脳動脈瘤の発症機序の一部が解明された 

蔵書類を整理していて、従妹のEOの記念誌が出てきた。彼女は、1980年代半ば、脳幹部に及ぶクモ膜下出血で亡くなった。

EOの発症直後、ご主人から電話があり、当時大学外に派遣されていたのだったが、大学の救急に運ぶように伝え、そこで意識がなく、救急のベッドに横たわる彼女にお目にかかったのだった。一時、心停止に陥ったが、救急医の尽力で心拍は回復した。だが、病棟に上がってから、肺水腫が現れ、徐々に脳波がフラット化し、最終的に九日後に昇天したのだった。まだ42歳の若さだった。

私が研修を始めたころ、なにくれとなく気をつかってくれて、家族一同本当にお世話になった方だった。私は医師として彼女の病状に関与することはなかったが、幸い大学の同級生のI氏が担当医になってくれた。彼がとてもよく対応してくれて、病状の説明も十分してくれた。分かる範囲でご家族に説明の補足をする程度のことしかしてあげられなかった・・・いや、主治医だったとしても、できることは本当に限られたことだったろう。あの闘病の九日間は、彼女の死をご家族が受け入れるために準備された時間だったのかもしれない。私にとって、親しい親族が亡くなるのを間近で見届けた最初の方だった。

それにしても、EOのように若い年齢で、激烈な経過で罹患した人を死に追いやるこの病気の残酷さは忘れられない。

クモ膜下出血の主要な原因である、脳動脈瘤の発症機序の解明が一歩進んだという記事が出ていた。

先天性の要因と、血流の問題、それにこのマクロファージの活性化による炎症機転の進展が絡むようだ。炎症が発症に絡むということは新たな知見だろう。マクロファージは、外来性の病原体に接するとTLR4といった受容体を介して、活性化され、様々なサイトカイン、ケモカインを放出、炎症反応を引き起こす。この動脈瘤発症機序では、マクロファージの活性化は何がトリガーになって起きるのだろうか。そこが知りたいところだ。動脈瘤の保存的な治療に結びつくとしたら、大きな朗報だ。

以下、引用~~~

「脳動脈りゅう」仕組み解明 治療薬開発に期待
2月8日 4時10分 NHK

脳の血管にこぶができ、破裂するとくも膜下出血を起こす「脳動脈りゅう」は、特定のたんぱく質が働くことで症状が進むと見られることを動物実験で突き止めたと京都大学のグループが発表しました。治療薬の開発につながるのではないかと期待されています。
脳動脈りゅうは、脳の血管が膨らんでこぶができ、大きくなって破裂すると、脳卒中の1つ、くも膜下出血を起こす病気で、患者は国内に数百万人いると見られています。

京都大学大学院医学研究科の成宮周特任教授と、青木友浩特定准教授などのグループは、脳動脈りゅうを起こしたマウスやラットを使い、病気の原因を詳しく調べました。

その結果、膨らんだ血管には「マクロファージ」と呼ばれる白血球の1種が集まり、この細胞の表面で、炎症を強める働きを持つ「EP2」というたんぱく質が作用していることがわかったということです。

このたんぱく質の働きを抑える薬をラットに投与したところ、血管の膨らみが半分以下に減ったということで、研究グループは、このたんぱく質が症状の進行を招いていると見ています。

青木特定准教授は「現在は手術以外に効果的な治療法がないが、このたんぱく質の働きを抑えることで治療できる飲み薬の開発を目指したい」と話しています。

同じ研究グループの研究者による総説のサマリー;

Acta Neurochir Suppl. 2015;120:13-5. doi: 10.1007/978-3-319-04981-6_2.
Molecular basis for intracranial aneurysm formation.
Fukuda M1, Aoki T.
Author information
Abstract
Intracranial aneurysm (IA) is a socially important disease both because it has a high prevalence and because of the severity of resultant subarachnoid hemorrhages after IA rupture. The major concern of current IA treatment is the lack medical therapies that are less invasive than surgical procedures for many patients. The current situation is mostly caused by a lack of knowledge regarding the regulating mechanisms of IA formation. Hemodynamic stress, especially high wall shear stress, loaded on arterial bifurcation sites is recognized as a trigger of IA formation from studies performed in the field of fluid dynamics. On the other hand, many studies using human specimens have also revealed the presence of active inflammatory responses, such as the infiltration of macrophages, in the pathogenesis of IA. Because of these findings, recent experimental studies, mainly using animal models of IA, have revealed some of the molecular mechanisms linking hemodynamic stress and long-lasting inflammation in IA walls. Currently, we propose that IA is a chronic inflammatory disease regulated by a positive feedback loop consisting of the cyclooxygenase (COX)-2 - prostaglandin (PG) E2 - prostaglandin E receptor 2 (EP2) - nuclear factor (NF)-κB signaling pathway triggered under hemodynamic stress and macrophage infiltration via NF-κB-mediated monocyte chemoattractant protein (MCP)-1 induction. These findings indicate future directions for the development of therapeutic drugs for IAs.

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