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鹿屋方式が、なぜ失敗したのか? 

小児初期救急への挑戦(2005)へるす出版という本がある。小児初期救急を、様々な角度から検討し、各地の試みを紹介した力作だ。

その一章を割いて、鹿屋方式が紹介されている。地域開業医連携というタイトルが付けられている。鹿屋方式とは、小児科を含む開業医が輪番で救急を受け持ち、二次救急を担う救急センターと連携して夜間・休日すべてをカバーしようとする方法だ。特に目新しい方法ではない。

その記載によれば、人口27万の地域の救急を、15名の医師でカバーするものだったようだ。第一に、このマンパワーでは、かなりきつい。月に2回の夜間・休日の勤務である。当然、その前後では、通常通りの勤務をこなさなければならない。この本の別な章で紹介されている、千葉県印旛郡の方式では、人口7万弱の地域を、45名の医師でカバーするようになっている。これと単純に比較しても、鹿屋方式のマンパワーの小ささが分かる。

さらに、連携する二次救急鹿屋医療センターが、きちんと機能していたのかも分からない。この新聞報道の論調からすると、二次救急も殆ど崩壊していることが想像される。

この鹿屋方式を紹介する論文によれば、平成10年からこの形の救急システムが始まり、鹿屋医療センターの救急受診患者は徐々に減少しているが、その減少数を大きく上回る救急患者が、この輪番救急へ殺到していることがグラフで示されている。一年当たりの時間外小児受診患者数は、鹿屋医療センターでは、当初2000名だったものが1000名程度に減少、一方輪番救急には2000名だったものが7000名前後受診するまでになっている。恐らく、近隣地域から患者が受診するようになったこともあるかもしれない。が、結局は、供給が需要を喚起したといえるだろう。

要するに、鹿屋方式では、マンパワーに元来無理があり、さらにこの夜間・休日小児救急診療システムが、それまでよりも更に多い患者を「掘り起こした」ために過負荷になったのだ。

官僚は、高齢者の在宅医療を24時間365日開業医に行わせ、さらに小児を中心とする一般の一次救急にも開業医を引っ張り出そうとしている。鹿屋方式の失敗が、それらの官僚の机上のプランが失敗に終わることを示しているように思われてならない。

医師は足りている、医療費は増やさないというドグマの誤りを官僚が正さない限り、地域の救急医療は崩壊を免れない。

コメント

医師数や医療費を増やしても

医師数や医療費をどれだけ増やしても、それは供給を増やす事に他なりませんから、結局は鹿屋方式と同じで、新たな需要を喚起して失敗するだけじゃないでしょうか? 際限のない国民、さらには司法の医療への要求を、何らかの形で抑制する以外、医療崩壊を防ぐ方法はないと思われませんか?どれだけ巨大な費用と労力を投じようと、二次医療圏に常に各科の専門医を24時間交代で複数配置することなど不可能です。 診療費でハードルを設ける、基幹病院・専門医へのフリーアクセスを制度として禁止する、などなど様々な方法があるでしょう。いかがですか?

通行人さん、コメントをありがとうございます。

国民の意識の問題、司法の問題等々、仰られる通りです。小児救急では、特に医療のコンビニ化が大きな問題であることは言を待ちません。鹿屋方式の問題として、それにも言及しています。

ただ、私は基本な問題として、医師の絶対数が少なく、医療費が抑えられていることがあると思っています。

小児科医数は足りているが、偏在していることが問題だとする、厚生労働省の見解が、意図的にデータを細工して得られたものであることは以前のエントリーで記しました。

医療崩壊は、複数の要因で生じています。見方によって、その切り口は様々あることでしょう。医療崩壊の一つとして、小児救急の問題をどのように捉え、どうしたらよいのか、以前のエントリーで少しずつ記していますが、近いうちにまとめてみたいと思います。

ネットですので、発言される場合に、ハンドルなしでも基本的には構いませんが、所属(医療との関わり)を明らかにして頂けたら幸いです。

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