ポピュリスト政治 

米国のトランプ次期大統領に対して、その支持者たちは今のところ熱狂している。SNSで、その熱狂ぶりを見ていると、あたかも一種の新興宗教のごとくだ。政治的なキャンペーンではよくあることだが、トランプ支持者の発言には事実無根の宣伝があまりに多い。すぐに、その嘘がばれてしまうようなプロパガンダを平気でネット上に拡散する。トランプが、選挙運動中にマイノリティ排斥を訴えてきたことによる、国民の間の亀裂は拡大するばかりだ。その排斥のアピールの根拠も、事実とは異なる


トランプは、政府幹部に人種差別主義者を入れ、また政権移行チームにはウォールストリートのロビイストたちを入れたと批判されている。元来、彼は、ホワイトハウスからそうしたロビイストを一掃すると、選挙戦を通じて約束していた。だが、財務長官、商務長官ともにゴールドマンサックス出身の人物。政権移行チームに娘婿が入り、内紛を起こしているらしい。公務経験がなく、議会に基盤のない彼は、結局、旧来の共和党議員の力が必要になっている。

トランプは、旧来の共和党の主張を大幅に取り入れる政策をとることになりそうだ。健康保険政策では、オバマケアを撤回する。オバマケア、正しくはAffordable Care Actによって、健康保険の無保険者が国民の16,17%だったものが、10%にまで減少していた。だが、その撤回によって、2000万人が無保険に戻る可能性がある。トランプが主張する「保険会社が州境を越えて営業することを認める」政策は、保険会社にとって都合の良い州に保険会社を移動させるだけだ、と指摘されている。トランプは、選挙戦の間は、メディケイド、メディケアの予算を削減することはないと主張してきたが、当選してからは、両者に変更を加えることを明言している。これで、上記の通り、多数の国民が医療保険というセーフティネットから抜け落ちて、無保険となる。メディケイドでは、投入される国家予算が大幅に減らされ、メディケアではvoucher systemが取り入れられる、またはメディケアそのものをなくすようだ。まだ、現実の政策法案とはなっていないので、経過を見る必要があるが、トランプは結局旧来の共和党と妥協して行かざるを得ないのではないだろうか。こちら。

トランプ現象と言われる、ポピュリズムに基づく、保護主義、国家主義への回帰は、結局、こうした形を取らざるをえないのではないか。これが、支持者の失望を招くときに、一旦引っ込めたかに見えた当初の人種差別政策、マイノリティ排除政策に彼が回帰する可能性がある(と、UC BerkeleyのGerard Roland教授が指摘している)。敵や、排斥すべきマイノリティを政治的にデッチ上げ、それによって、大衆の支持を得るのは、ポピュリスト政治家の常とう手段だ。今や、世界各地で、こうしたポピュリズム政治家が台頭してきている。Brexitを先導した(扇動したというべきか)Boris Johnson、 トルコのErdogan、それにフィリッピンのDuerte等もその典型だろう。ロシアのPutin、フランスMarine Le Penも、彼らと同類だ。過去の歴史を否定し、韓国・中国の人々への一部の国粋主義者の嫌悪感情を利用し、自らの権力基盤を固め、岸信介の生きた時代へわが国を逆行させようとしている安倍晋三も、その一人なのではないだろうか。

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