改憲国民投票における広告・宣伝の問題 

「世界」5月号に、本間龍氏が、電通とオリンピック・改憲国民投票に関する問題を投稿している。オリンピックも電通が取り仕切り、電通のための催しになるが、ここでは、改憲国民投票問題について彼の論考を参考にまとめてみたい。

衆参の選挙でメディアに投入される広告宣伝費は約500億円。2週間のみの国政選挙に比べて、60から180日に及ぶ改憲国民投票までの選挙期間からして、改憲国民投票の広告宣伝費はその数倍から10倍に上ることが予想される。

改憲国民投票の広告宣伝は、電通が担う。電通は、2015年度の売上高が単体で1兆5千億円、連結で4兆5千億円に上る。これは二位の博報堂の各々2から3倍に相当する。公正取引委員会は、すでに電通の寡占化に対して、公平性・透明性が必要だと指摘している。さらに、電通が人事等を通して自民党と密接な関係にあることが以前から指摘されている。その一方、昨年電通が社員に過酷な時間外労働を強制していた実態が明らかになった。いわば、違法企業である。このような企業に、国の行く末を決める国民投票の広告宣伝を任せて良いはずがない。だが、現状の自公政権の議席数からして、そのまま電通が政権与党とタッグを組み、改憲に向けた国民投票を実現すべくメディア対策・広告宣伝を行うことになる。それを我々は今から認識しておく必要がある。

広告業界で仕事をしていた、本田氏の指摘は以下のようなことだ。改憲国民投票の発議は、政権与党がいつ行うか決めることができる。その発議は、今年秋から来年夏までの間に行われる可能性が高い。国民投票法によると、投票前2週間以外は、無制限に広告を打つことができる。企業献金等の予算が潤沢で、実際のスケジュールを決められる政権与党は、マスメディアへの広告(優良時間枠の独占、広告出演者の確保、広告回数の多寡等)で圧倒的な優位に立つ。また、民放の番組で、改憲について扱う場合に、広告宣伝費の多寡で、改憲派は有利に、護憲派は不利に扱われる可能性が高い。

本田氏は、広告宣伝に関わる費用・回数の規制、報道内容の公平性の担保などの確保等が必要だと提言している。だが、自らに有利に国民投票を進めたい改憲派の現政権が、それをのむ可能性はない。護憲派、少なくとも現在の立憲主義を否定する政権での改憲を認めぬ人々は、こうした事態を見越して準備しておく必要がある。

その準備としては
○現憲法の歴史・役割についてよく知ること
○改憲内容が、まるで日替わり定食のように変えて提出されてきているが、その本質は、あくまで戦前の国家主義への回帰であり、国民主権を蔑ろにするものであることを理解すること
○既存のマスメディアは、ネット社会が出現する前のように圧倒的な力を持っていない。ネットを通じて、護憲の必要性を訴え続けることだ。
○マスメディアが公平を欠く番組構成・内容を取り扱ったら、そのマスメディア、番組スポンサーには丹念に批判・抗議を行う。
○現在の高齢者ではなく、次の世代が改憲された国家主義的憲法に翻弄されることになる。次の世代、その次の世代を育てている方々に十分理解して頂く。
○オリンピック誘致では電通、その関係者がだいぶ悪事を働いているようだ。電通という巨大独占企業は、日本のためにならない。電通への批判を強めることが必要だろう。

世論調査では、9条改憲等不要という意見が多いようだが、政府が北朝鮮危機を異様に煽った影響などにより、そのような世論は容易に逆転されうる。政府・電通の世論誘導に乗ることなく、本質的なものを見据えて、今後とも国家主義への反対と護憲とを目指してゆきたい。

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