行政による、医療介護の支配 

厚労省は医療介護を自らの統制下におき、そこを利権の温床にしたいと考えている。

新臨床研修制度によって、大学医局から人事権を奪い、それで地域医療が崩壊した。

すると、今度は医師の大量増員、新専門医制度の創設によって、地域医療要員を確保しようとしている。医師の強制配置を奨学金と専門医資格という面から実現し、地域医療を確保しようとしている。新専門医制度は、これまでの学会主導の専門医制度とほとんど変わらない内容だが、現場の医師に様々な学会参加を強制させ、またネットを通じた学習を強いる。これまで以上の、経済的、時間的な負担を、現場の医師に強いる。行政が医師の人事権をあくまで手中に置こうという試みだ。

医療機関における消費税の損税化は放置し続けている。消費税分として上乗せされた(不十分な額なのだが)診療報酬をピンハネし、地域医療介護総合確保基金という新たな利権のもとを作った。本来医療機関が得られる正当な診療報酬をピンハネし、自らの天下り先を確保し、医療機関に配分することによる利権を手に入れたわけだ。

産科補償制度、医療機関の認定制度によって巨額の内部留保を得ている、日本医療機能評価機構は、そのまま温存されている。ここも行政の天下り組織になっている。

医療事故調も、やがて行政のあからさまな利権の温床になるはずだ。

小松秀樹氏が、下記の論考で述べている通り、この手法は、計画経済そのものだ。行政が、強制力を持った統制を、医療介護の隅々まで及ぼすことになる。それによって、医療介護がどうなるかは、小松氏の指摘する通りだ。これは、将来の予測というよりも、確定的な見通しと考えた方が良い。

行政によるこの手法は、結局、医療介護の受益者である国民に被害をもたらす。

以下、MRICより引用~~~

計画経済医療による首都圏の医療・介護危機

(戦略検討フォーラムhttp://j-strategy.com/forum/1726より転載)

小松秀樹

2016年1月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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首都圏で、75歳以上の高齢者人口が急増しつつある。筆者は、10年先、医療・介護サービスの深刻な提供不足が生じるのではないかと危惧している。場合によっては社会不安になりかねない。具体的には、要介護者の退院先が見つからなくなる、急性期医療を必要としている患者が入院できなくなる、高齢者の孤独死が激増する。

政府は、「介護離職ゼロ」を掲げて入所介護施設を増やそうとしている。しかし、若年労働者の不足、介護労働者の低賃金、特に首都圏では他職種との格差が大きいため、介護労働者の確保が困難だ。

従来、首都圏の病院は、診療報酬が全国統一であるにもかかわらず経費が高くつくため、経営が苦しかった。これに2014年4月の消費税率引き上げが重なって大病院の経営が危うくなった。医療には消費税は課されていないが、病院の仕入れには課されているので、消費税率引き上げは病院に経済的損失をもたらす。『選択』15年9月号によると日本医大、北里大学、聖マリアンナ医大は赤字経営であり、とりわけ日本医大は危機的状況にあるという。私立大学病院は、医師の人件費を抑制して対応してきたが、医師に見放されかねない。  

筆者が最も危惧しているのは、厚労省が切望してきた「強制力」を伴う計画経済の弊害だ。14年の医療介護総合確保推進法によって、病床機能ごとに必要量を行政が決め、その整備に強制力を行使できることになった。地域医療構想の策定とそれに基づく整備は、都道府県医師会、保険者、市町村などが参加する会議体が担当する。実質的には行政が主導する。私立の医療機関に対しても、「正当な理由がなく、要請に従わない場合には勧告を、許可に付された条件に係る勧告に従わない場合には命令をそれぞれすることができ、当該勧告等にも従わない場合には医療機関名の公表、地域医療支援病院の不承認又は承認取消し、管理者の変更命令等の措置を講ずることができる」(地域医療構想策定ガイドライン)とされている。さらに消費税増収分を活用した基金(地域医療介護総合確保基金)からの補助金を、都道府県の裁量で配分する。消費税率引き上げ分が診療報酬に十分に反映されていないことを考え合わせると、この基金は病院の収益の一部を取り上げ、それを、支配の道具に使う制度だと理解される。

個別病院や施設の経営が、行政や地域の競合相手の参加した会議体に大きく影響される。投資を行政の恣意的補助金配分に依存することになる。病院組織の内と外の境界が不明瞭になり、独立した判断主体としての体をなさなくなる。経営に対する責任感覚が弱まり、病院や介護施設の活力がそがれる。

計画経済は、行政が強大な権限を持つことになるため、専制を招く。腐敗と非効率は避けられない。旧共産圏では、現場の活力を奪い、製品やサービスの質と量の極端な低下を招いた。計画経済は人間の能力を超えている。日本における医療・介護でも、その欠陥が、首都圏でサービスの深刻な供給不足として顕在化する可能性がある。

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