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ブラームス チェロソナタ1番 

最近、睡眠薬代わりの音楽が、この曲。バルトロメイというウィーンフィルの奏者と、乾さんという日本人ピアニストの演奏。

この曲は、数あるチェロソナタのなかでもとりわけ思い出深い曲だ。学生時代、オケに入って早々の夏合宿。合宿の打ち上げの部内演奏会。上手なチェロの先輩が、この曲の1楽章を弾いたのだった。

初秋を感じさせるやわらかな日差しが、レースのカーテン越しに差し込むホール。第一楽章は、低弦でモノローグのような第一主題で始まる。ピアノが後打ちの和音を刻むなか、高弦に移り、Cの音まで上り詰める。が、鬱屈したエネルギーは、そこで解放されることなく、下降音型に移行し、主題提示を終える。第二主題は、一転して、激しく何かを希求するような旋律。大規模な展開部を経て、同じ調性・音域で第一主題が再現される。ピアノが美しいアルペジオで、その主題に彩を添える。木漏れ日の日差しが、揺れ動くように、玉のようになって、演奏者達に降り注ぐ。

といった具合に、この曲を聴くたびに、まるで昨日の出来事であるかのように、その部内演奏会の情景を思い起こす。音楽は、情動の最も奥深いところに作用する、と音楽療法のテキストに記されていた。だからこそ、こうした記憶をまざまざと蘇らせてくれるのだろう。この音楽は、青春時代の彷徨する精神を表現しているような気がする。だから、あの時に、私のこころに深く静かに入り込んできたのではないだろうか。

その後、大学の高学年になって、この曲を必死でさらい、某女子大(笑)の学園祭で全楽章を弾いたことがあった。単に弾いただけで、音楽的な達成度は、何とも言えない・・・無謀なことをしたものだ。

バルトロメイの演奏は、派手さがなく、所謂ソリスティックな表現力には欠けるきらいがあるが、この渋い音楽には、適切な奏者といえるのかもしれない。聴き返すほどに、滋養に富んだ深い味わいを聞くことができるような気がする。

この曲の演奏は、いろいろと聴いたが、ヤーノシュ シュタルケルが、シェベックと共演した録音が、私にとって一番の演奏だ。素晴らしい技巧に支えられて、この曲の緊張感と歌心を弾き切っている。

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