南スーダンの状況 その2 

国連で米国の主導により、南スーダンへの武器輸出を「1年間」禁止することが決まった、と昨日報じられていた。これまでは、攻撃ヘリや、地対地ミサイル等の大型武器が入り乱れた戦闘が、南スーダン各地で繰り広げられてきた。武器禁輸は、南スーダン政府が反対し、ロシア・中国・エジプト等が賛成しないために、実現しなかったようだ。米国がもっと早くリーダーシップを取るべきだった。これほど深刻な内戦状態にある国への武器禁輸がこれまで実現しなかったことに対する、先進国の責任は重い。

「世界」12月号に、ジャーナリストの谷口長世氏が、『南スーダン「駆けつけ警護」と「戦争のできる、普通の国」』というタイトルで論文を寄稿している。それを参考に、南スーダンの問題、自衛隊派遣の問題を記す。

英国植民地支配による分断統治と、石油埋蔵の発見によって、スーダンでは1956年独立後、内戦が繰り返されてきた。2011年、米国の後押しで、南スーダンが独立。2013年に南スーダン内戦が始まる。政府・反政府両派間の戦闘という言われているが、実際は、石油利権を求めて、63の部族が戦闘を行う混沌とした状況が続いている。石油利権・武器輸出利権を求めて、背後に「大国」が存在する。

20世紀末以来、中国が石油利権を求めて、アフリカへの進出を進めた。それに対抗するために、米国は、2006年、アフリカへの軍事的プレゼンスを確保するために、アフリカ軍、合同統合任務軍「アフリカの角」を創設した。同軍は、多国籍軍とし、米軍の負担をできるだけ減らすこと、軍民共同作戦を取ること等を主任務・目的としている。

一方、わが国政府は、自衛隊とJICAの共同を、上記「アフリカの角」と歩調を合わせるように進めた。海賊対策という名目で設置されたジブチの基地は、米軍の任務を自衛隊・JICAの活動に肩代わりさせるための前線基地としての役割を負っている。上記の通りの混沌とした内戦状態に、自衛隊が参画することになる。

わが国政府は、南スーダンは比較的落ち着いていると繰り返し、それによって、国連PKOとして自衛隊派遣を続けるだけでなく、今回、「駆けつけ警護」という内戦に直接関与する任務を自衛隊に命令した。「駆けつけ警護」なる概念は、国際的に存在しておらず、自衛隊が戦闘行為に参加して、特定の派閥・部族を敵に回すことになる。

例年、12月には、南スーダンは乾季に入り、戦闘が激化するという。

世界各国の治安状況を示す「グローバルピースインデックス」によると、南スーダンは、2015年度は世界第三位、2016年度はシリアについで世界第二位の危険な地域とされている。安倍首相は、国会答弁で、南スーダンでは内戦はおろか戦闘行為さえもないと強弁しているが、それは全くの嘘である。米国のアフリカでの軍事プレゼンスを肩代わりするために、自衛隊が南スーダンに派遣され続け、内戦状態に巻き込まれることになる。

谷口氏によれば、自衛隊員が戦死する可能性は高く、安倍政権は、そうしたことを繰り返さぬためにと称して、戦力の本格的な海外派遣を可能にする憲法改正に突き進むのではないか、と推測している。

そもそもこの「駆けつけ警護」等の安保法制は、わが国の安全保障を確保するためという建前だったのではないだろうか。海外で戦争に巻き込まれた邦人を救いだす友好国軍を助けるためと称して、「駆けつけ警護」の必要性を、安倍首相が説いていたのではないか。安保法制の制定の目的は、南スーダンに自衛隊を派遣し、米国軍の肩代わりをすることだと安倍首相は一度でも語ったことがあっただろうか。南スーダンに対して、わが国が行うことは、最初に記した実効性のある武器禁輸を永続的に進めることであり、110万人以上と言われる難民などへの民生援助なのではないか。

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