アフリカの角への自衛隊派遣は、やはり米国の世界戦略の一環 

南スーダンのPKO派遣の意味、そのリスクを元自衛官が解説している。

南スーダン・ジブチへの自衛隊派遣は、米国の石油資源利権確保のためだろう、とのこと。

南スーダンでは、過酷な内戦状態にあり、自衛隊が巻き込まれるリスクが高く、「駆けつけ警護」等実際上ありえない。装備・規模の点から、自衛隊員に犠牲者が出る可能性が高い。

これらのことは、集団的自衛権行使は、米国の世界戦略に、自衛隊、さらには国民を巻き込むためであることを示している。その説明を国民に行う前に、安倍首相は米国国会で行い、拍手喝さいを受けたのは、理由のないことではなかった。集団的自衛権について安倍首相が国民に対して行った説明、「有事の際の海外邦人を救出する米軍への援助」と、現実はかけ離れている。こうした詭弁、欺瞞は、彼の外交・内政政策の特徴だ。

以下、引用~~~

3月6日付アジアプレスネットワーク 知られざる「駆けつけ警護」の真の目的と過大なリスク~元自衛官・泥憲和さん講演(上)

南スーダンに派遣された自衛隊の新たな任務について考える「新聞うずみ火」主催の市民講座「南スーダン駆けつけ警護・武力行使の無力性と憲法の有効性」が2 月4 日、大阪市立東淀川区民会館で開講。元自衛官の泥憲和さんが、駆けつけ警護の実態と危険性について警鐘を鳴らした。(矢野宏/新聞うずみ火)

◆真の目的はアメリカの油田の警護

南スーダンPKOで陸上自衛隊がジュバに派遣されましたが、海上自衛隊と航空自衛隊もジブチに派遣されているのです。どうして、陸海空の3自衛隊が「アフリカの角」という狭い地域にいるのか。

話は2001年にさかのぼります。この年、アメリカで同時多発テロが起きました。ブッシュ政権は「アルカイダを引き渡せ」とアフガニスタンに迫りましたが、応じないので軍隊を投入した。「不朽の自由作戦」と呼ばれていますが、アフガニスタンを含む世界5カ所での同時作戦でした。

その一つはグルジア(現ジョージア)。カスピ海の原油を黒海へ送っていましたが、ロシアを迂回するパイプラインを通すため、戦略拠点であるグルジアに米軍を送ったのです。残りの3か所とは、フィリピンのミンダナオ島、中央アフリカのトランスサハラ、そしてアフリカの角です。すべて原油がらみです。アフガニスタンはただの口実ですから、国内をぐちゃぐちゃにしたまま、1年ほどで兵力の半分を撤退させ、イラク戦争を始めた。アフガニスタンは石油が出ませんから。

2005年のNHK「BS世界のドキュメンタリー」でこう解説されています。

「ブッシュ政権は産油国に侵攻し、油田地帯や石油関連施設に軍隊を配備する以外の戦略を持ち合わせていません。いまやアメリカ軍の目標はただ一つ、アメリカに対し友好的な産油国に軍隊を駐留させることなのです」

南スーダンの隣国エチオピアにはオガデン油田があり、ジブチまでパイプラインが通っています。南スーダンのヘグリグ油田の原油はスーダンを経由してポートスーダンから輸出されていますが、アメリカはスーダンをテロ支援国家に指定して南スーダンを分離させ、アメリカの影響力を及ぶようにして現在、パイプラインを建設中です。つまり、原油の運び出し拠点のジブチに海上自衛隊と航空自衛隊、南スーダンの産油地帯に陸上自衛隊が派遣され、アメリカの油田を守る下請けをさせられているわけです。

民政復興支援というのはただの口実です。何かあれば油田を守れるような自衛隊にしなくてはいけないから、戦える自衛隊にしなくてはいけないわけです。「駆けつけ警護」という新たな任務が加わりましたが、これも口実でしかないです。( 下 >> )

 3月6日付アジアプレスネットワーク 知られざる「駆けつけ警護」の真の目的と過大なリスク~元自衛官・泥憲和さん(下)

2月4日に大阪で行われた市民講座「南スーダン駆けつけ警護・武力行使の無力性と憲法の有効性」における、元自衛官の泥憲和さんの解説要綱をお送りする2回目。(矢野宏/新聞うずみ火)

◆南スーダン政府軍さえ敵になるかもしれない

南スーダン現地ではどのような受け止められ方をされているのでしょうか。現地ラジオ局のツイッターに、南スーダンの紀谷昌彦駐日大使の発言が紹介されています。紀谷大使は、「日本の制限された平和維持部隊は工兵であり、実力行使をしない」と言っているのです。駆けつけ警護の任務を与えられたのに実力行使しない、と言っている。

昨年11月の地元の新聞にも紀谷大使の発言が掲載されていました。「交代する350人の部隊は実力を行使する権限を欠いていると語った」と。日本政府に権限を与えられて派遣されたのに、日本の大使は「権限はない」と言っているのです。

どうして、紀谷大使はこんな嘘をつかなくてはいけないのか。今までは武力行使しないから自衛隊員は命を守ることができた。でも、これから戦うと言ったとたんに、南スーダン政府軍も敵になる。自分たちも狙われるわけですから、駆けつけ警護できるようになりましたと言えないわけです。現地と日本政府の情勢認識はまったくかけ離れている。

日本政府が与えた駆けつけ警護とはどんな任務か。昨年7月に政府軍と反政府軍との大規模な戦闘が起きた時のAPニュースを見ると、「暴走南スーダン兵士 外国人をレイプ 地元民を殺害」という見出しとともに、本文にこう書かれています。「1マイルも離れていないところに駐留する国連PKO部隊(中国、エチオピア、ネパールの部隊)は、命がけの救助要請を拒否した。米大使館を含む大使館なども同様だった」。

アメリカは南スーダンPKOに軍隊を出していませんが、大使館警備の部隊はいます。その部隊に救助を要請したのに出動を拒否したのです。駆けつけ警護なんて武力が違い過ぎて何もできないわけです。本格的な政府軍と出張軍みたいな軍隊が戦ったとしても太刀打ちできるはずがない。

自衛隊も事情は同じです。できるはずがないのに、もっと武装強化して駆けつけ警護をしたらどうなるのか。その実例があります。1993年のソマリアの首都で起きた「モガディシュの戦闘」です。アメリカ軍が特殊部隊を結成して、ソマリア民兵の将軍を捉えようとしたが、失敗しました。「米軍特殊部隊がソマリア民兵に包囲されて孤立。救出に向かった駆けつけ警護部隊が包囲され、さらに大きな被害を出した」と報じられています。

米軍は作戦を30分程度で終わらせる自信があったのですが、実際には15時間を費やし、2機のヘリコプターを失い、銃撃戦で米兵ら19人が殺害され、73人が負傷した。強力な部隊が包囲しており、苛烈な戦闘が繰り広げられた。駆けつけ警護と一口で言いますが、そんなに簡単なものではありません。

作戦失敗の翌年、米軍はソマリアから撤退しました。PKOは失敗に終わったのです。駆けつけ警護をやったがために失敗したPKOがソマリアPKOです。

派遣された自衛隊員はどんな用意をしているのか。現地の自衛隊員が持っている海外派遣用・個人携行救急キットが包帯、止血帯、ガーゼ、人工呼吸シート、チェストシール、はさみ、手袋の7品目。充実させた救急キットにするには、さらに13億円かかるから出せないと拒否されています。にもかかわらず、PKO派遣戦死者手当は6000万円から9000万円にしてあげるというのだから、信じられません。(以前アップした通り、南スーダン現地では、救命に必要な外科手術はできない;ブログ主)

織田邦男・元空将はこう言っています。
「もし駆け付け警護の事態が生じたならば、しっかり情報を収集し万全の態勢で臨んでもらいたい。そして自衛隊の能力を超えると判断したならば、ちゅうちょなく『NO』と言うべきだろう。当然、現場を知らぬ輩から『腰抜け』『見殺しにした』など、ありとあらゆる罵声が浴びせ掛けられるだろう。だが、これを甘受するのは自衛隊の宿命だ」
現場を知らぬ輩とはだれか、お分かりだと思います。

アメリカですら南スーダンへ行く人に対して「政府がヘリコプター、軍、武装護衛艦を出して救援するとの期待は、現実というよりもハリウッドのシナリオだ」と警告しています。それなのに、駆けつけ警護という任務を与えて放り出したのが安倍政権です。

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