厚労省は、入院ベッド数を削減する 

厚労省は、入院ベッド数を減らす方針だ。そのスキームは、地域医療構想策定ガイドラインに示されている。こちら。ざっと見たところでは、NDB、DPCのデータベースに基づき、各都道府県で必要なベッド数を求め、それを基礎としてベッド数の供給を地方自治体ごとに決める、ということらしい。各地域の事情を勘案する柔軟なやり方にも一見みえるが、基本は厚労省の提示した基礎資料に基づく削減をすすめる、ということだ。各地にその地域医療構想を実現する協議会がすでに作られ、ベッド数削減に向け動き出している。削減の主な対象は、急性期と慢性期のベッドになる。これまで医療機関に入院加療していた慢性期の患者は、(介護)施設か在宅での介護医療を受けることになる。特に、在宅医療への移行が強調されている。在宅に移行する慢性期は、診療報酬で決められる。診療報酬上、ある程度以下の治療しか必要にならなくなったら、在宅になかば強制的に移行させられる。

結果として、医療費削減が実現できる、とされているが、厚労省・政府の本音は、医療費削減を実現するための、ベッド数削減である。

想定される問題は;

○入院期間の短縮は、過去DPCを中心に進められてきている。それをもとに、必要ベッド数をはじき出すと、必要最小限の数値が出てくる。今後の高齢化の進展、感染症等医療サービスの変動要因による必要ベッド数の増減に対応できるのだろうか。また、入院期間の短縮の方向に診療報酬上誘導し続けているが、それによって、エンドレスのベッド数削減となるのではないか。

○これが大きな問題だが、慢性期ベッドを削減して在宅に移行する場合、介護看護は、家族が担うことになる。人口減少社会で、高齢化・核家族化が進んでいる現在、それが可能なのか。国の生産活動に支障をきたさないのだろうか。確かに、わが国の入院ベッド数は諸外国と比べて多いのだが、病院での医療の後に患者を受け入れる施設・体制がない、またはきわめて貧弱だ。

○在宅に移行することが求められる患者は、必要とする治療の診療報酬で線が引かれる。診療報酬上高い医療でなくても、在宅に馴染まない(例えば、頻回の気管吸引が必要になる、等)患者もいるのではないだろうか。診療報酬で一律に線を引くと、在宅で看ることが難しい患者まで、在宅を強制される可能性がある。

○急性期病床の削減も、高齢化の進展が著しい大都市部で大きな混乱を招く可能性がある。

医療介護の充実は、国の防衛と並んで重要な政策課題のはず。それが、在宅に丸投げで良いのか、という問題だ。現政権は、防衛産業の育成、それに対する利益供与は熱心だが、社会福祉の一番重要な医療介護については、削減することばかりを考えている。果たして、それで良いのか。


以下、引用~~~

病院ベッド15・6万床削減 25年までに41道府県で縮小 地域医療構想、全国集計 「在宅」重視、鮮明に
17/03/09記事:共同通信社

 各都道府県が医療提供体制の将来像を示す「地域医療構想」で、2025年に必要な病院のベッド(病床)数は、13年時点の134万床余りから約15万6千床、11・6%減少する見通しとなることが分かった。構想の策定に伴い47都道府県が8日までに推計した結果を、共同通信が集計した。41道府県で病床が過剰とされ、鹿児島など8県は削減率が30%を超す。
 
 地域医療構想は、25年に団塊の世代が全員75歳以上になるのを控え、効率的な提供体制をつくるのが目的。政府は手術や救急など高度医療に偏った病床の機能を再編すると同時に、慢性疾患を抱える高齢患者は家や施設で療養する方が望ましいとして在宅医療を推進する考えだ。医療費抑制につなげることも狙う。
 
 25年に向け都道府県は今後、推計を基に地元の病院や医師会と協議に入る。病床の機能転換や削減を促していくが、病院経営者や高齢者から反発や不安の声も出ており、入院に代わる在宅医療の環境整備が課題となる。
 
 構想策定に先立ち、国は15年に病床推計を公表。13年時点の134万6917床を3パターンの計算で約15万〜20万床削減すると想定していた。
 
 その後、各都道府県は医療機関や市町村などが参加する会議で構想を検討。地元の病院に配慮し、削減幅が小さいパターンで計算する例が多く、25年の必要病床は全国で計119万799床となった。削減数は計15万6118床で、国推計の最小値に近い。
 
 削減率が最も大きいのは鹿児島県で34・9%。熊本、富山など計8県が30%を超え、20%台も19県ある。一方、増床が必要なのは首都圏の1都3県と大阪府、沖縄県。
 
 病床は機能別に(1)救急や集中治療などを担う「高度急性期」と「急性期」(2)リハビリなどに取り組む「回復期」(3)長期療養の「慢性期」―に分かれるが、急性期と慢性期を減らし、回復期を増やすとする地域が多い。
 
 入院が減る分、在宅医療を受ける患者は大幅に増え、約177万人に。13年より60万人ほど多くなる。
 
 ※集計の方法
 
 各都道府県が公表した地域医療構想に基づき、2025年の必要病床数を集計した。現状との比較は、都道府県によって使用データが異なるため、13年の医療施設調査(厚生労働省)の数値にそろえた。独自手法による推計も併せて示した県もあるが、国準拠の推計を使用した。宮城、広島、高知の3県は必要病床数に「以上」と付記し、削減目標ではないことを明確にしている。新潟、富山、長野、三重、京都、熊本、沖縄の7府県は構想が案の段階だが、推計自体は変わらない見通し。
 
 ※地域医療構想
 
 2014年成立の地域医療・介護確保法に基づき、都道府県が策定する地域医療の将来像。都道府県内をいくつかの区域に分け、団塊の世代が全員75歳以上となる25年に各区域で必要なベッド(病床)数などを定める。余っている病床を他の機能に転換させたり、患者の在宅移行を進めたりして、効率的な医療提供体制の構築を目指す。法令上は18年3月までにまとめればよいが、厚生労働省が早期の策定を求めており、全都道府県が今年3月末までに定める予定。

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