生きた英語 

小生の英文ブログを読まれている方は、すでにご存知かと思うが、香港のハムVR2UNA Chen、ハンドルはKC、という方からコメントを頂いた。CWの練習中ということと、簡単なアンテナしかないので、JAとも交信できるか分からない、私の信号を一度聞いたことがある、ということだった。彼は、大変流暢な英語を書かれるうえ、日本語も達者な様子だ。

そこで、普段から疑問に思っていたことを彼に尋ねてみた。中国のハムは、いわゆるラバスタばかりだが、あれは当局の指示で行っているのか、という疑問だ。中国でも英語が義務教育に入ってきているはずで、あの極端なラバスタは何か背後に理由があるはずだ、と思ったのだ。

彼の返事は、至極簡単明瞭だ。英語力の乏しさのゆえに、英語によるラグチューができないのだろう、というのが彼の返答だった。その証拠の一つに、14メガのSSBに中国語をしゃべるJAのハムが出たら、中国から盛大なパイルになっているのを聞いたことがある、というのである。CWのラバスタ全盛である直接の理由にはならないかもしれないが、やはり語学の壁が彼らにとって大きいということを示しているのかもしれない。

これは他人事ではない。我が国のCW界も似たり寄ったりではないか。

英語を用いたCWの交信は、読み書きと相同であることは以前から何回も記した。日本の義務教育で学ぶ英語の語彙と文法の知識を用いれば、ヒアリング、発音の壁がない分、普通の意思疎通は容易にできるはずだが、なかなかそうはいかない。英語の勉強を終えて時間が経っているために、忘れてしまっているのかもしれない。が、努力をなさっている方でも、実際の交信では結構苦労されているのを耳にする。(他人事ではないのだが・・・。)

何が欠けているのか。私にはすぐに答えが出せないが、うすうす感じているのは、チョムスキーが言うところの生成文法のロジックが欠けているのではないか、ということだ。生成文法とは、先験的に人間に備わるある言語の文法上のロジックという風に理解している・・・少し範囲を広げて、言い方を変えれば、「生きた英語」ということだろう。たとえば、英語ではSVOという文法があり、nativeにとっては、これは考えなくても出てくるもの、理解できる構文になっている。ところが、我々はややもすると、何が主語で、何が目的語か、そしてそれらの間に入るのが動詞か・・・と分析的に考える。そうやって考えていては、読み書きであっても会話は成立しない。それが考えずに出てくるようになって初めて生きた英語をものにできた、となるのだろう。

生きた英語というのは、よく耳にするキャッチフレーズだが、それを確実に早く身につける方法は、残念ながら一般化が難しい。とうか、私には、それを他人に教授するだけの力はない。わずかな経験から言えることは、まずnativeのようになることは諦めること。nativeになることは、すなわち先験的な文法能力を獲得することであり、それは不可能なことだ。だから、完璧でなくてもよい、コミュニケートの道具として英語を使えれば十分と覚悟を決めることだ。そのうえで、まずは繰り返すこと。辞書を引く、簡単で大切な構文が考えずに口に出るまで繰り返すこと。さらに、重要なのが、実際のコミュニケーションに英語を用いて果敢に挑むこと。実際のコミュニケーションでえられた経験は、成功体験であれ、失敗であれ、記憶に残る。この場合の記憶とは、まさに生きた記憶になるわけだ。

欠けていること、もう一つ、これもかなり乱暴な言い方になるが、度胸をつけることも大切だ。生きた英語の習得法にも通じる。ややもすると、受験英語に慣れた我々は、完璧に読解し、また完全な構文を作文しないと、口に出せないという完璧主義がある。実際の、コミュニケーションではそれが阻害要因に十分なる。読み解く場合に、主題を把握したうえで、キーワードが何かと常に意識していれば、文脈を外すことはない。もしどうしても分からなければ、問えばよいことだ。作文は、言うべきことを意識において、あとは使える言葉を用いて書き出す。もし途中で、必要な単語が出てこなければ、言い換えるか、または最初から書き直せばよいのではなかろうか。よほど突っ込んだ議論でもない限り、それでCWによる会話は成立する。

中国では、きっと当局による監視もあるのかもしれないが、急速に自由化が進んでおり、ハムの英語力が向上すれば、ないし上記のように使える英語力に気づけば、きっとそう遠くない将来、アマチュア無線を通して中国のハムと突っ込んだ話ができるのではなかろうか。あ・・・、こちらも同様に生きた英語の力をつける必要があるわけだが。



コメント

先日韓国の局とCWでラバスタ+をやった後すぐにメールがありました。曰く、横文字のCWでは色んな会話を交わすことができなかったのでメールしています・・とのことでしたが、やはり英語+CWでの意思疎通は仕事で英語を使っている方でもハードルは高い様です。
CWTOEIC900オーバーの方でも実践では苦労する方も多いと聞きますがこの様な方は場慣れさえすれば相当なレベルの会話が出来るはずです。一方点数はたいしたことが無くても意思疎通が出来る方も沢山いますがこちらは話題によるはずです(仕事の話は大概出来るが身近な話題はNGとか)。 CWでも同じことが言えるなか・・と思います。やはり地道にいろんな話題に対応できるようにして語彙数を増やすことと実践を勇気を持って行いその繰り返しがレベルアップになると思います。

試験、学校の成績と、英語が使えるようになるかどうかは、ある程度の相関はあるでしょうが、その相関係数は大きくはなさそうですね。

使えるようになるかどうかの一つのポイントは、日本語がどれだけしっかりしているか、ということにもあるのではないかと思っています。

やはり日本語の力がないと、外国語も伸びない。その点で、ザルから砂が抜け落ちる状態の私の日本語は大いに心配です。せいぜい実地に使い、大いに辞書を引き続けないといけないと常日頃感じています。

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