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「ヒトラーに抵抗した人々」 

昨年末、近くの大きなショッピングモールに出かけた。大した買い物の予定があったわけではなかったが、以前頻繁に通っていた書店を覗いてみようと思っていた。この書店では、社会科学、人文科学系の文庫本・新書のコーナーがあり、岩波、中公新書等がずらっと並べられていた・・・が、今回、それがあった場所は、大衆小説の文庫本におきかえらていた。文庫本・新書のコーナーは、片隅に追いやられていた。

ハンナ アーレントの「全体主義の起源」の第二、第三分冊があったので、それを購入。そして、ふと「ヒトラーに抵抗した人々」という中公新書に目が留まった。全体主義がどのようにして出現し、人々はそれにどう対処したのか、ということに関心があったこともあり、手に入れ、昨夜読了。

ナチスの時代に、迫害されていたユダヤ人を助け、さらにナチスに積極的な抵抗を試みたドイツ人たちがいたわけだが、戦時中、そして戦後一時期を通して彼らは、国家に反逆するものとして無視され、貶められたということに驚かされる。戦後の占領軍とっても、ドイツのなかにそうした人々がいたこと、第二のドイツがあったことは好ましいことではなかったために、失敗に終わったヒトラー暗殺計画、7月20日事件の生き残り、犠牲者の家族は、厳しい時代を生きたということだ。生存者たちの懸命の活動のおかげで、第二のドイツを生きた人々の名誉は回復され、それが第二次世界大戦の国民的な反省につながっていった。

この本のなかに、ナチスへの抵抗の一つの拠点だった告白教会の牧師、神学者ディートリッヒ ボンフェッファーのことが何度も出てくる。故高橋三郎先生の主宰された、彼の著作の読書会に出たことを思い出す。私が、浪人をしていたころだったか。そこで、以前にもここで何度か記させて頂いた、当時医学部に進学なさったばかりの若井先生とも親しくさせて頂くようになった。以前の記事にも記したとおり、彼は、海外医療協力などで脳外科医として活躍なさり、母校東大医学部教授に10数年前に就任なさった。だが、50歳代の働き盛りで若年性アルツハイマーに冒され、それを数年前に彼は公にした。同病の啓もう活動のために、講演活動などを奥様と行ってきた彼だったが、現在は、社会生活は難しくなりベッド上での生活になっている由。どのような思いでいらっしゃるかと思い起こしつつ、この本を読んだ。

私も60歳代後半に入り、これからの人生でできることはもう限られている。だが、後世に残す社会を少しでも良くするために、できる限りのことをして行きたいと念願している。私にできることは、ほんの僅かかもしれない。だが、それでも現在進行している不条理の出来事がさらに人々に苦難をもたらすことのないように、我々は考え活動してゆかねばならないのではないだろうか、とドイツの戦後の礎を築いたナチスへの抵抗者のこの歴史を読みつつ考えた。

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