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医師の労働条件の悪さが、医療事故を増やし、医療を荒廃させる 

臨床医の仕事は、目の前の患者さんの問題をすべて瞬時に列挙し、それの重さ・原因の可能性を出来るだけ早い時期に判断する、治療に伴う病状の変化・検査結果が得られると同じ作業を繰り返す、それらの一連の連続した作業になる。睡眠が足りなくなると、様々な可能性を想定することが難しくなり、注意力・判断力も大きく低下する。これは、自分のこれまでの経験から実感することだ。

現在、医師不足が様々なところで明らかになっているが、特に、地域医療の中核の公的な病院での医師不足が目立つ。彼等が、やりがいのある仕事場を後にするのは、労働条件の悪さが大きな原因になっている。さらに、医療訴訟の増加も、医師の士気を大きく落としている。これらの問題は共に、労働条件の悪さ、長時間労働に起因する。

長時間労働が、医療事故を起す誘因になっている、という論文がある。長時間労働によって、36%も医療上の誤りが増えた、というのだ。

N Engl J Med. 2004 Oct 28;351(18):1838-48.

CONCLUSIONS: Interns made substantially more serious medical errors when they worked frequent shifts of 24 hours or more than when they worked shorter shifts. Eliminating extended work shifts and reducing the number of hours interns work per week can reduce serious medical errors in the intensive care unit.

官僚・マスコミそれに国民も、今まで通り、さらには今まで以上の低コストで、より安全な医療を要求している。それは、無理なのだ。

最近、僻地医療を研修を終えた医師に義務化する議論もあるが、医師を増員すること、その経済的な手当てを行うことの議論が欠けている。地方自治体に医師の配置を司る、大学医局に代わる協議会とやらを立ち上げる積りらしい。そこでも、財政的な手当てを伴う医師の労働条件の改善は検討される気配はない。僻地に若い医師を強制的に配置したり、官僚主導の医師配置の新しい行政組織を立ち上げる前に、現在地域医療で奮闘している中堅医師の労働条件を見直すことが必要だ。

安倍首相は、医療のどこが高コストなのか、早く明らかにせよ。その根拠の無い発想が、医療を荒廃させている。

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