TPPは、国の形を決める 

TPP妥結が、現政権、官僚によほど大きな利益をもたらすのだろう。政府は、TPP妥結に向けて前のめりになっていると、この記事では報じられている。

国民の本当の利益が何なのか、良く考える必要がある。TPPは、国の形を決める。グローバリズムの名のもとに、グローバル巨大資本に、わが国が飲み込まれるかどうかの問題だ。グローバル資本は、わが国への投資が思うに任せない、彼らの利益にならないとなれば、WTO下部機関に訴えることができるようになる。その判決は、国内法よりも優先する。こうして国の形を決めるTPP交渉の内容が、国会で議論されぬうちに決められる。これはどう考えてもおかしい。

医療介護領域でいえば、巨大保険資本がわが国の医療介護を取り仕切るようになる。国民の財産は、彼らの餌食になる。TPPが成立してからでは、後戻りができない。

以下、引用~~~

日本だけが譲歩カード切る 交渉経過の情報公開を 大妻女子大教授 田代洋一 識者評論「TPP合意至らず」

記事:共同通信社
15/08/03

 米国の大統領選、日本の参院選をにらんだ国内対策から、ぎりぎりの日程とされていた7月末の環太平洋連携協定(TPP)閣僚会合が、大筋合意に至らなかった。

 原因は、米国がバイオ新薬のデータ保護期間を12年とする主張を譲らず、5年以下を主張するマレーシア、チリ、ニュージーランドなどとの対立が解けなかったため。ニュージーランドが乳製品の輸出拡大を強く主張し、米国がそのツケをカナダに回そうとして玉突きになったこと、などとされている。

 主因は米国の強硬姿勢にある。オバマ政権が米国を仕切れなくなったということかもしれない。

 その中で、日本だけが交渉を主導するなどとしながら、一方的に妥協カードを切ってしまったのが目立つ。会合後の記者会見で甘利明TPP担当相は「もう少しで着地する。大きく前進した。もう一度の会合で決着」と述べた。フロマン米通商代表よりも前のめりだ。

 合意に至らなかった点は、いずれもTPPの本質に関わる。

 第一は、バイオ新薬をめぐる対立は、新薬開発に投じられる巨額の投資を確実に回収したい米国や日本の製薬資本の利益と、ジェネリック医薬品(後発薬)化に命を託す各国国民の利益の正面衝突である。

 第二は、それぞれに立場の違いはあれ、どの国にとっても最もナショナルな産業である農業の利益を譲れない点だ。

 問題は日本である。日本は2013年にTPP参加に際してコメ、麦、牛・豚肉、乳製品などを「除外、または再協議」するとした。そのことごとくについて、大幅な譲歩カードを今回切ってしまった。そのほか、鶏肉、卵、水産物の関税撤廃も伝えられる。今や丸裸の状態で、もう手の内にカードはない

 それは実は今に始まったことではない。牛肉関税の9%への引き下げ、豚肉関税の従量税の1キロ当たり50円への引き下げなどの数字は、14年4月の日米交渉時に一部報道機関がすっぱ抜いたのと同じものである。つまり既に1年以上前に妥協してしまっているのである。

 どの国も自国の国民・産業を守るのに死に物狂いになっている時、日本だけがこれでいいのか。いま日本はコメ過剰を回避するために飼料米生産に必死だが、米の特別輸入枠やら畜産物の輸入が増えたら、その努力も水の泡である。

 TPPで消費者がどれだけ得するか、といったマスコミ報道がにわかに目立ちだしたのも気になる。多少値が下がったところで忘れているものはないか。国が国民の健康・安全・環境を守るための制度が、海外投資家の利益をそぐものであるとして国を訴えることができる紛争解決手続き(ISDS)条項も決着済みと伝えられる

 問われているのは国民生活の利益だ。交渉が長引くにつれ、国民の声をバックにした粘り強さだけが頼りになる。そのためにもこれまでの交渉経過の情報公開と国民的論議が欠かせない。

   ×   ×

 たしろ・よういち 43年千葉県生まれ。東京教育大卒。経済学博士。専門は農業経済学。著書に「戦後レジームからの脱却農政」など。

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