福島の小児甲状腺がん 

福島第一原発事故による放射能被曝によって、小児に甲状腺がんが発生しているかどうか、まだ断定できるだけの情報がない。この問題に関して、北海道がんセンター名誉院長 西尾正道氏による総説に教えられるところが多い。こちら

そもそも、事故から2週間程度、甲状腺がん発症にもっとも関わるとされるI131の活性が高かった期間、放射能の測定が行われていなかった、ないしその情報が公開されていない。そして、その後の内部被ばくが甲状腺がんの発症にもっとも深く関与する。

西尾氏の指摘する通り、チェルノブイリの小児甲状腺がん組織の染色体検査で、4割の症例に7q11に異常が見出されている。

下記の記事では、福島県立医大の研究チームが、外部被ばく量と小児甲状腺がん発症に相関がないとして、被ばくが小児甲状腺がんの要因ではないとしているようだが、どうも結論先にありきの報告にしか読めない。内部被ばく、ないしそのできる限り正確な推測データが必要だ。また、主要組織の染色体検査もぜひ行う必要がある。

以下、引用~~~

「外部被曝と関連なし」 福島、18歳以下の甲状腺がん 県立医科大
16/09/10記事:朝日新聞

 東京電力福島第一原発事故当時18歳以下の福島県民を対象にした甲状腺検査で、1巡目検査(先行検査)を受けた約30万人の甲状腺がんの有病率と、外部被曝(ひばく)の推計量には関連がみられなかったとする論文を福島県立医科大のグループが発表した。グループの大平哲也・同大教授(疫学)は「現時点で事故による被曝と甲状腺がんの関係は見いだせなかったが、今後も調査を続ける必要がある」としている。
 
 対象にしたのは、2011年10月〜15年6月に1巡目検査を受けた30万476人で、112人ががんかがんの疑いと診断された。
 
 被曝には、外から放射線を浴びる外部被曝と、放射性物質を体内に取り込んで起きる内部被曝がある。今回は県民健康調査に基づく外部被曝量の推計をもとに、県内市町村を(1)5ミリシーベルト以上の人が1%以上(2)1ミリシーベルト以下の人が99・9%以上(3)それ以外、の三つに分け、甲状腺がんが見つかった割合(有病率)を算出した。その結果、最も推計被曝量の高い(1)は10万人当たり48人、最も低い(2)は同41人、その中間の(3)は同36人で、違いはみられなかった。
 
 さらに30万476人のうち、外部被曝量が推計できる約13万人について、被曝量と有病率の関係を調べたが関連はみられなかった。
 
 県民健康調査検討委員会では、甲状腺がんの発生について「放射線の影響とは考えにくい」との見解を示している。同委員会の星北斗座長(福島県医師会副会長)は「論文をまだ精査していない」とした上で、「これだけで決着するようなものでなく、判断の材料の一つだと考える。しっかりとした研究だと思うので、注目していきたい」と話している。(奥村輝)

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