医療介護を行政・業者の草刈り場にしておきながら、適正化・効率化をする、という安倍首相 

来年は医療・介護報酬同時改定が行われる。安倍首相は、国会で、医療介護の質を確保しつつ、医療介護の「適正化・効率化」を行うと国会で述べた。

医療介護では、施設の財政状況は厳しく、大半が赤字に陥っている。母集団にもよるが、例えば、こちら病院の7割以上が赤字であると報じている。医療・介護施設の倒産の報道も珍しいことではなくなってきた。民間組織である以上、経営が成り立たなければ、倒産し退場することは自明の理だが、診療報酬・介護報酬といういわば公的な制度によってのみ経営が成立する医療・介護施設が、頻繁に変更される行政と政府の恣意的な意向で経営が立ち行かなくなることは道理が立たない。さらなる「効率化・適正化」で、さらに多くの医療機関・介護施設は、倒産・廃業せざるをえなくなる。

そもそも、医療介護の質と、医療介護費用とは、相反する関係にある。安倍首相が述べる質を確保しつつ医療介護費用をさらに削る、というのは無理難題なのだ。ここまで医療介護費用をぎりぎり切り詰められた状況ではなおさらだ。医療介護は労働集約的な事業であるため、人件費の占める割合が5割以上と高い。ここで、さらなる医療介護費用を削るとなると、人件費を削らざるを得ない。それは、医療介護の質を落とすことになる。

安倍首相の頭にある、効率化の柱は、恐らくAIや、クラウドデータベースの医療介護への導入だろう。だが、それは行政の合理化、関連IT業界の利益にはなるだろうが、医療介護現場にはさらなる経済的負担を強いることに他ならない。特に中小施設にとっては、それらの導入はあまりに負担が大きい。

また、米国とのFTAによって、混合診療がさらに進められる。政府の言い方では、公的保険の範囲をそのままに、患者本人にとってより個別的で効率的な高度先進医療を国民が受けられるように、民間保険の範囲を拡大する、ということになるのだろう。高齢化の進展したわが国では、混合診療による民間保険の医療へのさらなる参入が、経済活性化の切り札になる。が、それはあくまで国民の負担が増えることを意味し、金がなければ高度先進医療には全くアクセスできない状況を生む。韓米FTAでは、韓国は輸出企業を中心に利益を3倍に伸ばしたが、その一方で、経済格差が進行し、医療費が高騰している、という。FTAは、TPPと同等か、それ以上に国の形を根本的にグローバル資本の要求する形に変える、売国的な条約だ。医療介護は、FTAによってグローバル資本が利権を得ようとする最大のターゲットだ。

以前から記している通り、行政が医療から利権をさらに得ようとしている。以前から何度も記した日本医療機能評価機構は、意味のない「医療機関評価」を医療機関に強いている。評価に対する対価は、数百万円以上、評価後の同機構への賛助金も毎年数十万円かかる。数年に一度は、再評価を受けねばならない。同機構は、産科医療補償制度を運営することで、100億円以上の内部留保をため込んでいる。さらに、医療機関評価を受けなければ、ホスピスの診療報酬加算を受けられない。また、DPCというマルメの診療報酬制度の係数が低くなる。こうして、医療に吸い付く蛭のように、同機構は利権を漁っている。もちろん、同機構は、官僚の天下り先である。こうした天下りによる利権漁りが、とくにこの数年間目立つようになってきた。

医療介護を、行政・民間関連業界・グローバル資本の利権の草刈り場にしてはいけない。

以下、引用~~~

安倍首相「医療・介護報酬改定、重要な分水嶺」
17/02/17記事:朝日新聞

■安倍晋三首相
 
 多くの国民は「将来自分は現在の社会保障の給付を受けられるんだろうか」という漠然とした不安を持っていると思う。団塊の世代の皆さんが支え手から給付を受ける側になっているが、2025年には75歳以上になっている。その時に介護も医療も大丈夫かという不安を持っているのだろうと思うが、国民一人ひとりが状態に応じた適切な医療や介護を受けられるよう、医療と介護の提供体制をしっかりと構築していく必要がある。
 
 平成30(2018)年度は、医療と介護のサービス提供等に関する医療計画と介護保険事業計画が初めて全国で同時改定される。25年まで残された期間を考えると、今回の6年に1度の診療報酬と介護報酬の同時改定を非常に重要な分水嶺(ぶんすいれい)と考えている。
 
 25年以降の超高齢社会においても国民皆保険を維持していくため、適正化、効率化すべきことは実施しつつ、質が高い医療や介護を安心して受けてもらえるよう、同時改定に向けてしっかりと検討していきたい。
 
 持続可能なものにすると同時に適正化を行う。適正化とは必要な給付を切ることでは決してない。必要とする給付はしっかりお届けしながら、質もちゃんと維持をしながら、その中で効率化を図っていきたい。(17日の衆院予算委員会で)

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