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煩雑極まる診療報酬制度 

2年毎、4月に、診療報酬改定が行われる。行政も大変だろうが、医療機関側はそれ以上に大変だ。診療報酬改定内容が行政から示されるのが、いつも3月下旬ぎりぎりになってから。私自身、いつもてんてこ舞いさせられていた。あの行政から一方的に提示される改訂にお付き合いしないで済むようになり、本当に清々した気分だ。

だが、現役の医師、医療機関にとっては、この改訂に対して「日」の単位で対応を迫られる状況は続く。今回の新たな診療報酬点数表を見せてもらった。A4版の大きさで厚さが5cmにもなろうという巨大な本。細かい字でぎっしり書き込まれている。細分化した医療に対応し、診療報酬という手段で医療行政の目的を達成しようという行政の意図により、これだけ「浩瀚な」点数表が出来上がっている、ということは多少は理解できないでもない。だが、それにしてもあまりに細かく煩雑だ。さらに、内容が分かりにくい。行政特有の回りくどい書き方、さらに様々な条件づけが巡らされている。この改訂された点数を理解するための説明会があちこちで開かれているが、それだけでは間に合わず、また診療の実際に適合しない、または解釈が不可能な項目が出てくるので、後講釈が行われることが多い。しばらくは疑義について行政から適宜回答が出され、医療機関側は必死にそれに対応することになる。

これだけ詳細・煩雑な診療報酬体系は、医療をある方向に向かわせるための行政手法として致し方のない面があるとは言ったが、この煩雑さの理由は別なところにありそうだ。診療報酬制度はすでに制度疲労を起こしているような気がしてならない。

診療報酬改訂により新たに制定・改訂された医療制度が、実際どれだけの効果生んでいるのか、後になってきちんと総括されたという話を全く聞かない。多くの場合、より少ない医療費で、より効率的かつ良質の医療をもたらすことを目的に、そうした医療制度が作られるのだろう。が、その効果、それに医療現場、患者に与える悪影響について、きちんと反省している様子がない。どう考えても、医療の特定職種に利益・便宜を施すことしか考えていない改訂がしょっちゅうみられる。診療報酬改訂による医療費の変化があらかじめ報道されるが、どう考えても医療現場では算定できない項目が作られ、それが診療報酬が増える根拠になっていたりする。こうした診療報酬改訂を通した医療制度の変更について、第三者がその効果、影響を検証すべきではないだろうか。

例えば、特定職種だけへの配慮の一例として、ジェネリックの特定の薬剤を処方する場合の処方箋記載の要求がある。特定のジェネリックを処方する理由を、処方医は処方箋に記載することが求められることになったのだ。同一一般名のジェネリックであったとしても、それが複数の種類ある場合、効果、副作用、それに信頼性等で異なることは臨床的にしばしば経験した。だが、そのようなことは理由にはならないらしい。処方箋にそのケース特有の理由を記さなければならないのだ。実際上、その理由の記載は臨床現場では困難だろう。これは、実際上、医師からジェネリックの選択権を奪うことに他ならない。で、優れたジェネリックを処方される権利を奪われるのは患者だ。この制度によって唯一利益・便宜を得るのは、薬局だ。在庫の薬剤が、本来処方されるべき薬剤ではないとしても、在庫品を患者に渡すことができるわけだ。絶好調の経営状態の薬局チェーンには、おそらく多数の厚労省のOBが天下りしていることは疑いがない。

このようにおかしな制度・規定がしょっちゅう見受けられる。だが、行政は瑕疵があったとしても、後から検証されず、責任を取ることもない。

より効率的で適正な医療を、より少ない医療費で実現する、という目的は、あくまで名目上のことなのだ。医療現場以外からの様々な意図が入り込み、診療報酬制度は、さらに複雑怪奇になって行く。その内診療報酬点数表は分冊化されることだろう。

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