安倍政権の虚偽のロジック 

安倍政権は、これまで社会的に受け入れられなかった新たな法律を国会で通そうとするとき、いつも同じロジックを用いる。その法律の本旨ではない状況を提示し、その状況に対処するために、新たな法律が必要だ、という虚偽の説明だ。

政府は、改正憲法に、緊急事態条項を入れることを目指す。政府が持ち出すのは、自然災害時の緊急事態だが、識者は既存の法規(自然災害基本法、自衛隊法、警察法等)で、そうした緊急事態には対処できると異口同音に語っている。立法府が機能しなくなる可能性に対しては、憲法54条第二項の参院の緊急集会で対処できる。

要するに、自然災害への対処として緊急事態を持ち出しているが、首相・政権の意図は別なところにある。首相が緊急事態を宣言すると、首相に法律と同等の効力を持つ政令を発する権限、国民にそれに従うように強制する権限が与えられる、政権はそれを目指している。自然災害を体の良い理由にした、戒厳令と同等の状況をもたらすのが、緊急事態条項だ。首相への権力の集中、国民の基本的人権の抑圧が、この条項の本体だ。

それと同じ構図なのが、対テロ等対策法案だ。政府は、対テロ対策だと言うが、実際の内容は異なる。対テロ対策というのは、後付けの口実に過ぎない。内容は、これまでさんざん批判され続けてきた共謀罪法案だ。共謀罪の問題はすでに何度も取り上げた。こちらや、こちら。現代に蘇る治安維持法である。国民の思想信条の自由を抑圧し、政権に対する批判を抑え込むための法律だ。

安倍政権は、こうした法案を国民に受け入れやすくなるように、嘘の説明を平気でする。これ以外に、安保法制、駆けつけ警護の説明も、同じようなロジックだ。それに国民が気がつくかどうか、そしてことの重大性に気づくかどうか、の問題だ。

以下、引用~~~

政府の「治安対策戦略」 テロ対策計画 「共謀罪」触れず

2017年3月19日 06時59分

 政府はテロ対策として「共謀罪」法案が不可欠とするが、これまで策定してきた治安対策に関する行動計画では、テロ対策として「共謀罪」創設が必要との記述がないことが分かった。「共謀罪」はテロ対策とは別の組織犯罪対策でしか触れられていない。政府の行動計画を詳細にチェックすると、「共謀罪」法案がテロ対策とする政府の説明は根拠が弱いことが分かる。(木谷孝洋、村上一樹)

 政府は「共謀罪」について国際組織犯罪を取り締まるために必要と指摘してきたが、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの招致が決まったあとは、テロ対策に必要と指摘。「共謀罪」の呼称を「テロ等準備罪」に変更した。

 だが、五輪開催決定を受けて一三年十二月に閣議決定した政府の治安対策に関する行動計画「『世界一安全な日本』創造戦略」では、東京五輪を見据えたテロ対策を取り上げた章に「共謀罪」創設の必要性を明確に記した文言はない。

 この戦略で「共謀罪」は「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約締結のための法整備」として、国際組織犯罪対策を取り上げた別の章に記されている。例えばマネーロンダリング(資金洗浄)は組織犯罪対策とテロ対策の二つの章に記述があるが、「共謀罪」を示す法整備が登場するのは組織犯罪対策の章だけだ。

 国連では、国際組織犯罪とテロは理論上は区別されている。

 政府は治安対策に関する行動計画を〇三年に策定、〇八年、一三年に改定した。〇三年と〇八年でも「共謀罪」は組織犯罪対策の章で「共謀罪新設の整備を行う」などと記載し、テロ対策の章には出てこない。

 政府は〇五年までに三回提出し廃案となった「共謀罪」と、今国会に提出する予定の「共謀罪」法案は違うと指摘。与党や国会への説明では、国際組織犯罪の取り締まりからテロ対策に強調する点を変更した。それなのに行動計画を見る限り、一貫して国際組織犯罪対策として記述されている。

 日本弁護士連合会共謀罪法案対策本部事務局長の山下幸夫弁護士は「共謀罪をテロ対策と主張する根拠がないことが、これで明らかになった。テロ対策を前面に打ち出したのは今回が初めてで、世論を意識した後付けの目的にすぎない」と指摘している。

 外務省は条約がテロ防止に有効とする国連決議があることから、「『条約締結に必要な法整備』がテロ対策の性格を帯びていることは明らか」と指摘。法務省も「組織犯罪対策にはテロ対策の意味も含まれる」と説明する。

(東京新聞)

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