昨夕の東電送電線火災と、原発事故 

昨夕、埼玉県新座市で東電の高圧送電線から出火し、大きな停電を引き起こした。東京の中枢部も停電したようで、その機能の脆弱性を露わにした。

出火の理由は明らかになっていないが、まずケーブルの老朽化が関与しているのだろう。屋外の高圧ケーブルの場合、耐用年数は20年らしい。こちら。ところが、この出火を起こしたケーブルは、35年使い続けたものらしい。明らかに耐用年数を超えている。それに、ケーブルの状態を目視でチェックしていたというのも、情けない話だ。送電を止めるわけには行かなかったのかもしれないが、何らかの方法で、被覆の劣化をもう少し科学的にチェックできなかったのだろうか。

この事故で連想したのが、老朽化した原発の問題だ。原発は、当初16年間の使用を想定して建造された。だが、経済的な理由から、使用期限はずるずると延ばされ、最近まで30年間に設定されていた。ところがそれを40年間またはそれ以上に延ばす、という。原発の内部構造を客観的に検査することはできない。中性子脆化の問題も、原子炉内に試験片を置いて脆化の進展をチェックしているはずなのだが、きちんと検証されているのだろうか。毎年、原子炉壁の脆化は確実に進展しており、ある時点で爆発する可能性がある。それだけでなく、火力発電機の安全係数が4であるのに対して、原子炉構造の安全係数は、熱疲労のリスクを低減化するために、3に抑えられている。火力発電機であっても、事故が起きることはまれではない。原発が安全であるというのは大いなる幻想なのだ(田中三彦著 原発はなぜ危険か 岩波新書102)。

東電福島第一原発事故の復旧・賠償コストは9兆円を超えるらしい。廃炉費用はどれほどになるのか、まだ分からないという。事故から5年経った今も、炉心溶融を起こした核燃料の状態さえ分からず、放射能汚染をまき散らし続けている核燃料残滓の処理ができるのか予測がまったく立っていない。このような事故を起こした会社が、まだ存続し、さらに国にさらなる莫大な公的資金の援助を求めている。

その東電、そして同じ性格のほかの電力会社には、原発を維持し管理することはできないのではないか。送電線の火災程度で済めばよいが、次の原発事故が起きたら、わが国は立ち行かなくなることを忘れてはいけない。

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