イラク戦争に関する英国独立調査委員会報告 

イラクでは、今もテロによる犠牲者が絶えない。7日にも200名以上の犠牲者が出たテロがあった。こちら。イラク戦争は、イラク国内の混迷だけでなく、ISISのようなイスラム原理主義勢力の台頭を招き、世界各地で彼らによるテロが起きている。

イラク戦争の責任は誰にあるのか、英国で独立調査委員会が報告を出した。当時の首相ブレアーを手厳しく批判し、この戦争に大義がなかったことを述べている。

アンドルー ファインスタイン著『武器ビジネス』(原書房 2015年刊)によると、ブレアー元首相は、在任当時、腐敗したサウジアラビアとの英国BAE社の武器輸出に関する捜査を中止させるように動いた。イラク戦争を支持し、自国の軍隊を派兵し百数十人の若者を死なせた、ブレアー元首相には、大きな責任がある。戦死した兵士の遺族から訴訟も提起されるらしい。武器ビジネスは、防衛に関係するために、秘密にされ易い。さらに、相手国は独裁政権の支配する国家であることも多く、腐敗が横行する。上記の本には、膨大な資料を基に、そうした腐敗した武器ビジネスの実情が記されている。ブレアー元首相も、そうした腐敗に関わっていた可能性がある。今後の裁判、さらなる検討により、それが明らかにされるだろう。

さて、わが国といえば、小泉首相が真っ先に米国のイラク侵攻を支持し、自衛隊を後方支援でイラクに派遣した。それに関するきちんとした第三者の調査報告がなされていない。イラク戦争を支持し、関与した日本政府は、その責任を明らかにすべきだ。

この英国の調査報告を受けて、世耕副官房長官は、当時のイラクが大量破壊兵器を保持していないことを証明しなかったことが戦争の原因だ、したがって政府に責任はないという、滅茶苦茶なコメントを出している。イラクに派兵した世界各国が、調査委員会を立ち上げ、真摯な報告を出しているのと好対照である。

イラク戦争・その後のイラク情勢を対岸の火事とみるべきではない。上記の通り、日本政府は戦争に深くかかわっている。また、今冬、イスラエルで安倍首相はISISとの戦争に巨額の財政援助をすると明言し、わが国を対テロ戦の当事者にした。ISISに捕らえられていた後藤健二氏は、その直後にISISにより殺害された。中東を訪問する際に、安倍首相は、三菱重工他の軍需企業の人間を連れて歩き、武器のセールスに勤しんだ。安倍政権は、武器輸出三原則を廃棄し、武器輸出に門戸を大きく開いた。わが国の軍需企業を世界の死の商人の仲間入りをさせた。それによって失われた、わが国の平和国家としての評価は限りなく大きい。今後、国内外でわが国、同胞がテロの犠牲になる可能性は高い。世界を不安定化させたイラク戦争に積極的に加担した当時のわが国の政策決定の是非を明らかにし、その政策決定に関与した政治家、そして対テロ戦という武力行使に積極的に関与した安倍首相は責任をとるべきだ。


東京新聞論説から引用~~~

英国で最終報告 イラク戦「支持」検証を

2016年7月8日


 多くの犠牲者を出したイラク戦争。米国に追随して参戦した英国の独立調査委員会が最終報告書を提出した。戦争を支持した日本政府も、その判断が正しかったのかを検証し、公開する必要がある。
 イラク戦争は二〇〇三年三月二十日に始まった。当時のブッシュ米大統領は生物・化学などの大量破壊兵器を開発・保有するイラクの脅威から米国や国際社会を守ることを大義に掲げたが、大量破壊兵器は結局発見されず、戦争は国際社会に深い傷痕を残す。
 非政府組織(NGO)「イラク・ボディー・カウント」によると開戦から一一年十二月、米軍のイラク撤収までの死者は約十六万二千人に上り、約八割が民間人、約四千人は子どもだった。
 戦争による混乱は、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を招き、同調者によるテロは世界に拡散している。バングラデシュでは日本人七人も犠牲になった。
 国際情勢を大きく変える契機となった開戦判断の是非を検証し、後世の教訓とすることは人類全体に対する責任でもある。
 自国の兵士百七十九人が死亡した英国では、独立調査委員会が七年にわたる調査の最終報告書を発表し、英国の参戦について「イラクを武装解除させる平和的な手法を尽くしておらず、最終手段とは言えなかった」と批判した。
 調査は約十五万点の資料を検証し、参戦時の首相であるブレア氏を含む約二百三十人の証言を公聴会や書面で集めた、という。最終報告書は二百六十万語を超える。
 独立委員会による同様の調査は開戦を主導した米国のほか、オーストラリア、治安維持目的で派兵したオランダでも行われた。
 しかし、当時の小泉政権が米英両軍の武力行使を支持し、復興支援名目で自衛隊をイラクに派遣した日本では独立委員会による調査・検証はいまだ行われていない。
 民主党政権下の一二年、外務省がイラク戦争に関する日本の対応を報告書にまとめたが、公表は要旨だけで、全文は非公開だ。
 しかも、調査対象は外務省内の文書や職員だけで、大統領や首相も聴取対象にして報告書も公開している海外に比べて、とても検証と呼べる代物ではない。
 政策判断の誤りを繰り返さないためには第三者の独立委員会が調査・検証を行い、後世に教訓として残すのは当然の責務だ。安倍政権が安全保障関連法の成立を強行し、自衛隊を海外に随時派遣できる状況なら、なおさらである。

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/4068-cc5e4744