第五の権力 

マスメディアが、重要な問題の報道の内容が、なぜ横並びになるのか、さらに政府の広報を担うような報道を行うのか、いつも疑問に思ってきた。漠然と、マスメディアは「持てる側」に属するためだろうと考えてきた。政府広報機関としてのマスメディアを現場から維持しているのは、記者クラブなのだろう。

世界10月号に「広告がメディアを支配する 巨額の広告費を背景にした「第五の権力」の誕生」というタイトルの本間龍氏による論文が掲載されている。それによると、端的に言って、広告業界がマスメディア、ことに活字系のメディアに対して、強力な影響力を行使している、ということだ。広告業界が、スポンサーである大企業とマスメディアを仲介する。広告業界は、電通と博報堂の寡占状態であり、とくに電通が広告の売り上げ6兆円の4割を占めて、強力な影響力を行使しているらしい。電通の売り上げは、過去十年間で二倍に増えたとのことだ。

電通は、広告だけでなく、オリンピックやほかのスポーツイベントの放映権も独占的に扱っている。自民党も電通を通して広告を出している。電通は、マスメディアに対して、スポンサーの意向を伝える、ないしその意向の代弁をする。マスメディアは、やがてそうした意向を先取りして、自主規制を行う。たとえば、福島第一原発事故以前の東電は、毎年500億円の広告費を使い、原発の安全性だけをマスメディアを通して宣伝してきた。マスメディアも、その意向に沿って、原発の安全性の問題を取り上げることをしてこなかった。最近では、東芝の粉飾決算についても、マスメディアは腰の引けた報道姿勢でいる。同社がスポンサーとして莫大な広告費を使っているためである。

もっと問題なのは、自民党との関係だ。前記の通り、自民党は電通を通して、広告をだしており、また人的な面でも深い関係があるらしい。マスメディア、とくに新聞社の経営者と安倍総理が頻繁に会食していることはよく知られている。総理就任後、その回数は60回にも及ぶという・・・異様だ。特に、政府広報紙たる読売新聞と産経新聞の経営者とは頻繁に会っているらしい。電通を介した、マスメディア支配の問題の方が、より深刻である。今春、安倍首相を支援する自民党議員が、言うことをきかぬマスメディアに対しては、スポンサーに働きかけて広告を取り下げさせてこらしめるべきだとぶち上げて大きな問題になった。

実際そうしたことも、電通を通して容易に行いうるのだろう。マスメディアの自主規制という形で、政権与党の意向に沿った報道が、実際に行われている、と考えるべきなのかもしれない。この電通の寡占体制、さらに広告を介しての世論誘導は、あってはいけないことだ。ただ、マスメディアとひとくくりに扱うのは、少し乱暴かもしれない。中には、真実を伝えるべく努力している報道機関、その現場を担う人々がいることも事実だ。だが、我々は、マスメディアの多くの報道が上記のようなバイアスがかかったものであることをいつも念頭に置くべきだろう。

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