電波を停止させる、という恫喝 

放送事業者にとって、電波停止を行政から言い渡されることは、事業を止めろと言われることだ。医療機関が、保険診療停止を言い渡されることと同じだ。または、それ以上の影響がある。

高市総務相は、「政治的に偏向した内容の放送を続ける場合」電波停止を命じることもありうると述べた。

以下、引用~~~

高市総務相、電波停止に言及 公平欠ける放送に「判断」
朝日新聞デジタル 2月8日(月)23時35分配信

 高市早苗総務相は8日の衆院予算委員会で、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性に言及した。「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と述べた。

 民主党の奥野総一郎氏が放送法の規定を引いて「政権に批判的な番組を流しただけで業務停止が起こりうる」などとただしたのに対し、高市氏は「電波法の規定もある」と答弁。電波停止などを定めた電波法76条を念頭に、「法律は法秩序を守る、違反した場合は罰則規定も用意されていることで実効性を担保すると考えている」と強調した。

 そのうえで高市氏は、「私の時に(電波停止を)するとは思わないが、実際に使われるか使われないかは、その時の大臣が判断する」と語った。

 放送法4条は放送の自律を守るための倫理規範とされてきたが、高市氏はNHKの過剰演出問題で、行政指導の根拠とした。この点についても「放送法の規定を順守しない場合は行政指導を行う場合もある」との考えを重ねて示した。

 「政治的な公平性を欠く」の事例については、「国論を二分する政治課題で一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」などと列挙。「不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められるといった極端な場合には、政治的に公平であるということを確保しているとは認められない」とした。

引用終わり~~~

放送法4条は、以下のような条文である。

(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
二  政治的に公平であること。
三  報道は事実をまげないですること。
四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

引用終わり~~~

この条文は、規範規定であることを、高市総務相は取り違えている。

政治権力を持つものが、「政治的公平さ」を判断し、処分を下すことはあってはならない。

放送法3条に下記の規定がある。

第三条  放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

引用終わり~~~

電波法、放送法は、放送の政治的公平性を維持することを目指しつつも、権力の放送内容への干渉を排除する姿勢で貫かれている。総務相には、政治的公平性という観点から、直接放送事業の停止を決める権限はない。電波監理委員会等の検討が、当該事案に対して行われることになっている。

権力を持つ内閣の一員が、放送事業者に向けて、その免許の停止の可能性について言及することは、それだけで、事業者への恫喝になる。放送現場を委縮させる効果がある。高市総務相は、それを狙って、こうした答弁を行ったと考えざるを得ない。権力を傘に着た民主主義への挑戦である。政治家として品位に欠ける。

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