介護殺人 

先日、NHKの番組で、介護に関わる殺人事件を報じていた。過去6年間で百数十件あったらしい。約2週間に一件の頻度だ。

これから団塊の世代が、介護を必要とする年齢に達し、さらに老老介護が多くの現実なので、こうした不幸な事件は今後飛躍的に増える。

こうした高齢化社会の到来は、すでに何十年以上前から予測されたことなのだが、政府はその準備をしなかった。高度成長期にそのための備えをすべきだったが、国家収入は公共事業を主体とする財政出動に消えた。年金は、当初、積み立て方式だったが、いつの間にか賦課方式に変更され、年金の運用は乱脈を極めた。高齢化社会の到来への準備を政府当局は怠ってきた。現在、世代間格差を強調し、高齢者の社会福祉を削減すべきだという議論があるが、それは一面でしかない。

現在、在宅介護が進められている。行政のお題目は、住み慣れた場所で人生最後を過ごす、ということだ。が、本音は、医療介護コストを下げることだけだ。核家族、老夫婦世帯が増えており、在宅介護は場合によって介護する人、介護される人に大きな不幸をもたらす。ベストな選択ではないが、施設介護を進めるしかないのではないだろうか。だが、行政・政府は、病床を削減し、在宅医療介護を進める。そこにどのような修羅場が展開するのか、彼らは関心を持たない。

年金は、目減りを続けている。国民年金の本体部分だけでは、生活保護をも下回り、実際国民年金のみで生活するのは難しい。政府は、大企業減税を行い、大企業がタックスヘイブンに莫大な内部留保をため込むのを放置、いや奨励してきた。グローバルな大企業は、海外やネット空間で利潤を上げることが難しくなり、国民の中間層をターゲットにしている。国民は、窮乏化する。資本主義のフロンティアが、国民の中間層になっている。そうした国民が、近い将来、年金受給者となり、医療介護を受ける身分となる。そこでは、現在をはるかに超える修羅場が展開することだろう。

こうした介護に関わる事件の当事者になるのは、貴方かもしれないし、私かもしれない。このまま放置して良いのか。

以下、引用~~~

介護疲れだけでなく貧困のため将来悲観し親を殺害する例も

2016年07月08日 16時00分 NEWSポストセブン
介護疲れだけでなく貧困のため将来悲観し親を殺害する例も

 ここ数年の間に「介護殺人」が頻発している。昨年11月21日、埼玉県深谷市を流れる利根川で、両親の面倒を見ていた三女(47)が一家心中を図った、“利根川心中”はよく知られる事件だろう。そして、5月10日には東京・町田市で87歳の妻が92歳の夫を絞殺した後、首を吊って自殺した。夫は数年前から認知症の症状が現われ始め、体力が落ちて車椅子なしでは動けない状態だった。さらに今年に入ってから両目の視力もなくなり、認知症が一気に進んでいた。

 夫は介護サービスを受けるのを拒否していたため、妻が献身的に介護していたが、夫の状態が悪化してからは「夜も眠れない」と漏らしていたという。

 夫がようやく介護施設への入所に同意し、手続きがほぼ済んだ矢先に起きた事件だ。妻の遺書には夫に宛てたこんな言葉があった。

「一緒にあの世へ行きましょう。じいじ、苦しかったよね。大変だったよね。かんにん。ばあばも一緒になるからね」

 夫婦は何十年間も愛読していた新聞を、1か月前に「お金がないから」といって辞めていたことから、経済的困窮も一因だった可能性がある。介護疲れの末に殺害し、自らも命を絶ったという点は、今年2月5日に埼玉・小川町で起きた事件にも共通する。

 83歳の夫が自宅で介護していた77歳の妻の首を刃物で刺して殺害。「妻を殺した」と自ら110番した。夫の首にも切り傷があったことから、無理心中を図ったものと見られている。夫は逮捕されたが、約2週間にわたって食事を取ろうとせず、搬送先の病院で亡くなった。

 2015年12月17日には栃木・那須町で、71歳の夫が69歳の妻を殺害。妻は2004年に脳出血の後遺症で寝たきりになり、食事や排泄の世話もすべて夫が行なっていた。さらに妻に認知症が出始めた10年頃からは、「のろま」など暴言を受けるようになり、精神的に追い詰められていたという。

 介護疲れだけでなく、貧しさゆえに将来を悲観し、殺害に至るケースも少なくない。2015年1月17日、千葉・野田市で77歳の妻が72歳の夫を刺殺した事件では、介護施設への入所費用の捻出が引き金となった。

「夫婦は息子家族と同居していたが、夫を介護施設に入れるための費用がなく、自宅を売却しなければならないと考えていた。そのことで息子夫婦との仲が悪化したことも、妻を追い詰めたようだ」(大手紙記者)

 2014年12月には東京・大田区で、77歳の夫に睡眠薬を飲ませ、バットで殴った80歳の妻が殺人未遂容疑で逮捕。事件を招いたのは、無職の長男の存在だった。

「夫の状態が悪化していくことに加え、収入は年金だけなのに無職の長男の金遣いが荒かった。さらに自身の体調も不調だったことから、将来を悲観し、夫を殺して自分も死のうと決意したようです」(同前)

 2015年7月8日に大阪・枚方市で起きた事件では、逆に親を支えていた71歳の息子が92歳の認知症の母を小刀で刺し殺した。息子は大阪地裁での裁判員裁判で、「体にムチ打ってアルバイトをしても、貧困から抜け出せなかった」と、老後破産と老老介護の凄まじい実態を吐露した。

※週刊ポスト2016年7月15日号

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