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低レベルのマスコミ記事 

先日のエントリーで議論された、読売新聞の記事。

マスコミは、どの投稿を載せるかによって、自らの見解を間接的に表明しようとする。この記事などもその典型だ。疲弊する勤務医に投げかけられる罵声に近い投稿に、いちいち反応するのも馬鹿馬鹿しい。

マスコミは、もっと全体をみた議論をすべきではないのか。医療達成度が世界一位とWHOにより評価されたわが国の医療。それを担ってきたことを、我々医療人は、誇りに思っている。きわめて低コストで、質が均一で比較的高く、さらに患者の希望に応じて受診が可能であった、医療のレベル。これが、今、壊されようとしている、ということこそ、マスコミは指摘し、その原因を分析しなければならないのではないか。

医師・患者関係の信頼が失われたなどと他人事のように、マスコミ人は言っていられるのか。その信頼を破壊し続けてきたマスコミに責任はないのか。

取り上げるに足らない記事だが、記録として残しておこう。あと数年後に、医療が崩壊し、現在の医療のレベルが失われたときに、この記事を記した記者は何と言うのだろうか。

読売新聞より引用~~~

信頼関係希薄に/プロ意識が欠如
 病院勤務医の労働環境の実態を追った連載「医の現場 疲弊する勤務医」に対し、多くの反響がメールやファクスで寄せられた。医師側からは、医師不足の解消や医療提供体制の改革を求める声が上がったほか、「不信感をむき出しにする患者が多くなった」との指摘も多かった。患者側からも「よい医師ばかりではない」などと手厳しい意見が相次いだが、一方で「(医師と患者の)相互理解を進めるべきだ」とする声もあった。

 「感謝という日本のよき伝統はもはや失われた」

 そう記し、患者との信頼関係が希薄になったと嘆くのは、40代の心臓外科医。高齢の患者の心臓手術を行い、手術後の容体にも特に問題はなかったが、帰宅した患者が数日後に突然死すると、医療ミスを疑う家族から何度も責められた。

 「治療に自信があっても『裁判を起こされるかも』と不安にかられる。こんな状況なら、開業医になって面倒な患者は病院に送りたいと思ってしまうのも当然」と医師はつづった。

 病院に勤務する50代の整形外科医も、救急外来の85歳の男性が帰宅後に急死したケースで、家族から訴訟を前提に怒りをぶつけられた体験を記した。「昔は家族からあれほど一方的に責められることはなかった」とこの医師は振り返る。

 一方、患者側からは医師の「プロ意識」について疑問の声が上がった。

 医学生の息子を持つ東京都の塾経営、木下茂樹さん(57)は「連載を読んで医療上の過失で医師が逮捕されたケースが4件しかないと知り、驚いた。過酷な勤務状況は分かるが、プロである以上、『精いっぱいやりました』ではすまないはず」と主張する。

 連載では、小児科や産婦人科の医師不足にも触れたが、都内の女性(52)は「多額の税金を使って医師として社会に育てられているのに、困っている患者が多い診療科を選ばないのは疑問」と記した。

 「月6回の当直程度で(大変だからと)医師をやめてしまうのか」「『ありがとう』の言葉がないからくじけそうになるというのは、ひ弱すぎる」などの声も目立った。

 医師からの提案もあった。「医師免許更新制度により国民の信頼を得る」「国立大を卒業した医師には診療科の選択に制限をつけ、不足がないよう定員枠を設けるべきだ」などの指摘のほか、「(国が計画する)『総合医』を支援し、夜間休日の診療を担う人材を育てよ」という意見もあった。

 「信頼関係を築く努力を、患者側も医療従事者側も怠ってきた。双方の怠慢だ」。札幌市の主婦(37)は今の医療不信の根をそう分析する。神奈川県の病院勤務医(36)は、専門分化された病院で患者がたらい回しされる現状や、すさんだ医師と患者の関係を嘆きつつ、こうつづった。「今必要なのは他者への思いやり。まず自分が、できることから実行していきたい」

(2007年5月12日 読売新聞)

コメント

はてさて

この息子さんを持つ塾経営の木下さんという方、ご自身のホームページも持っておられて、そこでは新聞以上に立派な主張をされています。

東都総合研究所ホームページ
http://www.bekkoame.ne.jp/~k-sigeki/

一つの経験則をすべてに当てはめて考えてしまえる、ある意味で稀有な方だと思います。

こういう方たちを相手に、議論をすることはもはや徒労以外の何者でもないだろう、と最近思う次第です。

いやぁ、こうした人物の投稿を載せてしまう、読売の見識が凄いですね。

この方、ご自身の息子さんが医学部の学生らしいですが、彼が医師になって、亡くなられる患者さんを担当したときに同じことを言うのでしょうか。

いやいや、同じ世代の方だし、何か過激さだけが売りみたいな文章、私も自戒しなければ(笑。

塾のプロなら…

そうですね。

それにこの方、塾をしてお金を稼いでおられるようです。
この方の塾、医師に対してここまで厳しいことを言うわけですから、当然、塾生を第一志望に100%合格させているのでしょうねぇ。
高い金払って塾にやっている以上、不合格でした、ではプロとしての自覚が足りないと言われてもしょうがないですよね。
合格しなければ、詐欺といって訴えられても仕方がないでしょうな。

こんな不見識なことをほざく輩をなんとかしたいです。本当に。

補筆

あ、すいません。
文頭の「そうですね」は管理人様の最後の文章に反応したのではなく、読売の見識云々の部分に反応しただけのことです。
一応言い訳しておきます。

はい、分かりました(笑。

それにしても、マスコミは、読者の声と称して、世論誘導をやり放題ですね。常識的な方が、この方のウェブの内容を読めば、どれほど偏向しているか分かるでしょうが、ね。読売の記者・編集者は分からないらしい。

おだてあげろ!

本日の読売新聞です。『プロを敬う社会に』というコラムの結語で『プロをおだて上げろ』と結んでいます。

5月20日読売新聞の朝刊1面の地球を読むというコラム「プロを敬う社会に」の結語に読売新聞の本音が出ています。中教審会長の劇作家の山崎正和氏による「職業の権威と責任」についての論文です。1面までの内容は「誇りを持ったプロの仕事に対する尊敬を」とうなずける展開でした。2面に続くと教育現場の教師に対する素人の意見の押し付けの弊害を説き、その後いきなり医療現場では責任回避のために、萎縮医療が進んで自己防衛になっていると展開してきた。読売オンラインにまだ載っていないので抜粋します。
『医学界の全体が謙虚になったのはよいが、代わりに必要な権威と責任感を放棄し始めているという印象を覚える。』
『社会の倫理性を自然に高めるためには、人が職業人の誇りを抱き、結果として「恥を知ること」が第一である。その際「高貴なる者の責任は」本人がまず自覚することが当然だが、この自覚はその高貴さを社会が敬うことで支えられている。しかも現代のプロフェショナルはその9割以上が、じつは誠実に任務に献身していると考えられる。ここはひとつマスコミも含めて、社会をあげて彼らの実像を讃え、一層の使命感へとおだてあげる道はないだろうか?』

仮にも中教審の会長である作家の論文とは思えない論理の破綻した文章です。最後の医師に対する部分のみ読売新聞が付け足したのではないかと思われるくらい要旨が不明です。
中学生の娘に読ませたら、「この内容は、テーマと違うし最後がすごく変だし、おだてあげるなんて敬うとは正反対の言葉で馬鹿にしているよね。」意味がわからなくなっているといっていました。

特に最後の『使命感へとおだて上げる道はないのか?』は、「医師はおだて上げておけばよくて、使命感をもたせて文句言わさずに死ぬまで働かせろ」という読売の本音がモロに出ています。』

あぁ、この文章の筆者は、分かっていませんね。

何故、権威を失ったのか(権威を放棄するとは日本語としてもおかしいですね)、何故責任を負おうとしなくなってきているのか・・・医師が、これまで頑張ってきたのに、どうして頑張らなくなろうとしているのか、全く分かっていませんね。

どこまで医師の所為にすれば気が済むのでしょうか。

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