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僻地・地域医療は救われぬ 

厚生労働省の医療構造改革推進本部が、僻地に医師を派遣する方法を提言したらしい。

「研修医が多く集まっている」拠点病院から、医師を派遣するそうだ。マグネットホスピタルなどという耳慣れぬ単語を持ち出している・・・欧米での、この言葉の意味は、看護職員・患者に魅力のある病院という意味だそうだ・・・思い付きのいい加減さが、こんな言葉の用法からも明白だ。

さらに、すべての医師に僻地勤務を義務付ける「合理性」を検討するらしい。

拠点病院からの医師派遣は、これまでの大学医局からの強制的な医師派遣と何処が違うのか?大学医局制度をぶち壊して、それと同じような制度を再び持ち込む恣意的な施策は、一体許されることなのか。

僻地は、住む人が少なくなった場所だから僻地なのだ。そういう場所に、医師が来るには、それに見合う条件を整えることが先ではないか。何故医師には、そうした常識が通用しないのか。官僚であれ、柳沢厚生労働大臣であれ、自分が強制的に僻地に派遣され、薄給・きつい労働条件下で働かされることをよしとするのか。まず、厚生労働省官僚が僻地に行ってみよ。

僻地勤務を義務付ける合理性とは、専制君主国家ではあるまいし、医師に人権を認めぬということなのか。このような問題提起をすること自体、基本的人権を尊重する意識が希薄であること、現在の医療崩壊の原因を全く理解していないことを意味する。何故、地域医療が崩壊しつつあるのか、官僚と政治家は真面目に考えていない。これでは、問題は到底解決しない。むしろ、医療は崩壊しつくされ、奈落に落とされることだろう。この無為無策によって、人の命が失われるようになるまで、彼等は物事の本質を見ようとはしないのだろうか。

以下、「じほう」より引用~~~

厚労省が医師確保追加策

 厚生労働省の医療構造改革推進本部(本部長=柳澤伯夫厚生労働相)は、医師確保の追加策などを柱とする今後の医療政策の検討方向をまとめ、17日に開かれた「医療構造改革に係る都道府県会議」に示した。大学医局が担っていた医師派遣機能が先細りしている現状を踏まえ、医師が集まる拠点病院(マグネットホスピタル)に医師の供給調整機能を担ってもらい、地域の勤務医を確保する仕組みを提示。マグネットホスピタルでの勤務要件に一定期間のへき地勤務を組み込むなどの手法を検討している。

 すでに医師の供給調整機能を担っている県立病院があることから、マグネットホスピタルには県立病院などを想定。県立病院には人事権があるため、厚労省は医師の供給調整もスムーズにいくと判断している。

 マグネットホスピタルに対しては、さまざまな症例が経験できる体制を敷くなど若手医師が集まりやすい魅力的な職場環境の整備や、財政面からの支援を視野に入れている。高い能力を備えた指導医がいる病院が若手の医師にとって魅力ある病院になるため、大学とも連携した人材確保なども必要としている。

 当面は、マグネットホスピタルへの勤務要件に、一定期間のへき地勤務を組み込むことで、マグネットホスピタルから医師を派遣する仕組みが適当との考えだ。

 ただ、医師確保が難しい地域を持つ地方公共団体からは依然、開業前のへき地勤務の義務付けなど即効性のある具体的な対応を求める要請があるため、すべての医師にへき地勤務を義務付ける合理性を、自由開業医制の中での位置付けといった論点を踏まえてあらためて議論する必要性も明記した。

 一方、病院勤務医の負担を軽減するために開業医の役割を明確化する必要性も指摘した。在宅の長期療養患者については、自分がかかる医師の中から「在宅主治医」を選び、在宅主治医が緊急時に入院可能な病院や訪問看護ステーションなどと連携し、医師1人の診療所でも看取りまで対応できる体制づくりを目指すことを記した。

総合的な診療できる医師養成も

 また、臓器別の専門医だけでなく、人間全体を総合的に診療できる医師を養成する方向性も示した。養成に当たっては、すでに専門医を取得している医師とこれから専門医を目指す医師とを分けて議論すべきだと指摘。総合的な診療の修練を積んでいない専門医が開業する場合に一定の研修を課す仕組みについても、関係者間で議論することが必要としている。


コメント

新年度に入って益々加速する医療破壊。
週の半分を東京で在宅医療の「のぞき見」に
使うようになってから、
東京のお金持ちなご老人でさえ、いかに
悲惨な在宅生活を送っておられるか
目の当たりにし、絶望感を深めています。
医療破壊が進み、自由診療化が進めば
金持ちでなければ医療をうけられなくなる、
との危惧を耳にします。
しかし現実には、金持ち「ですら」
まともな医療を受けられない現実が、すでにある。
美しい國には、病人・障害者・高齢者はもとより、働く女性・医師・医療・介護福祉すら不要である。
厚生労働省と自民党と経団連がかかげるこのドグマがある限り、私たち医師には(もちろん患者さんや、患者になる前の市民達にも)まともな医療的未来はないように確信しています。
今の仕事を終えたら、臨床自体から逃散しようと本気で検討を始めました。
みなさん、ごめんなさい。

ごくごく一部の特権階級だけが、まともな医療と介護を受けられる社会の到来ということなのでしょうか。背筋が寒くなりますね・・・。

医療・介護が必要にならないと、その酷さが分からない。

その酷さが分かったときには、社会的弱者になってしまって、社会に発言したり、改革を迫ったりできない、というジレンマがあるのですね。

今日エントリーしました政府諮問会議の議事録などを読みますと、この新自由主義にかぶれた御用学者どもは、医師だけでなく、官僚も馬鹿にしていますね。恐らく、この議事録は、官僚がリークしたのだと思いますが・・・。いずれにせよ、こんな自分勝手で、見識のない連中の支配する世の中は、続くはずがありません。

崩壊の後の再生まで、AKIさんは見届けてくださらなくてはいけませんよ。お体を大切になさって、その時のために備えて下さい。

また、リハ・介護の現場の情報をお聞かせください。

崩壊後に来るもの…

医療崩壊は既定路線とするならば、いっそのこと早めに来る方がよい、しかも都市部で、より多くの人を対象にカタストロフィックに崩壊することが一番望ましいのではないか、最近そんな風に感じています。

軟着陸のような崩壊に至った場合、現政権の掲げる方針を是認することにならないでしょうか。
「ほらっ、医者がゴチャゴチャ言って心配していたけど何とかなっちゃったじゃない」
みたいなことを言われそうです。
そしてまんまと例の御用学者の考えるような方向に突き進んでいくような気がします。彼らはそれをもくろみ、圧力を加えているわけですから。

崩壊するのであれば、厚労省や例の御用学者達が想定するよりもはるかに早く、かつ大規模に起こり、現政権が根こそぎひっくり返り、くだらない議論をしているだけの御用学者の首が全部消し飛ぶほどのインパクトを持って起きて欲しいと最近願っています。

そうすれば厚労省の考える既定路線が如何に非現実的で、非人間的なものであるか、そして如何に非合理的な感情論に支配されていたか問われることになるでしょう。

その大混乱があればこそ、医療に営利主義はなじまない、という確固たる国民的コンセンサスが育成されていくのではないでしょうか。

急速な、大規模な、カタストロフィックな崩壊…。起きて欲しくはないけれど、現在の既定路線を完全に破砕・粉砕するようなインパクトある出来事がないかぎり、この国の官僚も、マスコミも、そして国民自身も変わらないような気がしてしまいます…。

もちろん提言を残します。活動していることを示し続けますが…。
厳しいです。

果たして、どうなるのでしょうね。

官僚は、開業医のうち、在宅医療を行うものに総合医という公的資格を与え在宅医療を積極的に進めるというプランのようです。

そのシステム自体が上手く行くかどうか分かりませんが、上手く働いたとしても、現在の医療に対する要求水準からすると、不満と非難が、主治医に浴びせかけられることになるのではないでしょうか。その準備として、医師の行政処分を積極的に行うという体制を整える(といっても、格好だけでしょうが)ということなのでしょう。

確かに、崩壊が急速に起こったほうが、世の中の注目を集めるでしょうが、その時、犯人探しの大好きな世論とマスコミが、官僚の思惑通りの反応をするのではないかと危惧します。

医師は専門家であり、専門技術を持つ存在で、1,2年の速成教育では教育し得ない存在ですから、ギルド的に医師がまとまれば、長期的に観れば、官僚の思い描くシナリオ通りには進まないと思います。医師が、本当にいなくなるのは社会のインフラが崩壊することを意味しますから。

現状では、医師が自分の職場や収入が減らされて困って騒いでいる程度の理解をしている方が多いのではないか、という認識を、私も持ちます。やはり自分に痛みが及ばないと、そうした認識は変わらないのでしょう。地域医療で歯を食いしばって頑張っている医師
は、いよいよとなれば、ただ逃げ出せば良いことなのであり、こうして問題にしているのは社会のインフラとしての医療制度が崩壊しているためであることが理解されないのですね。

最終的に、一番大きな傷跡を残すのは、中堅・若手の医師の士気ではないでしょうか。士気やモラルは、いくら金をつぎ込もうが、何をしようが、なかなか元には戻りませんから、ね。

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