BMDシステムの問題 

現在の弾道ミサイル防衛システム(BMDシステム)として、イージス艦上から発射される海上配備型迎撃ミサイルSM3、地上から発射される地対空誘導弾PAC3がある。北朝鮮の弾道ミサイル攻撃を念頭に置いている。SM3が、日本海海上の大気圏外でミサイルを打ち落とす。それに失敗したら、PAC3が本土で対応することになっている。2004年から、2015年度までに、BMDシステムに1兆3500億円超費やした

だが、これらのシステムにも問題がある。

一つは、命中精度、対応範囲の問題だ。PAC3の命中精度は20から30%と言われており、対応範囲は数十kmの範囲に過ぎない。限られた範囲、東京の中枢部、例えば首相官邸、永田町、米軍基地等だけを防御することになる。国全体をカバーすることはない。

二つ目は、敵国がおとり弾を多数同時に打ち込むことに対して、対応は難しい。また、一つ目の問題に関わるが、敵国のミサイルが、特定の基地等をピンポイントに攻撃する場合と異なり、都市中心部等のように明確でない場所に飛来する場合は、ミサイル軌道が計算できず、対処できない・・・これらは、BMDシステムの根本的な問題だ。

最後に、膨大な取得、維持コストが必要になる(最初の段落で記した通り)。PAC3一基で5億円程度と言われている。その管理システム、レーダーシステムなどにも費用がかかり、定期的なリニューアルのコストも必要になる。イージス艦も同様だ。BMDを整備すれば、相手はそれを上回る攻撃方法を開発することだろう。現に、中国等は宇宙軍拡に突き進んでいる。軍拡の悪循環が際限なく続くことになる。

わが国政府は、THAADも導入することを検討しているらしい。大気圏外でミサイルを迎撃する、この新型のBMDシステムでまた大きな予算が必要になる。BMDとしての問題は変わらない。

あまり表面に出ないが、もっとも重大な問題は、BMDシステムの開発・配備は軍事企業にとって大きな利益源になっていることだ。PAC3の製造には三菱重工業が関与している。軍事企業は、利益を確保するために、国際政治上の緊張を高め、さらなる軍拡に進むように政治に働きかける。

酷い財政状況のわが国が、効果が不定で国全体を守ることのできないBMDシステム開発・配備に突き進むべきなのだろうか。

北朝鮮が、自殺行為的に暴走する可能性はゼロではない。が、暴走させぬようにすることが一番だろう。特に2000年以降米軍が、韓国軍と共同し、「金政権を打倒する」ことを目的に掲げて大規模な軍事演習を朝鮮半島周辺で繰り返してきたことは、緊張を不要に高めた。そのような緊張を煽る行為は止め、中国に仲介させて、北朝鮮を和平のテーブルに何としても付かせなければならない。最低限の防衛整備は必要だが、常に緊張緩和を目指すべきなのだ。北朝鮮に対しては、それ以外対処の方法はない。

以下、引用~~~

対北防衛強化2000億円…PAC3射程2倍に

2016年11月27日 06時00分 読売新聞

 政府は、2016年度第3次補正予算案を編成する方針を固めた。

 複数の政府関係者が明らかにした。総額は1兆円前後になる見込み。経済対策関連の予算は計上せず、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を受けたミサイル防衛システムの強化に、2000億円弱を盛り込む方向で最終調整する。

 安倍首相が、近く麻生財務相に編成を指示する方向で、政府は12月中旬にも閣議決定し、来年の通常国会に提出する予定だ。

 ミサイル防衛関連では、地上配備型誘導弾「PAC3」の改良型の購入費や、改良型PAC3を搭載するためのシステム改修費として計約1880億円を計上する。現在配備されているPAC3は、射程約15~20キロとされるのに対し、改良型の射程は約2倍となる。防衛省は、17年度予算の概算要求に購入費などを計上していたが、一部を前倒しする。

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