親父のメガネ 

いつのころからか、親父のメガネが我が家の食卓の同じ場所にずっと置いてあった。親父がなくなって13年だったか、あたかも食卓の同じ場所、いつも奥の左側に座っていた、に親父がふっと現れて、座るかのように、このメガネがあった。

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晩年の親父は、夕食は我が家で摂ることが多かった。夕方早い時間にこのテーブルに座り、当時夕食を作るのをお願いしていた方・・・とても良い方だった・・・と話し込んだり、本を読んだりして、食事の支度ができるのを待っていた。週末は家内が作った。そうした情景を思い起こさせるメガネなのだ。

最近、私が白内障の手術を受け、近視気味だったのが、老眼に変わった。一番の問題は、本が読みづらくなったことだ。それで、試しにこのメガネを着用してみた。度数がほとんどピッタリ。辞書を引いたり、本を読むことができるようになった。おそらく、この1,2か月間で老眼の程度が変わるので、あとでメガネを作らないといけないのだとは思うが、こうして親父が掛けていたメガネを使うことに感慨ひとしおだ。

あの当時、何気ない日常だと思っていたことが、思い返すと、なんと恵まれた時間であったことか、と改めて思う。そして、これから親父が歩んできたのと同じように、私が晩年という人生の時期に入りつつあるということだ。人生の幕が下りる前に、このメガネを使って、もう一勉強だ。楽譜が自由に読めるようになったこともうれしいことだ。親父からの贈り物というところか。

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