川内原発審査の問題点 

石橋克彦神戸大学名誉教授が、原子力規制委員会による川内原発審査の問題点を、世界4月号で指摘している。石橋教授は、東電福島第一原発事故直後の2011年7月に、判明した範囲での同事故の原因、背景、さらに原発廃止への展望を記した岩波新書「原発を終わらせる」を編集・記述なさった地震学の権威である。

原発施設に大きな影響を与える地震を、次の三種類にわけて検討することになっている。

1 内陸地殻内地震・・・陸のプレート内で生じる地震

2 プレート間地震・・・海・陸プレート境界に生じる地震

3 海洋プレート内地震・・・フィリッピン海プレート内に生じる地震

九州電力は、「歴史的に最大と思われる地震の記録から、2、3は考慮しなくて良い」と再稼働申請書に記して、規制委員会もそれを認めた。

即ち、2の最大規模の地震は、1662年日向・大隅地震マグニチュード7 1/2から7 3/4、3の最大規模の地震としては、1909年宮崎県西部地震 マグニチュード7.6を挙げ、両者共に、川内原発から十分離れており、原発に大きな影響を与える地震ではない、とした。ここで、大きな影響とは、震度5弱以上を指す。

過去の地震の歴史だけで、2、3を考慮しなくて良いと結論するのは誤りである。予想される南海トラフ地震マグニチュード9.0について、内閣府検討会は推計震度の分布図を作成した。それによると、川内原発は、震度5弱の範囲に入っている。南海トラフ地震は、2の例である。フィリッピン海プレートは、鹿児島県の地下にも存在するから、上記の1909年の地震と同クラスの地震が、川内原発付近で起きる可能性もあり、その場合、同原発地域で震度5弱以上の震度になる可能性がある。

以上の事実は、川内原発の新規制基準適合性審査に重大な誤りがあることを示している。

一方、石橋教授によれば、新規制適合基準そのものにも大きな瑕疵がある、という。原子力発電所の事故防止と、事故の影響緩和の国際標準の指針である「深層防護」を、新規制基準は取り入れ徹底している、というが、そうなっていない、ということだ。「深層防護」の第五層である、放射性物質大規模放出にともなう放射線影響の緩和を、原子力防災に丸投げしており、新規制基準では扱っていない。原発施設外での放射能災害を防止する対応が、国際標準では入っているのに、新規制基準には入っていないということだ。新規制基準は、その第五層を、原子力防災で対応するとしているが、原発の規制基準としては不十分である。さらに、地方自治体に丸投げされている原子力防災では、川内原発の場合、i医療機関の入院患者対応に関して、鹿児島県は半径10kmの範囲しか対応しない、対応できないと県知事が述べている。半径30km圏内の住民への対応も、地方自治体任せである。

これで、」安倍首相がことあるごとに述べている、東電福島第一原発の教訓から学んだ「世界一厳格な安全基準と、果たして言えるのか。原発再稼働がまず最初にあり、そこからすべて話が進められているように思える。新たな原発再稼働安全神話だ。

川内原発は、近々再稼働される予定である。

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