領土問題で熱くならないこと 

領土問題は、国民の狭量な愛国心に火をつけやすい。それを利用する政治家もいれば、国民がその問題で熱くなりすぎ、政治の判断を誤らせることもある。

尖閣諸島の問題は、もともと日中両国が棚上げにしていたところ、石原都知事(当時)が、東京都で買い上げるとぶち上げたことから、現在の緊張状態が生じた。尖閣諸島が、米国の施政下から戻されるときに、施政権の返還を明示したが、その領有権について明言しなかった米国に、現在の尖閣諸島領有権問題の根本がある。狭量な愛国心から、尖閣諸島の領有権を強硬に主張し、さらには軍事的に支配しようとすることでは、問題は解決しない。一旦、国有化以前の状態に戻し、そこから外交交渉で問題の決着を図る以外にないのではないだろうか。

南シナ海の島々を中国が支配しようとしていると報じられている。海洋利権を重視し、いくつかの島、岩礁を実効支配し、一部には軍事利用可能な施設も建設しているらしい。だが、一方で、それらの島々の一部をベトナム等は1970年代から支配し、資源開発、軍事基地化してきたことも忘れてはなるまい。西側諸国はそれは問題にしない。このところの中国脅威論も、実態がないわけではないが、突然米国から打ち上げられた。その一方、元米太平洋軍司令官デニス・ブレアが、今年4月、日本外国特派員協会で行った講演で、「東アジアを見渡した場合、紛争が起きる可能性があるところは見当たらない」と述べている。WSJの報道に始まる、唐突な強調された中国脅威論は、日本の安保法制制定を背後から援護する意味があると、『世界』8月号で岡田充氏が述べている。彼の推測では、安保法制が成立したら、この脅威論は影をひそめるはずだ、とのことだ。私も、大いにありうる話だと思う。南シナ海の海洋利権に関しては、中国と東南アジア諸国の間で議論しようという動きもあった。それを背後から静かに見守ることが、当面必要なことなのではないだろうか。日米安保の軍事面を先鋭化することによって利権を増大する勢力の思惑に踊らされないことだ。

領土問題に熱くならないこと、領土問題については歴史的経過、西側マスメディア以外からの情報もよく把握し、冷静に判断する必要がある。

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