これからの医療 

年末にちょっと目の具合が悪くなり(というか以前から悪かったのだが)、近くの眼科にかかった。窓口で手続きをして(その際に、主訴にあたる症状については尋ねられた)、しばらくすると、これまで何度かかかった眼科と同じく、検査を一式行う。視力、眼圧、角膜検査、網膜の断層撮影(?)等々である。診察の前に、この一式の検査を行うのは眼科では当然のことなのか、といつも疑問に思う。いよいよ診察が済んで、眼底も診るということになり、散瞳をかけられて、効果が出るまで20分程度待合室で待つ。スリットランプで覗かれた上に、眼底をくまなく検査。眼底カメラで写真を撮られた。で、結論は、白内障と、老化現象。説明は1分とかからぬ。

私が医療従事者だと知って構えられてしまったのかもしれない(勿論、一患者として失礼のないように医師には接したつもりだった)。しかし、質問をしたりする余裕はあまりなし。あまり深刻な状況ではないことが分かったので、それ以上説明を求めずに、診察室を後にした。

診察する前に、routineで検査一式を行うことにはやはり疑問がつく。医師たる者、病歴を聴き、簡便な検査をしたうえで、疑われる病態、疾患の診断に必要な最小限の検査を行うべきなのではないか、というのが率直な感想だ。以前、明らかに椎間板ヘルニアと思われる症状でかかった整形外科でも、診察前に、腰のレントゲンを三方向だったか撮られたのにはびっくりしたことがあった(単純撮影では、情報は少ないはず)。マイナー科では、診察前に検査をするというのが当然のことなのだろうか。やはり、医療経済から言って、また患者への負担の問題からしても、こうした検査先にありきの診察は解せない。

ただ、眼科のこの開業医の立場に立つと、診察だけでは患者単価が極めて低い、それで、検査を一通りやることと、患者数をこなさなければならない、という事情があるのかもしれない。初診で二千数百円、再診では七百円前後だったと思うが、この技術料では、医院を経営してゆくには厳しいものがあることは事実だ。あれだけ重装備の医院で、なおかつスタッフも多数配置している医療機関では、相当の収入が必要だ、

現政権は、医療費を削ることを目指している。恐らく、傾向的にすべての検査をすべての患者に行うようなことは、認められなくなるのだろう(今でも、それは厳しく査定されているはず)。それと引き換えに、恐らく、高度の検査、技術手技には、自費診療が適用されるようになるのかもしれない。そうしなければ、医療制度自体が成り立ちにくくなってしまうのではなかろうか。是非期待したいのは、基本的な医療技術(診察等の技術)への対価を正当に評価してもらいたいことと、自費診療をできるだけ限定することか。現在の歯科のように自費診療でなければ、満足な診療を受けられないということでは困る。・・・何か、医療経営者的発想と、患者の発想がごちゃ混ぜであるが、正直なところである。

医療については、これまで医療従事者、患者ともに、幸せな時代だったのかもしれない。特に、患者にとっては、一応皆保険であり、医療コストによる差別は殆どない、幸せな時代であった。しかし、これからはそうは行かなくなることだろう。医療であっても、まだ無駄はあるはずなので、それを適切に削ること、さらに医療福祉以外の領域で大きな国費の無駄遣いがある。それを削るように政治に働きかけることが、国民が行うべきことなのだろう。国の中で医療の占める位置、医療の中でお金がどのように動いているのか、ぜひ関心を持っていただきたいものだ。

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