チェルノブイリ原発事故ロシア政府報告書と、福島第一原発事故小児甲状腺癌第二次スクリーニング 

「世界」2016年3月号に、尾松亮氏が「ロシア政府報告書」(2011年)について記している。それに基づいて、福島第一原発の放射能被曝による小児甲状腺癌スクリーニング(福島県民健康調査)の結論を考察してみる・・・というか、尾松氏の論考の記載(ロシア政府報告書の記載)を、福島県のスクリーニングの結論に当てはめてみる。

第一次、第二次(下記の新聞報道)のスクリーニングで見出された小児甲状腺癌症例は、福島第一原発事故の放射能被曝によるものとは考えにくいとされ、その根拠としてチェルノブイリ原発事故による小児甲状腺癌の以下の特徴が、福島の場合該当しないことが挙げられてきた。

1)4から5年後に甲状腺癌が増加した

2)事故当時5歳以下の年齢層に甲状腺癌が多発した

3)福島県では、チェルノブイリに比べて、被曝放射線量がはるかに少ない

しかし、ロシア政府報告書によれば、これらの特徴は、以下の通りに書き換えられるべきであり、福島県によるスクリーニングの主張するように、小児甲状腺癌が放射能被曝によるとは考えにくい、とは言えない、むしろ放射能被曝によるものと疑うに十分である、ということになる。

1)2年目から増加が始まり、4~5年後に著増

2)事故直後数年間は、事故当時5歳以下の年齢層に甲状腺癌増加はない事故当時15~19歳の年齢層では、事故直後の年から増加がみられ、事故後5年後から著名に増えている

3)比較的低い被曝線量の地域でも、甲状腺癌が増加している

さらに、今回の第二次スクリーニングで新たに見出された16例の小児甲状腺癌症例は、第一次スクリーニングでは見いだされなかったものであり、両スクリーニングの間に発生した甲状腺癌である。これは、放射能被曝によるものである可能性を示唆する。

調査チームも、第一次スクリーニング報告ではなかった「放射線の影響の可能性は小さいとはいえ完全には否定できず」という文言を書き加えており、今後の調査を注視する必要がある。

以下、引用~~~

福島第1原発事故 福島の子、甲状腺がん「数十倍」発見 放射線の影響否定的 健康調査
毎日新聞社16/02/16

東日本大震災:福島第1原発事故 福島の子、甲状腺がん「数十倍」発見 放射線の影響否定的 健康調査

 東京電力福島第1原発事故後、福島県が当時18歳以下の子供らを対象に実施している県民健康調査で、県の検討委員会は15日、甲状腺がんと確定した子どもが100人を超え、全国の甲状腺がんの罹患(りかん)率(がんと診断される人の割合)に基づいた推計を大幅に上回ることから、「数十倍多い甲状腺がんが発見されている」との中間まとめの最終案を大筋で了承した。放射線の影響については「考えにくい」と評価しながらも、「現段階で完全に否定できない」としている。

 検討委は疫学やがんの専門医ら有識者で構成。最終案は、2011年10月から昨年4月末まで対象者約37万人のうち約30万人が受診した1巡目の検査結果に基づく。全国の患者の推計によると、検査で見つかる甲状腺がんは福島県の18歳以下で2人程度とされるが、1巡目では100人ががんと確定し、15人が「がんの疑い」とされた。

 最終案では「将来的に診断されたり、死に結びつかなかったりするがんを多数診断している可能性がある」と明記。放射線の影響を考えにくいと評価した理由について、チェルノブイリ事故に比べ被ばく線量が少ない▽当時5歳以下からの発見がない▽県内の地域別発見率に大きな差がない――などを挙げた。

 ただし、放射線の影響の可能性は小さいとはいえ完全には否定できず、将来悪化しないがんを見つけて不安を患者に与えるリスクも受診者に説明した上で検査を継続して実施すべきだとした。中間まとめは3月中に正式に決める方針。14年4月から始まった2巡目の検査では、昨年末現在で1巡目で「がん」や「がんの疑い」と診断されなかった16人ががんと確定。35人ががんの疑いがあるという。

 ◇一斉検診で多く
 検討委の星北斗座長は会議後の記者会見で、数十倍の甲状腺がんの子どもが発見されたことについて、「一斉検診したことで数として多く見つかった」と述べた。【岡田英】

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