行政による「お墨付き」が、水戸黄門の印籠になる? 

一頃、小泉構造改革で医療費が大幅に削減されたころ、医療崩壊が起きた。救急医療の「たらい回し」という言葉が流行ったのもそのころのことだ。現実には、そうでなくても非採算部門であった救急医療にさらに経費節減のしわ寄せがあったこと、さらに救急医療への需要の急増、そして救急医療における医療訴訟のリスク増大などが背景にあったことであり、救急医療現場に責任を負わせるかのような「たらい回し」という表現は不適切なものだった。

今後、現政権は毎年3千億円の医療費削減を行う。高齢化の進展、地域経済の疲弊・地域の人口減少により、救急医療の需要はますます増える。どのような悲劇が待ち受けているのか想像すると、戦慄すら覚える。

茨城県は、民間医療機関(彼らが認めている通り、それだけでなく公的医療機関も同じなのだが)の医師不足を補うために、民間医療機関に「お墨付き」を与え、公的医療機関から民間への医師派遣を促す、という。お墨付きを与えるだけで、医師の派遣が進むのであれば、問題は簡単だ。だが、それほど簡単に解決する問題ではない。上記の通りの医療崩壊がさらに進行する現状で、県の「お墨付き」でことが解決するとは思えない。このニュースでも、県は「公的病院と同様の支援」が民間病院にも必要だと言っているではないか。公的医療機関も医師不足、人手不足なのだ。その公的医療機関から医師を派遣することが、県の「お墨付き」でできるようになるというのは楽観的過ぎる。

ただ、行政も楽観論でお茶を濁すだけではない。どうも専門医の資格要件として、地域医療、過疎地での医療への従事を求めようとしている。それと、この「お墨付き」が結合したら、うまくいくと行政は考えているのかもしれない。そして、「お墨付き」を与える天下り法人の設立も当然考えているのだろう。産科医療補償制度ですでに700億円ため込んだ、日本医療機能評価機構という成功体験を、官僚は忘れないはずだ。窮乏化している医療から甘い汁を吸い取ろうとしている。

以下、引用~~~

茨城県、民間病院へ医師派遣支援
16/08/23記事:読売新聞

 救急医療に取り組む地域の民間病院に対し、県は大学病院などの公的医療機関からの医師派遣を支援する方針を明らかにした。地域の受け入れ先を広げることで、医師が都市部へ流出するのを防ぐとともに、地域医療の充実を図る。今後、希望する民間病院をリストアップして、具体的な交渉を始める。
 
 県によると、公的医療機関の医師は、公的病院に派遣されるのが一般的となっている。このため、医師が不足する民間病院があっても、派遣を受けられない課題があった。県が民間病院に「お墨付き」を与えることで、大学病院などに医師の派遣先候補としてもらうという。
 
 8日発表した地域医療構想の素案に盛り込まれ、具体策を詰めていく。県厚生総務課は「民間病院の医師不足は深刻で、公的病院と同様の支援が必要。今後の地域医療計画にも盛り込みたい」としている。

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