オプジーボ、驚きの薬価国際比較 

おぉっ、と驚きのポストである。MRIC Vol 219 英国におけるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)承認状況と薬価 というタイトルの論考。コピーした下記の引用では、リンクが見れないかもしれないので、MRICのurlを貼っておく。 こちら

オプジーボ、わが国では一人一年間用いると3500万円かかると話題になっているが、日本での薬価設定がいかに高いかが分かる。英国の7倍弱、あの薬価が高い米国との比較でさえ2倍強の薬価だ

あれほど医療費削減に血眼になっているわが国の財務省が、なぜこれほど高額の薬価を認めるのだろうか。さらに、国によって、数倍の開きがあるということは、薬価算定の根拠があってなきにしがごときものであることを物語っている。

やはり、官僚が製薬企業に天下っているとしか考えられない・・・というか、某製薬企業は天下りの多いことでは有名だ。

マスコミは、こうした高薬価の生まれる理由をなぜ追求しないのか。天下りが、その理由だとしたら(その可能性は極めて高い)、官僚がこの国を危うくしている事象の一つの典型となるわけだ。

それとも、故意に高薬価として、医療保険財政を早く破たんさせ、混合診療をさらに進めるという、深謀遠慮があるのか。

いずれにせよ、国民のためを考えた行政では到底ない。

以下、引用~~~

英国におけるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)承認状況と薬価

大阪府保険医協会
小薮幹夫

2016年10月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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「費用に見合った価値」の観点から、とりわけ抗がん剤など高額新薬について
もっともコストコンシャスな薬価規制を行っている英国(医療費に占める薬剤
費比率は概ね1割程度を推移。日本は26.6%_*1)に着目し、オプジーボの承認
状況やNHS償還価格の状況について、可能な限り規制当局より開示されている
一次資料を参照して考察した。
*1_包括医療に係る薬剤費を含む推計値(2011年)(保団連/厚労省保険課)
http://expres.umin.jp/mric/mric_219-1.pdf

1.英国におけるオプジーボ承認状況
(1)高額薬剤の費用対効果評価はNICEが行っている
英国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Exc
ellence: NICE)
主として費用対効果の観点から新規診療技術や高額薬剤(全ての新たな有効成
分を有する抗がん剤を含む)について、NHS償還の可否判断とNHS償還価格を勧
奨している。NICEがNHS(国)に勧奨するのは処方者(医師・薬剤師)へのガ
イドラインも含まれる。
NICEが評価を行う対象となる治療等は、(i)NHSとして最優先課題に基づくもの
、(ii)罹患率、死亡率の高い疾病、(iii)提供される医療に地域格差があるも
の、(iV)医療費への影響に関わるもの、(V)時代の要望・必要性のあるもの─
であり、これらを基準として提案されたものを保健省の承認を経て選定される
_*2 。
*2_「健保連海外医療保障 No.97」(2013年3月)

(2)悪性黒色腫への適応を承認
当初、NICEはオプジーボ(一般名=ニボルマブ)の悪性黒色腫に対するNHS保
険償還に関して、標準治療薬に比較した優位性を認めるも、薬価が高すぎると
消極的だった。
しかし、2016年1月22日、NICEは悪性黒色腫患者への適応に関するFinal guid
anceにおいて、ファーストライン治療として、以下レジメンの下で、NHSに対
してNHS保険償還を推奨した。
オプジーボ単独療法:3 mg/kg、2週間間隔(維持期含む)、重篤な副作用が
観察されるまで、60分以上かけて点滴静注。
日米における肺がんへのレジメンと同様に、2週間間隔としたのは、臨床的有
益性/有害事象を早く観察するために頻回の点滴が必要とNICE Appraisal Comm
itteeが判断したためとしている。
結局、標準治療薬との費用対効果評価_*3 と、悪性黒色腫患者という比較的小
さい患者集団_*4 に適応を限定していること(英国は予算制)が承認のポイン
トになったのではないか、と推定できよう。ともあれ、承認の可否判断が遅す
ぎるとしばしば批判の対象になっているNICEにとって、EU諸国に先駆けて、異
例のスピード(約6ヶ月)で承認された。
*3_ICER(増分費用対効果比)が£30,000以下であったと公表されている。NI
CEが保健省に償還を推奨するICER閾値の目安は、£30,000まで。
*4_2012年に悪性黒色腫と診断された患者数=13,348人(cancerresearchuk.o
rg)

(3)非小細胞肺がん(NSCLC)への適応拡大
肺がんへの適応については、2016年8月現在、審議中である。NICE評価委員会
ドラフトでは、推奨とはなっていない。ポジティブと結論づけられない理由と
して、ファーストライン標準治療薬(ドセタキセル)との費用対効果(ICER_*
5)が劣ると指摘している。
*5_Nice Committee Papers(April 2016)に依ると、£103,589(Base-case Re
sults)

但し、肺がんは英国で2番目に多いがん疾患であり、毎年約44,000人(うち、
6000人は喫煙と無関係)が診断されている_*6こと、生存率がノルウェイ、オ
ーストラリア、スェーデン、カナダの後塵を拝していることから、患者団体か
らの強い圧力にさらされている。英メディアの報道も早期承認を求める論調が
目立つ。
*6_うち、非小細胞肺がん患者は27,300人(Health and Social Care Informat
ion Centre 2014)

英国議会の情報に依ると、製薬企業による後述の「費用対効果に優れないと評
価された医薬品の価格を調整(ディスカウント)することにより、患者のアク
セスを確保するための措置 」_*7‘patient access scheme:PAS’の対象とし
て、16年9月にFinal guidanceを発表する見込みである_*8。
尚、‘Early Access to Medicines Scheme (EAMS)(2014年4月に創設された
未承認薬へのドラッグ・ラグ解消のためのアクセススキーム)_*9 によって、
450人の肺がん患者(2015年3月~2015年12月)が無料で治療を受けている。
*7_ 「諸外国での費用対効果評価の活用方法」(中医協費-2 25 .4 .10

*8_http://www.parliament.uk/business/publications/written-questions-a
nswers-statements/written-question/Commons/2016-06-09/40151(09 Ju
ne 2016)
*9_2014年4月から2015年11月までに18のプログラムを受理し、500人以上の
患者が参加した。


2.英国におけるオプジーボ薬価
(1)製薬企業(Bristol-Myers Squibb:BMS_*10 )申告価格(UK LIST PRIC
E)
*10_2011年9月、BMSはオプジーボを日本・韓国・台湾以外の全世界において
独占的に開発・商業化する権利を小野薬品から取得している。
http://expres.umin.jp/mric/mric_219-2.pdf

通常は、製薬企業の申告価格(リストプライス)に基づいた価格で保険償還さ
れるが、抗がん剤など高額薬については、(1)国(保健省)が許容する製薬企
業の利益率の範囲で(PPRS:医薬品価格規制制度)、(2)かつ費用に見合った価
値かどうかをNICEが精査した上で、償還価格が決められる。上市後は、製薬企
業が新たな科学的根拠を提出した上で、保健省の合意を得ない限り、償還価格
を引上げることは出来ない_*11 。
*11_The Pharmaceutical Price Regulation Scheme 2014、「健保連海外医療
保障 No.97」(2013年3月)

日米英のオプジーボ薬価比較(3mg/kg、体重60kg、2週に一回)
http://expres.umin.jp/mric/mric_219-3.pdf

(2)NICEは肺がん患者への適応拡大については依然として否定的、BMSと価
格交渉中

NICEの費用対効果検証結果からすれば、「高すぎる薬価」がネックとなり、オ
プジーボ推奨のハードルはきわめて高いと思われる。しかし、製薬企業は提示
したリストプライスを下げずにNICEの推奨を獲得することを可能とする方法が
ある。

BMS is proposing a dose cap PAS to mitigate this financial uncertainty
and allow Nivolumab to meet NICE cost-effectiveness criteria for Engl
and and Wales. The scheme will cover the cost of nivolumab therapy aft
er 26 administrations. The cost of therapy post cap will be covered by
BMS until disease progression or cessation of nivolumab therapy.
As nivolumab is administered once every two weeks, the cap will be pla
ced at one year.(Nice Committee Papers, April 2016)
BMSは、NICEに対して、26サイクル(1年)を終了した患者についての薬剤費
用について、薬剤治療が中止されるまで、BMSが負担するというPAS(patient
access scheme)を提案している。
NICEのガイダンスに沿って治療しているす
べての非小細胞肺がん患者に適用される。
なお、NHS傘下のUKMI(Uk Medicines Information)_*14 や一部報道では、NH
Sが最初の26サイクル(1年)の費用として、£31,000(年間薬剤費のおよそ
半分)を支払った後、引き続き治療を継続した肺がん患者の薬剤費用をBMSが
負担する内容としている。
*14_http://www.ukmi.nhs.uk/applications/ndo/record_view_open.asp?newD
rugID=5805

ディスカウントの詳細な内容については、ある程度の枠組みは公開されている
が、最終合意事項については原則として非公開である_*15 。他国が英国価格
を参照する際に用いられると、メガファーマの世界戦略にとって好ましくない
影響を与えるからである。保健省にとっても、製薬企業との価格交渉を有利に
導くためには非公開が望ましいといえる。NHSとBMSが合意に達し次第、両者は
特別なポータルサイトで相互検証/監査をうける。
*15_The Pharmaceutical Price Regulation Scheme 2014

詳細な内容は分からないとしても、NICEの費用対効果評価基準を満たせない高
額薬が、どの程度ディスカウントをすれば推奨されるか、過去の事例から推測
することは可能である。例えば、製薬企業のPAS提案を受けて、悪性黒色腫治
療薬を承認した時のICERは、ヤーボイ(一般名:イピリムマブ)vs ゼルボラ
フ(一般名:ベムラフェニブ); £31,418【12年11月】、ゼルボラフvs ダカ
ルバジン; £39,617【12年6月】といずれもNICEが推奨する目安である£30,0
00より高くなったが、PAS条件付きで推奨された。
下表は、ドセタキセルとのICER値が50%低下(費用対効果が改善)するには、
オプジーボの薬剤コストが56%削減されなければならないとしたNICEの16年1
月時点の試算である(Nice Committee Papers, April 2016:Details of the
patient access scheme Table 4,5を一部改変。LYG;獲得生存年 QALY; 質調
整生存年 ICER:増分費用対効果比)。
http://expres.umin.jp/mric/mric_219-4.pdf

ヤーボイ、ゼルボラフの事例も踏まえれば、リストプライスの少なくとも半額
程度の値引きに相当するディスカウント条件付きで、或いは他の薬剤との併用
療法でトータルコストを下げて、9月に予定されるFinal guidanceにおいて、
NICEが保険償還を推奨する可能性は高いといえよう。当然ながら、日英の薬価
差はさらに大幅に拡大する。

このように、製薬企業が提示したリストプライスを下げずに、政府と価格交渉
をすることは、英国製薬産業協会(Association of the British Pharmaceuti
cal Industry:ABPI)と保健省が合意したルール‘patient access scheme(P
AS)’に基づいている。
PASの手法に関しては、いくつかのパターンがあるが、オプジーボの場合は、
‘Dose cap scheme’(規定回数を超える部分を企業負担とする)に分類され
、抗がん剤では一般的である。
尚、Scottish Medicines Consortiumに依ると、NHSスコットランドは、BMSか
らのPAS提案に沿って、2016年6月より、進行性または転移性非小細胞肺がん
患者の治療を開始している 。スコットランドと北アイルランドのNHSは、ガイ
ドラインや償還価格を独自に決定することができる。


1. 包括医療に係る薬剤費を含む推計値(2011年)(保団連/厚労省保険課)
2.「健保連海外医療保障 No.97」(2013年3月)
3.ICER(増分費用対効果比)が£30,000以下であったと公表されている。NICE
が保健省に償還を推奨するICER閾値の目安は、£30,000まで。
4.2012年に悪性黒色腫と診断された患者数=13,348人(cancerresearchuk.org

5. Nice Committee Papers(April 2016)に依ると、£103,589(Base-case Res
ults)。
6.うち、非小細胞肺がん患者は27,300人(Health and Social Care Informatio
n Centre 2014)
7.「諸外国での費用対効果評価の活用方法」(中医協費-2 25 .4 .10)
8. http://www.parliament.uk/business/publications/written-questions-an
swers-statements/written-question/Commons/2016-06-09/40151 (09 Ju
ne 2016)
9. 2014年4月から2015年11月までに18のプログラムを受理し、500人以上の患
者が参加した。
10. 2011年9月、BMSはオプジーボを日本・韓国・台湾以外の全世界において
独占的に開発・商業化する権利を小野薬品から取得している。
11.The Pharmaceutical Price Regulation Scheme 2014、「健保連海外医療保
障 No.97」(2013年3月)
12.16年6月~8月平均(三菱東京UFJ銀行:TTM)
13.The 4 ml vial (nivolumab) and 14ml vial (docetaxel) are used in the
base case because these are the smallest and cheapest vial sizes, res
pectively
14.http://www.ukmi.nhs.uk/applications/ndo/record_view_open.asp?newDru
gID=5805
15.The Pharmaceutical Price Regulation Scheme 2014
16.https://www.scottishmedicines.org.uk/SMC_Advice/Advice/1144_16_nivo
lumab_Opdivo_for_metastatic_squamous_NSCLC/nivolumab_Opdivo_for_metast
atic_squamous_NSCLC

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