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超高価な新薬と、TPP 

米国では、カーター元大統領が転移を生じた悪性黒色腫から生還したと大きなニュースになっている。肝臓と、脳に四か所腫瘍が見つかったが、治療により、スキャン上腫瘍が消失したということらしい。あの尊敬すべき元大統領が、90歳を過ぎて、悪性黒色腫という、ちょっと前まで絶対予後不良であった癌から生還したというのであるから、こころから喜びたいと思う。

どのような治療を行ったのか関心があったので、ネットで調べた。予想通り、抗PD1抗体を製剤化した薬を用いたらしい。PD1は、リンパ系細胞に表現されており、それがあると腫瘍免疫が阻害される・・・したがって、PD1を阻害すれば、腫瘍免疫が活性化されるとして、さまざまな悪性腫瘍に使われ始めているらしい。我が国でも、悪性黒色腫の保険適応はすでにあり、近々、非小細胞性肺がんにも適用が拡大される、ということだ。

だが、問題はその値段である。米国の商品名Keytrudaという、この薬剤の米国におけるコストは、年に15万ドル、約1800万円という。我が国では、ネット上の情報では、月額500万円ということだ。この薬剤が、悪性黒色腫のみならず、非小細胞性肺がんにまで保険適応が拡大されると、保険財政は完璧に破たんする。今のところ、この製剤の薬価を飛躍的に下げるという話題は聞こえてこない。下げたとしても、対象患者数の多さから言って、保険が財政的に成り立つとは思えない。

実は、これ以外にも、薬剤がどんどん高騰している、というか、新しい薬剤がきわめて高価なのだ。C型肝炎をインターフェロン以外で治療する新たな薬剤は、月額200から300万円と聞く。べらぼうな価格である。

で、政府は、これらの超高薬価の薬剤を一体どうする積りなのか。確たる情報はないが、健康保険での取り扱いを止める、したがって、自費扱いにするしか方法はないのではあるまいか。いや、それしかないと断言できる。

TPP交渉の中身が、我々に理解しやすい形で表に出てこないが、最近号の「世界」に、元衆議院議員の首藤信彦氏が、寄稿している論文によると、次のような筋書きができているらしい。

実質的なTPP交渉は、二国間交渉の積み重ねになっている。それら11件の対米国、二国間協定に、「保険等の非関税処置に関する並行交渉」という章がある。その内容は、以下の分野の非関税障壁について取り組むこととなっている。対象分野は、保険、透明性、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争戦力、急送便および植物検疫である。これらは、1980年代以降、日米構造改革協議、年次改革要望書によって米国が、我が国に繰り返し要求してきた事項である。米国企業が、我が国で全面展開する際の制度障壁をすべて取り除くようにという要求だ。それを、この二国間交渉によって一括して我が国政府は吞んだということだ。

透明性を確保するということから、中医協による診療報酬の決定プロセスに、製薬企業を入れることを、米国側は確実に要求してくる。そこで、医療保険が参入障壁になっていると、彼らは指摘し、少なくとも米国と同じように、薬剤に関してはすべて自費にすることを要求するはずである。それを見越して、政府は、最初に上げた高額な新薬の価格をそのままにしているのではないだろうか。その方が、製薬企業、医療保険民間企業の儲けが大きくなるからだ。

米国でTPPを推進する企業の急先鋒は、製薬企業であるらしい。すでにロビー活動で100億円を政治家に配ったという情報もある。

TPPは反対、農産物関税維持といっていた我が国の政府は、いつの間にかなし崩し的に、農産物関税についても大幅な譲歩を行った。米国がTPPによって得たいと考えている主要な領域は、医療保険分野である。国民皆保険は崩さないと政府は言っているが、すでに皆保険制度は風前の灯となっている。これからは、米国の保険資本による高額の民間保険に加入せざるを得なくなる。

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