしょうか?(要はものが行き渡っていると言うことだと思いますが)。

インフレターゲットは政府による国民の財の収奪目標

現在のデフレ状態(本当のデフレではない)は、高齢化、人口減少による需要の減少のために生じているので、金融緩和では需要は生まれません。日銀、その背後にいる政府は、一種の宗教的な信念で、金融緩和に突き進んでいますね。

インフレも、好景気の際のインフレは、問題ではないですが、景気の状態はそのままでインフレが進むのは悪いインフレで、国民を苦しめます。今夕のニュースで、この夏のボーナスが3%増えたとやっていましたが、この数字は、ボーナスが支給されている会社、組織での話でしょう。アベノミクスで景気が改善している、国民の収入が増えていると、政府は言いたいのでしょう。が、そうは言えませんね。年金は、毎年減らされ続けています。年金生活者の我々にはこれからの物価の見通しは大変です。

私は、基本的には、増税はやむなしだと思うのですが、増税分は、社会保障と、国の借金の返済に使ってもらいたいと思っています。しかし、政府は、増税分をそっくり法人税減税に充てるつもりのようです。

専業主婦の年金、医療保険負担が、年7万2千円増やされる様子です。女性活用というスローガンは良いのですが、こうやって専業主婦を社会に追い立てる政策は好ましくないように思えます。家事、介護等で社会に出られぬ主婦も多いわけですから。

あの黒田総裁が、2%のインフレ目標を実現すると、悪びれる様子もなく述べるのを見るたびに、あれは政府が国民の財を奪い取ろうとしているのだということが、果たして国民は分かっているのだろうか、と疑問に思っています。

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