FC2ブログ

自治体病院の赤字の理由は何か? 

日本政策投資銀行が、自治体病院の経営状態を「分析」した。9割以上が赤字、固定費特に人件費の負担が大きいという内容。

自治体病院の経営が上手くないこともあるのだろうし、また人件費も確かに高いのかもしれない。しかし、である。自治体病院の職員・医師が、特に高給であるとは思えない。少なくとも、医師の給与については、酷い労働条件で薄給であることで有名だ。

9割が赤字ということは、全体として、収入が少なすぎる、要するに、診療報酬が少なすぎるのではないか。この分析では、その事実に一言も触れていないようだ。同じ銀行が、つい先日、勤務医給与平均が、普通の労働者平均給与に比べて2倍であると報告した。この比較が、無意味なものであることは以前のエントリーで記した。

要するに、勤務医は高給取り、ついで自治体病院は人件費負担のために赤字という主張・・・これは、医師の給与を下げよという世論誘導に他ならない。

この銀行は、診療報酬の引き下げ直前に、今度は開業医の収入が多いという報告をするであろうことを予告しておこう(笑。

この銀行は、特殊法人二つが合併してできたもので、現在も出資者は100%政府のようだ。官僚・政府の代弁者である。特殊法人は、衣を変えてしぶとく生き残っている。特別会計の闇の中で、甘い汁を吸い続けているのだろう。その権益を確保するためにも、医療費のような出費は、切り詰められるだけ切り詰めようという腹なのだろう。

以下、じほうより引用~~~

日本政策投資銀行は「自治体病院の現状と動向について(II)」と題し、経営収支や医師・看護師の平均給与などを都道府県別に比較した報告書をまとめた。全体では他会計からの繰り入れがなくても経営的に自立できる病院が1割未満にとどまるなど厳しい状況があらためて裏付けられた。

 「現状と動向(II)」は2004年度の地方公益企業年鑑のデータなどを加工して、「病床規模」「修正医業収支比率」と患者1人1日当たり診療収入や職員給与の比率といった関連項目のほか、医師・看護師らの「平均給与」について県の平均値を算出。特定の県が、項目ごとに全国でどの水準にあるのか比較できるようにした点が特徴。地方公営企業病院を運営する726自治体、999病院のデータを分析した。

他会計への依存体質浮かび上がる

 全国的な状況をみると、医業収益から他会計負担金を引いた額を、医業費用で割った「修正医業収支比率」は85.0%で、経営が他会計からの補てんに依存している状況が浮き彫りになった。「修正医業収支比率」が100%以上だった優良病院は999病院中70病院、7%にとどまった。「職員給与費対修正医業収益比」は63.7%、「材料費対修正医業収益比」は25.2%となり、固定費が経営を圧迫している状況も浮かんだ。

 これらの経営指標を都道府県別でみると、上位の大分(修正医業収支比率96.3%、職員給与費対修正医業収益比57.2%)、岐阜(同94.9%、同54.1%)、奈良(同93.6% 同49.9%)などでは繰入金の比率が1割未満だった。一方、修正医業収支比率が低水準だったのは、茨城(同72.5%、同83.3%)、東京(同74.4%、同71.2%)、栃木(同75.6%、同72.7%)-だった。

 「現状と動向(II)」は、大分の動向を、病床利用率が89.3%(全国平均は73.4%)と高い上、職員給与や外部委託費の比率が低い点を指摘している。逆に茨城については、病床利用率が54.9%と極端に低いことに加え給与費比率も高いとし、「収益性の低さにより職員給与費が高止まりしている」と分析している。

どこが悪いか「気付く」ことが必要

 報告書のまとめは同行政策企画部が行い、国際医療福祉大大学院の阿曽沼元博教授と、城西大の伊関友伸准教授らが助言した。

 不採算医療を担わざるを得ない面もあることから、自治体の財政的な負担が大きいことを問題視することより、「負担継続について判断する材料、あるいは経営改善方策の客観データの提供を目的とした」としている。

 そのほか、データ分析を踏まえた試論として、自治体病院の経営が厳しい理由を、職員給与費の高位・硬直化、経費管理の甘さ、政策医療提供による高コスト構造、割高な建設コスト―などを列挙。収益と費用の項目を分解して、「どこが悪いのか『気付く』ことが経営改善を行うためには必要」としている。

コメント

自治体病院の赤字

管理人さんの仰るとおりです。

以前勤務していた自治体病院は様々な努力により、奇跡的に黒字を出す病院でした。職員は相当に努力したと思います。

ある年、院長が忘年会で
「うちの病院は今年単年度で5000万円くらいの黒字になりそうです」
と発表し皆で喜びました。

翌年、春、診療報酬が改定されると、同じことをしているだけで、人も入れ替わって職員の平均年齢はほぼ変わらないにもかかわらず、4000万円の赤字になりました。

また来年春の診療報酬改定ではマイナス改訂になるんでしょうね…。本当に200~300床規模の病院が潰れてなくなる、という事態が全国規模で起きていくんだろうなぁ、と思います。

私は、最近の自治体病院の状況は分からないのですが、1,2年前、行政から経営状態が優良であると認定され表彰された幾つかの自治体病院の経営状況をネットで調べたことがありました。確か、富士市民病院だったか、情報の得られたその内の一つ病院、右肩下がりに経営状況が悪化しつつありました。表彰を受けた時点では、優良だったのでしょうが、2,3年で赤字転落が見えていましたね。QWさんの仕事をされていた病院も同じような状況だったのでしょう。この政策投資銀行とやら、分析という名の世論誘導ですね。

聞くところによると、病院の不動産を売ってファンド化し始めたところもあるようです。これからは、恐らく金融機関が、病院の支配権を握るようになるのでしょう。地方の中小病院は、官僚にとっても、そうしたハゲタカどもにとっても無用ということで、近いうちに潰されるのでしょう。

住民が署名活動をしても、この連中のやりたい放題は、停まりませんね。

どのような世の中になって行くのでしょうか。

いつも病院の先生にお世話になっている立場から考えても、大変な仕事をされていることは良く分ります。それなりの収入がいただけるような体制が必要かと思います。

月に一度行く、耳鼻科の予約時間表を見ると、朝の9時から午後の2時30分、夕刻3時から9時まで、一日に190人の予約、そして新しい患者さんが加わって、200人以上の対応をされます。

昼夜とも食事時間も無い時間割、特に土曜日は朝9時から午後6時まで連続で150人の予約+新患。

頼りにしている先生が倒れていただいては困ります。私と同じ年で、症状を分りやすく説明してくれて、いろいろな薬、勝手な注文でも怒らなく、しかし処置は手早く冷静な女医先生です。

一回の診療費が¥0.5k、本当にこれでいいのかなと思います。

また、旅行に行きたくてもサラリーマンのように有給も取れなくて、遠距離の旅行も行けないなんて、私には出来ません。

お役人も1年くらい一緒にお手伝いをすればよく分ると思います。

>お役人も1年くらい一緒にお手伝いをすればよく分ると思います。

最後の一文が胸に響きました。
まったく、現場に来て泥まみれになって、それから本省へ帰って政策を立案して欲しいです。
一人前になる前に、そういう苦労を体験して欲しいです。

堀尾さんの主治医も、凄い生活ですね。それだけ診察して、その上ちゃんと患者さんとお話しているとしたら、スーパーウーマンですね。

厚生労働省は、財界・財務省それに現政府の医療費削減の意向に沿って、機械的に動いているだけのような気がします。しばらく前は、行政のポリシーみたいなものもありましたが、今は何が何でも医療費削減、病院つぶしを実行しています。

新自由主義的な発想で生まれる「国の形」を、ちゃんと国民に提示しないまま、本質を故意に外したシングルイッシューの選挙で政権を維持しようとする現政権にはうんざりします。

新自由主義では、国民の間の大きな格差は積極的に是認する社会になります。それに向かって、これまでの医療が崩壊させられつつあるのです。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/415-54886f0d