診療報酬改定前の風物詩 

診療報酬改定の時期で、いつものニュースが出た。行政からマスメディアに垂れ流される情報で、内容は、医師がいかに高給であるか、そして診療報酬が医師の給与などで消える、という構図のステレオタイプな記事。

この厚労省の調査のサンプルがどのように決められているのか、詳細が開示されない。私もこの類の調査対象になったことがあったが、かなり面倒くさい調査だ。小規模な医療機関では、おそらく対処し難いのではあるまいか。データ処理も、行政は恣意的に行い、結論先にありきであることが少なくない。適切なサンプリングが行われ、そのデータ処理がきちんと行われているのか、かなり疑問符がつく。

さらに、以前にもコメントしたことがあるが、各々の年収の内容が問題だ。ここの院長というジャンルは、民間病院の院長であり、大多数はオーナー経営者でもある。また大多数の診療所院長も同じ身分である。それなりの初期投資を行い、リスクをとり経営している。法人でなければ、退職金はない。診療所院長の場合は、診療所の維持管理費用、さらに設備投資費用を、この収入からまかなう。この年収には様々な要素が入っているため、一般の給与生活者との比較は意味がない・・・それにしても、この金額は高額すぎ、現実を反映していないような印象があるのだが。病院長のなかで民間病院よりも年収の少ない公的病院の院長の給与をわざわざ除外してある。

この報道で笑ってしまい、ついで怒りが込み上げてきたのがほぼ同額の病院長、診療所院長の年収の変化に対する評価である。

前年に比較して、民間病院院長の年収は0.1%の増加である一方、診療所院長のそれは0.5%のほぼ横ばいである、という下りである。このデータが真実であるとすると、民間病院院長の年収は、2.93万円のみの増加で、一方診療所院長の年収は14.57万円も減少しているのだ。それを前者は増加と評価し、後者は横ばいとする、この可笑しさ。公的病院院長の年収を加えると、平均値が下がり、かつ公務員給与と同じ変化をしているはずである。それをオミットするのも公正さを欠く。

この記事が、最初に述べた意図をもって書かれていることを明白に示す証拠である。

以下、引用~~~

民間病院長、年収2900万円超
2015年10月29日(木)18時18分配信 共同通信
 2014年度の医師の平均年収は、医療法人が経営する民間病院の院長が2930万円で、13年度より0・1%増えたことが29日、厚生労働省の「医療経済実態調査」で判明した。一般診療所の院長(主に開業医)の年収も2914万円で同0・5%減とほぼ横ばいで、ともに高水準を維持した。厚労省は11月4日の中央社会保険医療協議会(中医協)で報告する。

 民間の病院や診療所の経営が安定していることを反映した。実態調査は2年に1度実施し、医療サービスの価格を決める16年度の診療報酬改定の基礎資料となる。

 診療報酬は医師、看護師など医療関係者の人件費にも使われる。

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