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自民党 金融財政部会 が述べる Xday その(2) 

6.政策対応の基本的な考え方

政府は、国債金利の急上昇を未然に防ぐためにも、平素より常に市場の動向に関心を持って注視しておくべきであるが、我が国において、仮に、国債価格が将来への国債償還への不安を主因として短期間大幅に下落し更に市場関係者の動揺が収まらない状況が生じたような場合に、深刻な事態に発展させるこ
となく沈静化させるためには、まず、財政に対する信認を回復することが必要不可欠であり、財政再建について、強いメッセージと断固たる具体策を示さなければならない
また、国債市場の動揺を最小限に抑えるとともに、国民経済を守るため、思い切った対応を機動的にとらなければならない。その際には、関係閣僚や日銀総裁が迅速に連携を取って対応にあたることができるような緊急対策本部を速やかに立ち上げる。

(1)財政政策

国債金利が急騰する事態を沈静化させる最も重要な政策は、財政再建の道筋を示し実行することである。国債の将来の償還に対する不安から金利の急上昇が起きた後、財政再建を行おうとすれば、その時点では、IMF支援が実際に行われるかどうかは別としても、ギリシャやアイルランドで見られるような、危機前に必要とされるレベルを大幅に超える極めて厳しい歳入・歳出の見直しを行わざるを得ず、社会保障の削減や思い切った増税も含めて、­ 国民経済に極めて大きな影響を与えることを覚悟しなければならない
(注)ギリシャ・アイルランドの財政健全化策を対GDP比で我が国の経済規模に置き換えると、ギリシャの財政健全化策は単年度で約31兆円、アイルランドのそれは単年度で約18兆円の財政健全化策に相当する
(なお、我が国の社会保障関係費全体は28.7兆円)

ア)まずは、財政当局は、財政再建に向けた強いメッセージを緊急に発する。
国民に対し財政の極めて厳しい状況を訴えつつ、中長期的な財政健全化をどのように図っていくのか、政府として明確なビジョン、具体的な目標及びそのための工程表を、その法制化も含め決定し、財政再建に向けた強いメッセージを発するとともに、当面の財政再建策を早急に実施しなければならない。

イ)具体的な財政再建策の策定に当たっては、歳入・歳出両面にわたって、あらゆる選択肢を視野に検討していかなければならない。例えば、歳出面においては、主要な歳出分野である社会保障・地方向け歳出についても、市場の信認確保のためには、思い切った見直しが必要不可欠である。一方、歳入面においても、消費税を含め、あらゆる税目について増税を検討せざるを得ない

ウ)政府は、こうした具体策を一歩一歩着実に実現することにより、日本国債に対する信認を揺るぎないものにしなければならない。
そのためには、こうした事態に至った原因について国民に真摯に説明し、財政再建の進め方について理解を求める必要がある。また、市場との関係や国際社会との関係でも、財政再建に対する政治の揺るぎない意思及び具体的な対応策について明確に伝達するとともに、きめ細かな情報発信や丁寧な対話を行わなければならない。

(2)国債管理政策
国債市場において金利が急騰した場合には、
ア)まず、国債発行が円滑に進むよう、発行計画の見直しや買入消却等を機動的かつ柔軟に実施しなければならない。
イ)あわせて、市場との丁寧な対話を行い、政府の財政の現状や財政再建に向けた取組みを含め、正確かつわかりやすい情報をタイムリーに提供していく。その際、格付会社に対しても、我が国の財政再建へのコミットメントを含め、国債市場を巡る状況を丁寧に説明し、我が国の強いファンダメンタルズに理解を求めなければならない。

(3)金融政策
国債市場での金利の急激な上昇により、金融機関間のカウンターパーティリスク(*取引の相手方のことで、そこが債務不履行を起こすなどして、損害が発生する危険性例えば、銀行間どうしの取引で資金を貸し出した相手が破綻したり、一般企業でも取引の相手方が契約の不履行を起こすなどのケースが考えられます。)が顕著に意識され、金融機関間および対企業への資金供給の目詰まりを起こし金融市場が機能不全に陥る可能性がある。
日銀は、こうしたことを回避するため、前例に囚われず思い切った潤沢な資金供給を金融市場に対し機動的に行う。
そのため、日銀は、市場での資金の供給の円滑化を図り、国債市場を安定させるため、国債の買い切りオペ(日銀が金融調節のため、銀行や証券会社を相手に行うオペレー ション<公開市場操作>の1つ。銀行などが保有する長期国債を買 い取ることで、金融市場に資金が潤沢に回る効果が期待できる)額の大幅な増額を図らなければならない。
また、あわせて、リーマンショック時に米国FRBが講じた一連の非伝統的な措置や量的緩和策を参考に、リスク資産等の購入も思い切って行わなければならない。

(4)金融行政
国債金利が急騰する局面では、まずは、市場の過度な変動を助長する投機的な動きを防止するため、値幅制限やサーキット・ブレーカー等既存の規制を活用し市場の沈静化に努めるとともに、状況に応じ、これらの厳格化等の市場の沈静化策について関係者において検討する。
また、国債市場の動揺が他の金融市場等に伝播し、経済活動全体に不透明感を生じさせないよう、他の関係当局や海外当局とも緊密な連携をとり、金融システムの状況にかかる情報の適切な提供や市場参加者との対話などを通じて更なる市場の安定化に取り組む。
また、必要があれば、リーマンショック時の対応等も参考に、金融機関規制の適用について、監督上の弾力的な対応を検討する。併せて、金融機関の財務状況によっては、金融機能強化法の活用も検討する。なお、急激な市場環境の変動により流動性が極端に低下する場合は、企業会計についてリーマンショック時の対応等も参考に、市場の信認に配意しつつ、関係者において柔軟な対応がなされなければならない。

(5)その他
国債市場の混乱が、株式市場、為替市場等に波及し、経済のファンダメンタルズから乖離した投機的な動きが顕著となった場合には、関係当局において、海外の当局とも連携しつつ、適切に対処しなければならない。

7.終わりに

(1)国債の将来の償還に対する不安をきっかけとした金利の急上昇は、欧州諸国の例を見るまでもなく、我が国として厳に避けなければならない。我が国では少子高齢化が急速に進んでおり、これ以上、後世世代への「つけ回し」を行うべきではない。現在の財政状況を放置し、金利上昇というさらなる重­荷を後世に押し付けるのであれば、それは、我が国の未来に責任を持つべき現世代の怠慢と言わざるを得ない。そのような事態を断固として避けるべく、財政健全化を着実に進めなければならない。

(2)さらに、今回の東日本大震災からの復旧・復興については、巨額の国費を投入する必要があり、我々としては復興再生国債の発行を考えている。
この国債の発行にあたっては、あらかじめ償還の道筋を明らかにし、国債市場の不安定要因を除去することは当然のことであり、この点について留意する必要がある。

(3)我が国において将来の国債金利の高騰等の懸念がまだ現実味を帯びていないのは、市場において、国債発行が限界を迎える前に、政府が財政健全化に向けた具体的な取組みを行うとの期待が存在しているからである。
民主党政権は、マニフェストの問題点を真摯に反省し、その抜本的な見直しを行うとともに、税と社会保障改革の議論を軌道に乗せなければならない。これが、厳しい財政状況の下、民主党に真に求められることであり、それができないなら、民主党は潔く政権を退くべきである。

(4)我々、責任野党の自民党としては、市場関係者や学識経験者、政策当局と綿密な意見交換を行い、金利が急上昇した場合の万一の備えについて、検討を行ってきた結果、本報告書をとりまとめることとなった。ことの性格上詳細について文章にしていないところもあるが、今回の報告書の最大の目的は、民主党政権の無責任な財政政策に警鐘を鳴らすことであり、その内容を実行せざるを得ない事態に陥らないことを切に希望するものである。
(以上)

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