ウイルスのパンデミック 

14日夜、NHKで放映された「メガクライシス ウイルス大感染時代」という番組の後半だけを見た。気が付くのが遅れた。番組のサイトはこちら。18日の未明にも再放送がある由。

多様なウイルスが存在する・・・まだ、存在が分かっていないものもある・・・こと、地球温暖化に伴い、蚊等のvectorを介して広範な感染を起こしうること、遺伝子操作により蚊の寿命の短縮を図り蚊の数を減らす試みがなされていること、ワクチンの製造に、鶏卵を用いるのではなく、細胞株で製造する方法が開発されつつあること等がテーマだったようだ。一年に世界中の35億人(記憶があやふや・・・延べ数?)の人間が、世界を移動すること、多くのウイルスの潜伏期間よりも短い72時間あれば世界中に行けることが感染爆発の引き金になる可能性が指摘されていた。

実は、この番組について、facebookにも予告のpostがあった。それに対するコメントに「傑作な発言」が多くあった。曰く、どこかのだれかの陰謀で感染爆発が起きる等々の陰謀論。ネットでは、こうした荒唐無稽な発言が目立つ。ネットでは、受けを狙う発言、思い込みによる発言が多い。ネットの特性なのだろうか。政治経済分野でも、事実を事実として認めぬ、fake newsがあまりに多い。ネットは、人々の視野を広げてくれる面があるが、一方では、知らず知らずにそうした、事実に立脚しない記事に取り込まれていることが起こりうる。そうしたfake newsに接した場合、それに議論を挑んだりすることは多くの場合無用だ。John K3TNに指摘されたのだが、fake newsを流すサイトに発言することは、そのサイトを拡散することになる。それは汚染を広めることだ。同じく米国の友人が、Trumpの先日の記者会見に内容をfact checkしたサイトがあり、その50%は明らかな嘘、84%は少なくとも一部は嘘だと明らかにしたことを教えてくれた(これは、以前のポストでも記した)。BBCも、ネット情報のfact checkを開始すると最近報道されていた。今後、fact checkがあらゆるネット情報に行われるようになることだろう。factとideologyの境界は鮮明でないこともあるが、それにしても明らかなfake newsが大手をふるって出回っている。

もう一つ思ったのは、この番組では、ウイルスの多様性、伝染性、そして病原性に焦点が当てられていたが、感染を受ける側のヒトの多様性についての言及がなかったこと。ヒトには、免疫系が備わっており、体表から体内に、さらに即時の反応から長期間持続する免疫記憶という、防御機構がある。多様な病原体に対応するのに、免疫系の多様性がある。その多様性を規定する一つが、HLAの多様性だ。免疫反応の抗原提示に際して、抗原と一緒に免疫細胞に認識される。二種類のHLAがあり、classIはCD8Tcellの受容体に、抗原ペプタイドとともに認識され、classIIは、マクロファージを介した免疫応答等に関与する。そこで、特定の抗原に対する免疫応答が決定される。特定のalleleを持つ個体が、特定の病原体に免疫応答を行う一方、そうでない個体は免疫応答が生じない、または不十分にしか生じない。といったことだったような気がする。Parhamの記したThe Immune System(一人でこれだけの免疫の知識をまとめ上げる博学振りはすごい!)によると、classIは六つ、IIには五つのisotypeがあり、その各々にpolymorphicなalleleが存在する。その多様性こそが、人類の免疫上の多様性だ、ということだ、その多形性の起源は、どうも選択によるものらしい・・・だいぶ怪しい理解だが、母校の人類遺伝学教室でHLAのタイピングの仕事をしていたころ、日々更新されるこうした新たな知見について、こころときめかせたものだった。もう、そうした研究から置いてきぼりをくらって長い時間が経つが、またすこしずつ勉強してゆこう・・・という話は独り言で・・・この免疫応答の宿主側の多様性があるから、どのような病原体が流行しようとも、人類全体からみたときに、人類が絶滅するような事態にはなりにくいとはいえるだろう。ヒトが短期間に地球上を行き来することは、パンデミックの大きなリスクファクターであることには変わりはないのだが、人類絶滅の危機と言い立てるのは間違っている。

もう一つ、季節性インフルエンザに対して、抗インフルエンザ薬(NA阻害剤、商品名タミフル等)を無定見に多用するのは止めるべきだろう。必ず、同薬への抵抗性を持つウイルス株が出現する。そして、それが鳥インフルエンザと遺伝的に関係した場合、致命率の高い鳥インフルエンザと闘う手段がなくなってしまうことになる。抗インフルエンザ薬は、ハイリスクの患者にだけ用いるべきである。患者さんにも、それは理解してもらわねばならない。

コメント

小松左京「復活の日」では

8J1RLが活躍する映画「復活の日」は1960年代の原作が1980年代に映画化されています。英語名はVirusなんですが、じつは原作でMM88はウイルスではなく当時はそんな名前はあったかなかあたかわかりませんがブリオンのさらに一部を兵器用に改造したものとなっています。狂牛病以前の原作でよくここまでおもいついたものです。

プリオンの感染様式はまだよくわかっていないようですね。BSE等では、経口感染であることが判明していますが。少し調べたら、感染しない正常のPrP(プリオンたんぱく)は長期記憶に関係があるかもしれない、とのことで興味深いことです。

ま、兵器化は少なくとも今はないでしょうし、兵器化しても潜伏期が結構長い場合が多いので、兵器としての性能には疑問符がつくかもしれません。

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