TPPは、国民皆保険制度を破壊する 

TPPの医療に及ぼす影響について。

国民皆保険制度は、TPPによって必ず破壊される。それが、グローバル保険資本・製薬企業がわが国の医療を草刈り場にするために必要だからだ。

いつでもどこでも同じ医療を低廉なコストで手に入れられる時代は終わりになる。

米国と同様に、高額で保険購入者に不利な民間医療保険に加入するか、深刻な病気にかかると自己破産せざるをえなくなる。

医療が貴重な社会的共通資本であることが、TPPを推進する人々には理解されていない。または、医療によって得られる利益、それによる「経済成長」を、社会的共通資本よりも優先させるのだろう。

以下、引用~~~

試される日本の国民皆保険 手足を縛る協定のルール ニュースクール大教授 サキコ・フクダ・パー 視標「TPP審議」
16/10/31記事:共同通信社

 環太平洋連携協定(TPP)の承認に関する国会の審議がヤマ場を迎えた。コメなど農業分野に関する議論が中心になっているが、協定や付属文書のほとんどは、広範囲に及ぶ経済規制に基準を設ける内容だ。これらのルールによって、政府は手足を縛られる恐れがあり、慎重な議論が必要だ。
 
 21世紀の貿易協定の争点は、市場開放よりも投資が主だ。協定に盛り込まれるルールは、医療の価格や水準、公立病院など国の保健医療制度の根幹に関わる政策の選択の幅を制限する。TPPだけでなく、米国と欧州連合(EU)の環大西洋貿易投資協定(TTIP)交渉についても、健康を担当する官僚や専門家たちの間で反対論が強まっている。
 
 健康は貿易協定とどのような関係にあるのだろうか。最大の争点は、特許権を強化する知的財産権の条項だ。これが独占価格を維持し、薬価の高騰を招く。例えば特許切れが迫った薬に簡易な手直しを加えて新薬とすることで特許期間を延長したり、医薬品の認可に必要な臨床試験データや生物製剤のデータを独占したりして、後発医薬品との競争激化を遅らせる。
 
 さらに、投資家が国家を訴えることができる紛争解決(ISDS)条項によって、外国企業が将来の利益の妨げとなる医療保険制度をめぐって政府を訴えることが可能だ。食品安全、国営企業、政府調達など協定の幅広い基準や条項によって、最も緊急性が高い公衆衛生上の優先課題に対する政府の対応能力が損なわれる恐れがある。すでに、がんやC型肝炎など、生命を脅かす病気を治療するのに必要な薬の価格が高騰し、政府、保険会社、家計を苦しめ、医薬品を手に入れられない多くの患者を生み出している。
 
 TPPなどの新貿易協定は、知的財産権の独占と価格の高騰を定着させる。その結果、公衆衛生上の最優先課題、例えば薬剤耐性(AMR)の増加、ジカ熱などの世界的な新たな脅威、エボラ出血熱などの喫緊の課題に対する新たな抗生物質を開発するための技術革新に必要なインセンティブを減らしてしまう
 
 このような理由から、医薬品へのアクセスに関する国連のハイレベルパネルが設立され、医療保険を享受する権利と貿易協定との間にある「矛盾」を是正しようとしてきた。筆者もメンバーに加わったパネルの報告は、9月に発表され、貿易協定は、真の技術革新を伴わない特許権や独占権を強化する方策を含めるべきではないと主張した。
 
 また私たちは、貿易協定の交渉や締結の際、各国が健康への影響を厳格に評価するよう提言した。この報告は、世界において最も先進的な公衆衛生システムを有する日本にとって重要な課題だ。
 
 日本では公的医療保険制度(国民皆保険)によって、誰もが低価格で高品質な医療サービスを受けることができ、それが日本国民や日本経済の力の源となってきた。世界最長の平均寿命の源泉となっただけでなく、経済面のダイナミズムや繁栄を共有する源でもあった。
 
 TPPの承認について国会で採決する前に、TPPがもたらす経済的利益と損失、そして健康に与える影響を厳密に調べ、その結果を国民全体に知らせて議論を促す必要がある
 
   ×   ×
 
 さきこ・ふくだ・ぱー 1950年東京生まれ。世界銀行のエコノミストを経て、95年から2004年の間、国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書」の主執筆者。06年から現職。国連開発政策委員会委員。ニューヨーク在住。

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