原発事故地域への住民の帰還の問題 

東電福島第一原発事故による避難の区域が、狭められつつある。2022年までに、帰還困難区域以外は、住民帰還を目指すとの方針のようだ。しかし、実際に、帰還が進められた地域では、田村市東部を除いてこの1,2年間の間に帰還した住民は1から2割しかいない。こちら。

住民帰還の進め方に問題がある。

一つは、避難指示解除準備区域の規定が、年間放射線量が20mSv以下となっていることだ。これは、2009年のICRPの勧告による長期被曝の許容線量1から20mSvの最大の値だ。確かに、疫学上は、100mSv以下では、発がんはノイズ以下の確率になるようだ。だが、実際の長期的な知見はまだ乏しい。さらに、放射線感受性の高い幼小児では、20mSvという放射線量が何らかの影響を及ぼす可能性は残る。避難指示が解除されても、当該地域では当面は極端な高齢化が進む。

二つ目、「除染」は居住地域に限定して行われ、またそれによって劇的に放射線量が減るわけではない。山野、畑の放射能汚染はそのままだ。生態系に放射性物質が取り込まれ、蓄積・高濃度化する可能性もある。メルトダウンした原発燃料の局在を知り、取り出す方法はまだ全く見出されていない。今のところ、内部被ばくにそれほど問題はないとされているが、今後、綿密に環境汚染・内部被ばくをフォローする必要がある。

ネットを巡回していると、こうした福島の放射能汚染問題を取り上げることが、福島の人々への偏見・風評被害を助長するという議論もあるようだ。その意見の趣旨は分からぬでもないが、問題が残っていることは指摘し続けなければならない。東電、政府当局は、住民を早期に帰還させ、それで原発事故の責任から逃れようとしているように思えてならないからだ。今のところ、重大な健康被害は生じておらず、内部被ばくも問題になることはない。だが、それだからといって、今後とも問題はないと言い切ることはできない。住民を早期に帰還させることは、慎重に行うべきだ。そのフォローを客観的に第三者が行うべきなのではないだろうか。

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