孫崎亨著「21世紀の戦争と平和」 

「孫崎亨著、21世紀の戦争と平和」こちら

外交官、および外務省情報局長を歴任し、日本の安全保障問題、国際関係に詳しい、孫崎氏の最新刊である。歪んだ日米関係から、わが国の安全保障がいかに誤った方向に向かっているかを、彼の豊富な経験と知識から分かりやすく教えてくれる。彼の名は、以前から知っていたが、彼の著作に接するのは初めてだった。入り組んだ外交問題を、平明に解き明かしてくれる好著だ。彼の基本的なスタンスは、少しでも平和に近づく選択をすること、マスコミ等に流れる情報を疑い、真実に迫ろうとすることにある。

わが国の安全保障問題、中国・北朝鮮等との関係、中東問題、ミサイル防衛問題等、およびすべての事柄の背景にある日米関係につき目から鱗の情報が満ちている。ということは、これまで私自身が、マスコミの一方的な情報にどれだけ毒されていたか、ということだ。すべからくマスコミ、政府の発表することには疑いの目で接してきたつもりの私でさえ、このありさまなのだから、マスコミ・政府の情報操作にマインドコントロールされている方々にも、驚くべき内容になるのではないだろうか。

一つ、この著作で学んだことを挙げておく。アルカイダが9・11の米国へのテロを行う際に、アルカイダが主張していたことをどれだけの人々が知っているだろうか。彼らの主張は、ムスリムの聖地のあるサウジから米軍が撤退すべきである、という主張だった。だが、米国は、その主張に表面上対応することなく、「テロとの戦い」と称して、大義のないイラク戦争に突入する。驚くべきことに、当初、サウジ駐留米軍を動かそうとしなかった米国は、2003年に静かにサウジから米軍を撤退させている。その後の「テロとの戦い」は泥沼化の様相を呈している。テロによる死者は、減るどころか大幅に増え続けている・・・ということなのだ。この「テロとの戦い」を続ける背後には、軍産複合体の利益追求の影が見える。その中東での「テロとの戦い」に、安倍政権は積極的に関与し、米国の肩代わりをしようとしている。それは、わが国と国民を、さらなるテロのリスクに晒す、ということだ。なぜ、これまでして、安倍政権は米国のネオコンの言うなりなのかも、この書籍には明快に説明されている。

自国の外交政策、防衛政策は、政治家に任せておけばよいということでは大きく道を誤る。次の世代に過酷な運命を背負わせることになる。この孫崎氏の著作を通して、その現実と、それへの対応の仕方を学びたいものだ。

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