保険医数の制限の意味すること 

財務省の財政制度等審議会財政制度分科会は保険医の配置・定数の設定などの規制的・実効的な是正策が講じられるよう、国と都道府県の権限を強化すべきと提言した、ということだ。

日本の医療の大部分は、公的保険がカバーしている。保険医になって初めて、医師が臨床で仕事を行える。

専門医のみならず、保険医という身分を、どうやら行政が医師を支配する道具にするつもりらしい。

地域医療・僻地医療に医師を派遣するためというのは、実際の理由ではなさそうだ。毎年9000名前後の医師が新たに誕生しており、彼らがどこかの時点で、保険医(保険医療機関の長)・専門医になるために地域医療に携わるとして、200名前後の医師を定常的に受け入れる医療機関が、各都道府県の地域医療にはなさそうだ。その上、各都道府県には、自治医大の卒業生が数十人規模でいるのだ。

財政審が、上記のように提言している通り、保険医の数を制限することが、行政の目標ではないのか。医師の増員を進める一方で、保険医数を制限すれば、保険医になれぬ医師が出てくる。すると、そうした医師は自費診療に携わることになる。こうした自費診療に携わる医師が増え、医療における自費診療部分が増えれば、公的保険のカバーする範囲を縮小できる。

さらに、自費診療は、当然民間医療保険がカバーすることになるので、民間医療保険会社の得るパイが大きくなる。以前にもアップしたが、わが国では、医療保険は外国資本の保険会社が、損保は国内資本の保険会社が担当することに決められている。外国資本のグローバル保険企業が、わが国の医療で大きな利益を得るようになる、という構図を、行政は考えているのではないか。

TPPの大部分は、国の形を決める条項からなっており、関税についての条項の占める割合は少ない。米国が、TPPによって、わが国で利益を得ることを考えている市場は、医療市場以外に考えられない。行政は、それを側面から支援しているのではあるまいか。医師数を増やし続けることも、グローバル保険資本が日本の医療を草刈り場にするのを助けるはずだ。

いささか陰謀論のように聞こえるかもしれないが、保険医数の制限が持つ意味は、これしか考えられない。

で、国民にとっては、割高な民間医療保険に入ることが必須になる。民間医療保険は、保険内容によって可能な治療が変わる。患者も、医療現場も、何らかの医療行為を行う際には、民間医療保険との交渉が不可欠になる。すなわち、割高で不便な制度になるのだ。それを覚悟しておかなければならない。

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