行政による医療からの簒奪 

緩和病棟ホスピスの定額診療報酬を受ける条件に、日本医療機能評価機構の病院機能評価がまだ続いている。この問題は、以前にも取り上げた。こちら。同機構による病院評価は、行政が病院の様々な「機能」を検定する制度だ。だが、その内実は、ほとんど意味がないことの羅列である。ひどい場合は、スリッパの形状や、ごみ箱の蓋の有無とかを問題にするらしい。もっとも大切な、医療機関従業員の労働環境、労働条件については、おざなりで形式的な評価しかしない。

以前のポストにも記したが、評価を受けるために数百万円規模の金を医療機関が要求され、毎年数十万円、さらに評価基準改定時に新たな受診と同じだけの金が要求され続ける。いわば、医療現場の貴重な収入を、ねこばばしているのだ。その病院機能評価に対する医療機関側の「評価」は右肩下がりで、受診する医療機関も減り続けている、と聞いている。同機構は、産科医療補償制度で百億円単位の内部留保を確保したため、この病院機能評価にはあまり積極的ではない様子。だが、緩和病棟の診療報酬にからみ、この病院機能評価というおかしな制度が「強制」になっていることは、社会的な公正さの点で到底納得が行かないものだ。診療報酬制度のなかで唯一この病院機能評価が強制されている項目である。人生最後の時を患者さんが過ごされる緩和病棟で、金をむしり取るねこばばを行政が行っていることには痛烈な批判がなされるべきだ。

実は、これ以外にも、医療を行政、その天下り組織が「食い物」にしている事例は、どんどん増え続けている。新たな専門医制度もその一つ。実務は学会に丸投げで、事務処理を担当する専門医機構と関連学会に莫大な専門医認定の手数料、更新料が入る。専門医資格が、実質的に勤務医となり仕事を続けるために必要条件になりつつある。医師は、あまり意味のない座学とリポート、そして多額の取得、更新手数料を支払わせられる。専門医取得・更新に多くの時間を割かれ、医師はさらに疲弊し、経済的にも負担を強いられる。これで潤うのは、官僚の天下る専門医機構と学会の幹部たちだ。

医療事故についても、同様の構図が見え隠れする。日本医療安全調査機構・医療事故調査・支援センターは、盛んに医療事故の報告例が少ないとマスコミに垂れ流している。その一方で、同機構は医療事故の原因調査再発防止のみに専念するという原則を逸脱し、医療訴訟事例も積極的に調査する事業を行っている。報告例が少ないと宣伝するのは、報告例数の増加が同機構の収入に結びつくからだ。このブログに後で引用しようと思っているが、同機構のそうした在り方について、坂根みち子医師が痛烈な批判を行っている。

ここでは触れないが、医学教育分野、診療報酬においても、同様の事例がある。

こうした天下り組織による、医療からの簒奪は、結局、医療の窮乏化、貧困化を招き、それによって患者にしわ寄せが及ぶ。

こうした簒奪の構図は、結局のところ、国民生活のいたるところに存在し、負の影響をもたらしている。政治はそれを黙認し、マスコミもほとんど問題にしようとしない。

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