病床削減・在宅医療介護推進、可能なのか? 

高齢社会は、必然的に医療介護の需要を増す。それに対して、政府・厚労省の行おうとしていることは、病院病床の削減、そして在宅介護への患者の誘導だ。人生の最後を住み慣れた自宅で過ごすために、という美しいキャッチフレーズで進められてきた、在宅医療介護。しかし、その本音は、医療費と介護費を削減することにある。

急性期・慢性期の病床を減らし、回復期の病床だけを増やし、患者の医療介護を在宅に持ち込む。地方では、2、3割の病床削減になる。唯一、大都市圏では、増床だが、大都市圏の高齢化の凄まじい進展を考えると、これでは足りなくなるだろう。大体において、すべての病気が、急性期を過ぎれば改善し、やがて自宅での療養にすることができるというわけではないのは当然のこと。長期の入院が必要な病気は、とくに高齢者に多い。

確かに、他の先進国に比べて、わが国は病床が多かった。だが、退院後の受け皿が、そうした国々のようには整っていない、ないしそうした国々のなかには皆保険ではない国もある。

病床削減、そして在宅医療介護へ、という厚労省の方針はうまくいくだろうか。厚労省は、地域包括ケアによって、在宅医療介護を実現する、という。地方自治体・ボランティア・医療介護施設等が、在宅の患者をサポートする、という。だが、本質は家族による医療介護だ。これだけ高齢化と核家族化が進んだ現状でそれが果たして可能なのか。医療の混合診療、さらに介護の混合サービスが進み、金持ちの高齢者は、生活してゆけるかもしれない。だが、貯えの十分でない高齢者にどのような未来が待っているのか。想像するだけで寒気がしてくる。

恐らく、急性期のほんの数日だけ入院、その後は在宅医療介護、というのが普通になる。手術をしても、2,3日で退院、その後は外来通院で処置を受ける。リハビリも期間を限定される(これはすでに実施済み)。いかに地域包括ケアが行き届いたところで、一日の大部分の時間は、家族が看ることになる。それが一体可能なのか。

病床削減するなら、介護施設のさらなる拡充、介護スタッフへの支援が必要だ。在宅だけで、医療介護を要する高齢者には対処できないのは目に見えている。

医療介護等社会保障予算は、実質的に毎年削減されている。一方、輸出企業への法人税減税、防衛予算の拡大等が行われている。政治は、一体、何をしているのだろうか。

以下、引用~~~

入院病床、1割減らす計画 2025年、全国で計15万床 在宅医療、促す
17/04/02記事:朝日新聞

 2025年の医療の提供体制を示す「地域医療構想」が各都道府県でまとまり、全国で計15万床以上の入院ベッドを減らす計画となった。医療費を減らすため入院患者を在宅医療に移す流れを受けたものだが、全国で1割以上の削減が必要だ。入院に代わる受け皿づくりが急務となる。

 各都道府県がまとめた地域医療構想では、団塊の世代がすべて75歳以上になって高齢化がピークを迎える25年時点で必要となる入院ベッド数を示した。その結果を集計したところ、計約119万床だった。ただ、13年の約135万床に比べ、15万6千床余り少ない。15年に内閣官房が示した削減の目安は16万〜20万床で、ほぼ近い数字になった。

 入院ベッド数が増えるのは、特に高齢者が急増する首都圏と大阪、沖縄の6都府県のみ。残る41道府県は減らす計画で、削減率は8県が3割を超えた。

 人口に占める75歳以上の割合は15年の12・8%が25年には18・1%と急増し、2179万人になると推計されている。政府の単純試算では25年に約152万床の入院ベッドを必要としていたが、入院の必要性が低い患者を在宅医療に移すことなどで、33万床ほど減らせるとする結果になった。

 機能別では、救急対応を担う高度急性期と急性期のベッドは計約53万床(15年比で30・0%減)が必要になる。利用者の多くを占める現役世代が減る影響もあり、全都道府県で減る。逆に高齢者らのリハビリなどを担う回復期のベッドは全都道府県で増え、計約38万床(同190・7%増)。長期療養の患者が入る慢性期のベッドは計約28万床(同19・5%減)で、首都圏など一部を除き減る。

 年間40兆円を超える国民医療費のうち4割を占める入院費を減らすことは大きな課題となっている。政府は18年度の診療報酬改定でも入院患者を在宅医療に移す流れを促していく方針。

 一方、全国の病院の7割は民間経営のため、地域医療構想に基づく削減計画は強制できない。都道府県が「自主的な取り組み」を促すことになるが、実効性は不透明だ。(生田大介)
 
 ■2025年の入院ベッド数計画
           13年       25年    増減率
北海道     83,556    73,190 ▲12.4%
青森      16,488    11,827 ▲28.3%
岩手      15,034    10,676 ▲29.0%
宮城      21,143    18,781 ▲11.2%
秋田      12,605     9,143 ▲27.5%
山形      11,991     9,267 ▲22.7%
福島      21,506    15,397 ▲28.4%
茨城      26,984    21,755 ▲19.4%
栃木      18,332    15,458 ▲15.7%
群馬      20,992    17,578 ▲16.3%
埼玉      50,567    54,210   7.2%
千葉      47,035    50,004   6.3%
東京     108,338   113,764   5.0%
神奈川     62,879    72,410  15.2%
新潟      23,145    18,283 ▲21.0%
富山      14,401     9,557 ▲33.6%
石川      15,883    11,900 ▲25.1%
福井      10,298     7,591 ▲26.3%
山梨       9,232     6,909 ▲25.2%
長野      20,438    16,839 ▲17.6%
岐阜      18,485    14,978 ▲19.0%
静岡      34,375    26,584 ▲22.7%
愛知      59,206    57,773 ▲ 2.4%
三重      17,255    13,584 ▲21.3%
滋賀      12,766    11,319 ▲11.3%
京都      30,283    29,957 ▲ 1.1%
大阪      91,378   101,474  11.0%
兵庫      56,200    52,455 ▲ 6.7%
奈良      14,212    13,063 ▲ 8.1%
和歌山     13,142     9,506 ▲27.7%
鳥取       7,442     5,896 ▲20.8%
島根       9,175     6,569 ▲28.4%
岡山      26,080    20,174 ▲22.6%
広島      35,248    28,614 ▲18.8%
山口      23,370    15,889 ▲32.0%
徳島      13,291     8,994 ▲32.3%
香川      13,857    10,112 ▲27.0%
愛媛      20,957    14,822 ▲29.3%
高知      16,220    11,252 ▲30.6%
福岡      73,956    65,383 ▲11.6%
佐賀      13,459     9,078 ▲32.6%
長崎      23,347    16,849 ▲27.8%
熊本      31,809    21,024 ▲33.9%
大分      18,855    14,649 ▲22.3%
宮崎      16,475    11,036 ▲33.0%
鹿児島     30,624    19,944 ▲34.9%
沖縄      14,603    15,282   4.6%
全国計  1,346,917 1,190,799 ▲11.6%
 (13年は医療施設調査から。25年は政府の推計式に基づく各都道府県の計画。▲はマイナス)

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/4647-667394aa