偽造薬の問題 

偽造薬品の問題は、一つにはそれを製造する犯罪集団、二つ目には流通させる薬品卸、そして最後に末端の薬局ないし医療機関にある。

製造者は犯罪を犯しており、徹底して追及されるべきだ。卸、流通業者も、利益追求のために安い薬品を厳しいチェックなしに購入することは止めるべきだろう。末端の医療機関・薬局は、正直なところ、卸から仕入れたものであれば、それの真贋を疑うのは難しいかもしれない。が、現在主流になっている院外薬局は、その機能からして、常識を超える値引き品や、怪しげな流通業者から仕入れるべきではない。考えたくはないが、他の薬でも偽造薬があり、市場に出回っている可能性がある。薬剤の流通経路の最初、ないし少なくとも途中で、そうした薬を見出し、患者の手に渡らないようにすべきだ。

もう一つ大きな問題は、抗がん剤、抗ウイルス薬、生物製剤等を中心に薬価がきわめて高額になっていることだ。この抗C型肝炎ウイルス薬は、一錠5万円以上する。このブログでも何度か、この高薬価の問題を扱ってきた。例えば、こちら。この高薬価の問題を解決しないと、医療は早晩破綻する。高薬価の算定根拠は何なのか、製薬企業はそれでどれほどの利益を上げているのか、医療制度を維持する観点から、徹底して検証すべきだろう。高薬価が続く限り、こうした偽造薬はあとを絶たない。

偽造薬の犯罪性は、それによって利益を上げる人間がいること、本来の真正の薬で得られる利益を患者が得られないこと、偽造薬による副作用(というか、それによる患者に悪影響を及ぼす効果)があることである。どれをとっても看過できない。二番目の点でいえば、抗がん剤・抗ウイルス薬等の場合、休薬すると病状が進行し、さらに真正薬への効果が落ちる可能性がある。この点で、殺人罪にも匹敵する犯罪である。そうした観点から、捜査当局には徹底した捜査を期待したい。

以下、引用~~~

偽造肝炎薬 ハーボニー「裏ルート」 偽薬「ぬれ手であわ」 超高額、需要も高く
17/02/01記事:毎日新聞社
 
 正規とは異なる「裏」の医療用医薬品流通ルートで出回ったことが明らかになったC型肝炎治療薬ハーボニーの偽造品。横流し品など素性のはっきりしない製品の流通を放置することは、健康を脅かす偽造品が紛れ込む余地を広め、医薬品の高額化が進む先進国が偽造グループに狙われる恐れを高めている。
 
 「医薬品 高価買取」。古い店舗や住宅が密集する東京都千代田区のJR神田駅前に、こうした看板を掲げる「現金問屋」が十数軒並ぶ一角がある。厚生労働省によると、ハーボニーの偽造品が最初に持ち込まれたのが、この問屋街だった。
 
 神田生まれという地元の不動産業者によると、第二次大戦後、進駐軍から横流しされたペニシリンや日本軍が使っていたヒロポン(覚醒剤)を売り買いする業者が集まったのが由来という。メーカーや卸業者の規模が小さかった時代は、在庫の調整やすぐ現金化して資金繰りを助ける役割を果たしていた。しかし、今は余った薬や横流し品など「訳あり」の製品も多く扱い、正規ルートより安値で医療機関や薬局に販売するルートになっている。18社が組合を作るものの、未加入業者もいる。
 
 ある現金問屋に聞くと、昨夏ごろから「ハーボニーを買ってほしい」という電話が相次いで問屋街にかかってきた。「怪しい男が来たが、断った」と話す問屋もいる。今は消えているが、偽造品が見つかるまでネット上にはハーボニーの買い取り広告が多数あり、買う側のニーズも高かったことがうかがえる。
 
 偽造品は都内の問屋3社に、販売許可を持たない個人が持ち込んだとされる。問屋は本人確認をせず、添付文書や外箱がないボトルを買っていた。以前から素性の定かでない製品を扱っていたとみられる。
 
 偽造品が出回った理由を探ると、業界関係者が指摘するのがハーボニーの特殊さだ。ハーボニーは超高額の新薬で、28錠入りボトル1本が153万4316円だ。患者にとって副作用が少なく効果の高い治療薬として登場したため需要が高く、偽造品は「ぬれ手であわ」になったとみられる。
 
 また、国内の医薬品では珍しく、シート状の個別包装ではなくボトルに密閉する包装だったため、外から錠剤が見えない。偽造したラベルは正規品とほとんど見分けがつかず、重さも正規品とほぼ同じ。奈良県内の薬局の薬剤師は、ふたの内側のアルミシールをはがして中を確かめず、患者に偽造品を売っていた。
 
 製造販売元のギリアド・サイエンシズによると、2015年の発売時、国内で品薄になった場合の融通しやすさを考え、海外で主流のボトルを採用したという。同社は31日、個別の包装への切り替えを3月上旬に始めると発表した。
 
 確認されている偽造品は14本だが、出所が分からず、今後も出回る恐れはある。薬事監視を担当する自治体職員は「ハーボニーが承認されていない中国では、日本の10倍もの価格で取引されているとも聞く。大がかりな偽造グループが関与していてもおかしくない」と神経をとがらせる。【熊谷豪】
 
 ◇世界流通、8兆円規模
 
 偽造医薬品は世界で大きな問題になっており、流通規模は日本の薬剤費に匹敵する750億ドル(約8兆円)との試算もある。
 
 少額の投資で製造でき、種類も多いため発覚しにくく、途上国で流通する医薬品の10〜30%は偽造と言われる。
 
 健康被害も多数報告され、ニジェールでは1995年、有効成分を含まない偽の髄膜炎ワクチンで2500人が死亡。パナマでは2007年、安価な工業用原料で造られたせき止め薬などを飲んだ子どもら100人以上が犠牲になった。
 
 日本で表面化した偽造医薬品の多くは個人輸入だった。勃起不全(ED)薬を販売する製薬会社4社による昨年の調査では、ネットで売られているED薬の4割が偽物で、有効成分を全く含まないものや不純物を含むものもあった。11年には意識低下で東京都内の病院に入院した男性(48)が、血糖降下薬の成分を高濃度に含むとみられる偽造ED薬を服用していたことが判明した。
 
 一方、日本では偽造品の大規模な流通は少なかった。大手卸グループ4社が製薬企業から医薬品の8割以上を買い取り、製品の高度な追跡システムを備えているためとみられる。しかし、昨年の主要7カ国(G7)伊勢志摩サミットでまとめられた国際保健対策には「医薬品の偽造は患者の安全や研究開発への投資に悪影響を与えることを認識すべきだ」との文言が盛り込まれ、医薬品の高額化が進む先進国でも関心が高まっている。
 
 日本製薬工業協会が5年前に会員企業に実施した調査では、偽造品が確認された製品は抗生物質と抗がん剤が最も多かった。高額化が進む抗がん剤などは、不当に得られる利益も大きく狙われやすいと言える。偽造医薬品に詳しい木村和子・金沢大教授は「以前は抗生物質やマラリア治療薬などの偽造が多かったが、最近は先進国で需要の高い生活習慣病関連薬にも広がっている」と指摘する。【下桐実雅子】
 

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