米国大統領選の結果を見て 

米国大統領選の結果は、意外だった。大方の予想は、クリントンの楽勝だった。実際、私もそう考えていた。なぜこのような結果になったのかは、様々なところで、多くの識者が分析することだろう。今のところ、中低所得者の白人層が彼を支持したことで、この結果になったということのようだ。

感想をいくつか・・・

トランプは、おそらく意図的にマイノリティへの差別、排除を選挙戦で主張した。これまでのestablishmentsに不満、反感を持つ層は、こういって差し支えなければ、もっとも暗い汚れた面でトランプのそうした戦略的な言辞に共鳴したのだろう。political correctnessの否定だ。多様性を価値としてきた米国が、この暗い差別・排除主義で分断された。それを、どうやって立て直すのだろうか。それとも、選挙戦で主張してきたマイノリティの排除を実際行うのか。

基軸通貨として大量に発行した米ドルで外国から安価に物品を購入し、一方で、国債を大量発行して米ドルを自国に還流させるシステムが、戦後の米国にはあった。それが、米国の大量消費社会を維持してきた。だが、ベトナム・イラク他の戦争で莫大な予算を食いつぶし、そのシステムが維持できなくなってきた。1990年代以降、ネット空間で多額の資金をやり取りする金融資本主義が発達したが、それが持つ問題も2008年のリーマンショックで明らかになった。金融資本主義の行き詰まりも明らかだ。グローバリズムの進展で、上記中間層が経済的に厳しい状況に追いやられた。経済格差の進展である。

トランプは、共和党の理念である小さな政府を目指さず、社会福祉に予算を増やし、高所得層の所得税・企業の法人税を減税する、という。関税を上げ、産業の国内回帰を図る、という。だが、上記のような状況で、それが一体可能なのか。きわめて困難な状況になるのではないだろうか。彼が選挙戦で述べてきた「政策」を実行に移し、中低所得層に満足感を与えられなければ、一気に彼への支持はなくなる。

トランプは、理念で動く人間ではない。損得勘定でのみ動く。経済的に米国が苦しいとなると、理念上一致しえなかった相手、例えば、ロシアのプーチン等とも組むようになるだろう。また、日米関係も大きな転機を迎える。選挙戦では、彼は、日本の安保ただ乗り論を繰り返してきた。これも盛んに言われているが、日米安保の縮小とともに、わが国の軍拡がさらに進められる可能性がある。

それにしても、世界各地で、排他主義、マイノリティ排除、国家主義を主張する政治リーダー・政党が続々と誕生し、支持を増やしている。トランプ大統領の誕生は、そうした現象の一環なのだ。第二次世界大戦後、民主主義のもと平和を追求する方向に舵を切ったはずが、それとはどうも逆の方向に世界が向かっているのではないだろうか。

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